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比較的最近更新した短編のまとめ場所

家が貧乏なので豊かにしようとしたら何故か命を落とすんですが

作者: リィズ・ブランディシュカ



 セリーヌの家は貧乏だった。


「どうしてうちはこんなに貧乏で、運がない家なのかしら。呪われているに違いないわ」


 明日の食事にも困る惨状だ。


 それは度重なる、火事や窃盗などの不幸が原因だった。


 しかしセリーヌは前向きだった。


 日に日に傾く貧しい家のために頑張ろう。そう思った。


「落ち込んでいても仕方がないわ。前を向いて頑張らないと!」


 なので貴族令嬢のセリーヌは、裏でこっそり商人のまねごとをしていた。


 流行の物をいち早く見つけ、取引を行う彼女は、多くの商人たちから注目される。


 そのセリーヌの頑張りのかいが、実って。


 貧しかった家は徐々に豊かになっていたのだが、何者かがセリーヌをねたんでいた。


 その何者かに殺害されたセリーヌは、次の瞬間にまた過去の時代に生きていた。


「まさか貴族令嬢が商品のまねごとをしていたのが原因なのかしら?といってもその道は、家の為だから諦められないわ」


 死んだ瞬間に時間が巻き戻ったと解釈したセリーヌは、今度こそ殺害されないように実家を豊かにしていこうと決意。


 最初の人生で培った経験をもとに、商人としての腕を発揮したセリーヌ。


 予想通り、実家は豊かになっていくが、今度もセリーヌは命を落としてしまう。


「最初はたった一人だったのに、用心していたら一気に暗殺者が増えるなんて。相手はよほど私を殺したいようね」


 護身のすべを身に着けていたセリーヌだが、ならず者10人に立ち向かう事ができず、あっけなく命を散らしてしまう。


 その後、セリーヌは三度目の人生で商人の道をあきらめ、名家に嫁ぐ事で実家を豊かにしようと考えた。


 国で名のある名家の男性に目をつけ、猛アタックの末、婚約を結んだセリーヌ。


 そして、いよいよ式を挙げるとなったときに、何者かの邪魔が入った。


「剣聖を操って私を殺させるなんて、殺意高すぎない!?どれだけ私が邪魔なのよ!?」


 セリーヌは、国で一番の剣の腕を持つ剣聖の手にかかって、殺害された。


 何かしらの呪いの道具を身に纏っていた剣聖になすすべはなく、命を落としたセリーヌ。


 四度目の人生では、聖女になる道を選んだ。


 小さな力しか持たないセリーヌは、邪魔者扱いされるのが日常だった。


 しかし、同僚達の嫌がらせを耐えて根気強く修行したセリーヌは、そこそこの聖女に成長した。


 その人生でもセリーヌのもとに、剣聖が差し向けられたが、セリーヌは聖なる力を使用して剣聖の呪いをといて、生き延びる事ができた。


「聖なる力を極めて置いて良かったわ。聖女は珍しいから高給だし、この道を最初から選んでいれば良かったわね」


 倒れた剣聖を介抱しながら、犯人は誰だろうと思ったセリーヌ。


 呪いの痕跡を調べ、証言を集めていくと、驚愕の真実を知る事になった。


 それは彼女が守ろうとしていた家の人間であった。


「まさかお母さまが、犯人だったなんて!」


 他家から無理やり嫁がされた母のイレーヌは、家の事を憎んでいた。


「ずっと貧しいままでいれば、お前を殺そうとせずに済んだのに。やはり私に無理やり婚約を迫ったあの男の血を引いているのね。私の邪魔をするなんて、お前は娘などではないわ!」

「そんな、嘘だと言ってくださいお母さま!」


 イレーヌは、家を没落させるために家事を起こしたり、使用人にお金を握らせて金品を盗ませたりしていた。


 そんなイレーヌにとって、家を豊かにしようとするセリーヌは邪魔者以外何者でもなかった。


 セリーヌは自らの母イレーヌを悲しみながら牢屋へ。


 それからは辛い時を過ごした。


 しかし、彼女に呪いを解いてもらった剣聖は、いつも彼女の傍で励ました。


「私の苦しみを解放してくれたのはあなたのおかげです。ですから私の人生は、これからはあなたに捧げましょう」

「ありがとう剣聖さん。あなたの気持ちがとても嬉しいわ」


 剣聖は、彼女のために花束をおくったり、様々なプレゼントをおくったりした。


 剣を振る事以外知らない剣聖の不器用なアプローチの数々は、セリーヌの心を優しくほぐしていく。


 そうして剣聖の愛情に触れたセリーヌは、徐々に立ち直り、家族に裏切られた悲しみを克服したのだった。



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