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悪女の契約結婚はご褒美ですか?~推しボス様を溺愛していたら「俺のほうが好きだと思うぜ?」と離してくれません!?~  作者: ゆいレギナ
5章 推しのためなら、パーティーだって!

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33話 原作改編した結果

 当たり前だが、『私』は社交ダンスなど踊ったことがない。

 だから、辛うじて口角はあげているけど、腕や足はガクブルである。


 そんな私が見て取れたのか、チカ様が「ぷはっ」と噴き出す。


「これはこれは。レディから誘わせるなんて、俺は男性失格ですね」

「大丈夫です。私はどんなチカ様だって愛しています」

「俺は……幸せ者だな」


 私が掲げた震える手を、チカ様がすくいあげてくれる。


 そして、チカ様が楽団に目配せすれば。

 音楽が変わる。違いがよくわからないけれど、きっとダンスミュージックというものなのだろう。さて、どこから動き出せばいいのやら?


 だけど、さすがチカ様。

 誰もがうっとりする微笑を携えたまま、優雅に足を動かし始める。


 私はただ、ついていくだけ。

 音楽など、耳に入らない。

 まわりの視線も気にならない。


 私がただ美しいチカ様の顔に見惚れている間に、どうやら一曲踊り切っていたらしい。

 大歓声と拍手の中で、チカ様に促されるまま頭だけ下げる。


 すると、チカ様が「よくやった」と言わんばかりに頭を撫でてくれた。


「意外と上手いじゃないか」

「ほんとはソーラン節のほうが得意ですけどね」

「そーらんぶし?」


 そんな軽口をかわしながら、思うのはビビアナのこと。


 ――ビビアナ、ダンス上手かったんだな。

 ――スターと踊るために、一生懸命に練習してたのかな。


 チカ様のダンスについていけたのは、ひとえに身体が勝手に動いただけのこと。

 もちろん、チカ様の絶妙なエスコートもあるけれど……身体の記憶に、私は感謝して、彼女の努力を慈しんで。


 すると、ひときわ強い拍手が近づいてくる。

 今度はモブなどではなかった。


 チカ様と同じ白髪。だけど長さは短くて、着ているものは豪華絢爛だけど、身体の線はだいぶ細い。そんなアラサーくらいのヘラヘラした男、タリィア王国国王ダリル・ダ・タリィアが私たちのダンスを絶賛してくれていた。


「いやぁ、見事なダンスだったね。チカ。正直、おまえのこんな幸せそうな顔が見る日が来ようとは思わなかった。すごくいい日だ」


 本当、彼がチカ様のお兄さんで間違いないのだろう。チカ様の舌打ちが聞こえるしね。だけどチカ様、すぐさま表情を正して兄王に向かって一礼する。


「王国の太陽にご挨拶申し上げます。兄上、ぜひこの場で俺たちの婚姻を承諾していただきたいと――」


 さすがは策士なチカ様。ダンスの成果で私たちの好感度があがった流れで、このまま婚姻を成立させようとしているらしい。


 しかし、私が何か言うよりも早く。

 ダリル王はニコニコしたまま、手のひら一つでチカ様の言葉を制止させた。


「せっかくの機会だ。奥でゆっくり話さないか?」




 パーティーホールの奥の部屋なんて、まさにVIPルームである。

 調度品がキラキラしすぎて眩しくて、飾られた大ぶりの生花だけでもいくらするんだろう。この異世界にきてから一番の豪華さに眩暈しそうになっているも、ダリル王は当たり前のようにお酒を勧めてくる。


「きみはお酒が飲めるかね?」

「こいつはダメだ。悪酔いして始末におえない」


 ちょっとチカ様。私、あなたの前でお酒飲んだことありましたっけ?

 だけど前世でもお酒に匂いにいい思い出はないため、内心ホッとしているも。


 この兄弟の再会、実はかなり修羅場の予定なのである。

 ここで思い出してほしいのが、『アウローラの涙』三幕一章のあらすじ。


 ようはこの国王が、弟であるチカ様に暗殺される事件が起きるのだけど――その事件の発端が、この二人の会話なのだ。


 再会したチカ様は、貧しいネーヴェ領のために援助を訴える。

 だけど兄王は聞く耳もたずにスルーした結果、絶望したチカ様が強硬に出るのが事のあらましである。


 なので、本来ならばこの場でそんな会話が起きるはずなのだが……。


 ――さて、原作を改編しまくった結果は……?


「さて、二人はまだ籍を入れていないんだよね?」


 私が固唾を呑んでいると、国王は私に向かってにっこりと微笑んだ。


「それならビビアナさん、ぼくの側妃にならないか?」

「は?」


 目が丸くなるタイミングが、チカ様と完全合致した。



作者から、ここまで読んでくれた皆様へお願いです


「おもしろい!」「続きが楽しみ!」「誰が愛人になんてなるものか!」

などと、少しでも思っていただけましたなら、


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