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53/202

053 誤解と覚悟

すいません、54話の内容を間違って53話として投稿してしまいました。

ご指摘、本当にありがとうございます<(_ _)>

間違いなど指摘して頂ければ、本当に有難いです。

扉を叩く音で目を覚ます。昨日は早めに横になったが、久しぶりの柔らかなベッドは少し落ち着かず、眠りにつくまで時間がかかってしまった。少し眠気が残るが、俺は起き上がると簡単に身なりを整えて入室を許可する。


「おはようございます、サイガ様。アメキララ様が朝食をご一緒したいとのことですが、いかがでしょうか?」

「あぁ、問題ない。すぐに準備するから待っててくれ」

「いいえ、急がなくても大丈夫です。半刻ほどしましたら、また、お迎えにあがります」

「わかった」


ノーベさんが奇麗なお辞儀をして部屋から出ていく。俺は軽く柔軟運動をした後、浴室で汗を流した。着替えも終えて外を眺めていると再び扉を叩く音がする。入室を許可すると昨日、夕食を運んでくれた使用人が入ってきて食堂まで案内してくれた。


―――――――――


食堂に入ると既にアメキララが席に着いていた。


「おはよう、サイガ。昨夜は1人で食事をさせてごめんなさい」

「いや、構わないさ。正直、1人の方がゆっくり食べることができた」

「そう、なら良かったわ。まぁ、しばらくは、ここにいる訳だし遠慮しないで過ごして」

「それは助かる。あまり記憶がないが、育ちは良くなかったと思う。窮屈な生活は苦手だ」


軽く言葉を交わして俺も席に着くと料理が運ばれてきた。様々な野菜や豆を盛ったサラダ、燻製した肉と一緒に炒めた卵料理、そして、少し固めに焼いたパンと新鮮な果物を絞ったジュースがテーブルの上に並べられた。アメキララの方を見ると俺よりも量は少ない……色々と気を配ってくれているようだ。


普通に食べたつもりだが、アメキララを見るとまだ食べている途中だった。思わず目が合うと彼女は苦笑を浮かべる。


「フフフ、見ていて気持ちが良い食べっぷりね。量は足りたかしら? 何なら、もう少し運んでもらうけど」

「いや十分だ。とても美味しかった。普通に食べたつもりだったが、少し早かったか」

「気にしないで。しばらくお茶でも飲んで待っててくれる?」

「あぁ、すまないな。気を使わせてしまったか」


彼女が部屋の隅に控えていた給仕さんにお願いすると、お茶を運んできてくれた。俺は少し熱めのお茶を冷ましながら、ゆっくりと飲み時間を過ごす。


「お待たせ、サイガ。それじゃ、これから、どうするか話し合いましょうか」


給仕さんにお茶を頼んだアメキララは、これからについてどうするか問いかける。


「そうだな、まずはお互いの情報を交換するのはどうだ? 昨日は俺ばかり話をして、アンタのことは、ほとんど聞いていない。それに姉である魔王についても、できれば教えてほしい」

「……わかったわ。何から話せばいいかしら。そうね、まずは姉さんについて話すわ」


姉が家族や周りの人達を守るために魔王になったこと、オテギネさんが魔王並みの実力があること、そして、姉の考えに共感して魔王の座を譲ったこと等々……アメキララは姉である魔王について語ってくれた。


だが、何か違和感を感じる……一番大事なことを見落としている気がする。当然だが、【知識の神の加護】に聞いても答えてくれない。自力で気付くしかないのか。正直、頭を使うのは苦手だ。


俺は全然頼りにならない脳ミソで必死に考え苦しんでいると、アメキリンが目を瞑り首を横に振った。


「……やっぱり気付くわよね。だけど、まだ、あなたの事が信用できないの。オテギネさんやオウカからの報告書は、昨夜、読ませてもらったわ。少し話をして悪い人じゃないと思った。だけど……」


……いったい、コイツは何を言っているんだ。俺は何も気づいていないぞ!



姉さんについて話し終わった。うまく誤魔化せただろうか。……サイガの顔を窺うと眉間に皺を寄せて私を見ている。


やはり、無理だったか。だけど姉さんの名前を教えても良いだろうか……。


サイガは憶えていないが、人間だった時に姉さんと戦っている。そして、光の柱と共に消えた人族の男とはサイガのことで間違いない。昨夜は彼に悟られずに姉さんと戦った記憶が無いことを確認することができたが、姉さんの名前を教えることで何か思い出すかもしれない。それが良いのかどうか判断できない……。


上位の魔族は大事な決闘の前に口上を述べる。その時に互いの魔名まなを告げるのが習わしだ。人族には意味がないことだが、魔族同士では違う。魔名まなとは、その魔族の魂の在り方を示す。


意味がないようで意味がある……聞き覚えのない言葉でも、この世もしくは別の世のどこかの国の言葉であり必ず意味がある。魔名まなを知るということはその魂に少しだけ触れられるということだ。その結果、良くも悪くも呪術に大きな影響を与える。


人族と戦う前に姉さんは決闘の口上を述べたはずだ。それをサイガも聞いているかもしれない。姉さんの名を教えることは魔名まなを思い出すきっかけになる可能性が高く、サイガにかかっている呪術にどのような影響が出るか分からない。それに記憶が戻ったことで魔族に対する負の感情が蘇るかもしれない。


だけど、記憶が蘇ることで行方不明の姉さんの手掛かりが何か分かるかもしれない。結局は前に進む為には姉の名を教えるしかないのだ。それでサイガが再び、敵になったとしても……。

お読み頂き、ありがとうございます。

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よろしくお願いします<(_ _)>

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― 新着の感想 ―
楽しく読ませていただいてます! 53話の内容が54話と同じ文章になっています。話の流れ的に53話が抜けているんだと思います。ご確認お願いします。
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