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悪女の契約結婚はご褒美ですか?~推しボス様を溺愛していたら「俺のほうが好きだと思うぜ?」と離してくれません!?~  作者: ゆいレギナ
4章 疫病をやっつけろ!

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22話 同志が増えたよ!


 ☆


【原作小説『アウローラの涙』、第二幕、三章のあらすじ】


 ネーヴェ領南方の村が、壊滅の危機だという報せが入る。

 その話を聞いて、アウローラは居ても立っても居られない。


『わたしの力で、誰かが救えるのなら!』


 スターはアウローラの身を案じて止めようとするも、彼女の強い決意は変わらない。


『それなら、僕も行こう――どんなことがあっても、僕はきみと一緒だ!』


 いざ二人が現地に赴くと、村は死臭で溢れていた。

 いくら『アウローラの涙』をもってしても、治療は一人ずつが限界できりがない。


 しかし二人は必死の看病のもと、なんとか病の鎮静化に成功する。

 これにて一件落着と思ったとき、二人は思いもしれない話を聞く。


 この瘴気は、忌み公爵チカトリィーチェがきてから発生した、と――

 

 ☆


 んなわけあるか。

 そもそも瘴気ってなんだ? 作中いかにも『悪い空気みたいなやつです』という風に書かれていたけど。その実態がなにか一切書かれていなかったぞ。書籍化したあかつきには、それっぽい補足がされるのかもしれないけど。


 ともあれ、そんな事件(イベント)の発生条件が揃ったらしい。

 さて、そのイベントでチカ様の出番は一切なかったけど、実際のチカ様は――


「仕方ない。この現場はおまえに任せる」

「……止めても、無駄なのでしょうな」


 当然、チカ様自ら調査に赴きますよね~~っ!

 はあ、今日も私の推しがカッコいい。


 領主であるチカ様が病にかかってしまう恐れがあるのに、躊躇うことないご決断。はぁ、今日も痺れる、憧れる!


 そして最近胸キュン供給が増えたのだけど、エドワルドさんとの主従関係もいいよね! 今の『……止めても、無駄なのでしょうな』のあとに『わかっているじゃねーか』と言わんばかりの『フンッ、微笑』ですよ。


 神様ありがとう。転生やっほい!


 さて、そうと決まれば話は早い。昼食を馬車の中でも食べられるようにお弁当仕様にしてもらって、早くチカ様と移動しなければ。


 と、踵を返したときだった。


「おい、念のために訊くが、おまえはどこに行く?」


 チカ様に掴まれた襟首、もう一生洗えない……!

 それはともかく、私が「お弁当仕様に――」と言いかけたときだった。


「おまえは城に戻るんだからな」

「なんで⁉」


 私が慌てて振り返ると、チカ様はやれやれと嘆息される。


「塩の件はおまえが発案者だったから、仕方なく連れてきたんだ! 疫病の村なんて関係ないだろう」

「関係なくないです。チカ様がおわすところは、すべて私が地ならしするんです!」

「大層な忠義だがなァ……自分の立場を忘れてもらっちゃ困る」


 すると、チカ様の顔がグンッと近づいた。


「おまえは、俺の女なんだよ」

「はう……」


 その一言で、私のHPはゼロになる。

 シンプル・イズ・ベスト。必殺技がすぎる。


 さらに、チカ様は死体蹴りまでしてくるのだ。


「将来俺の子供を産む身体に、なにか問題が起きたら困る。俺が戻るまで城から一歩も出るな。いいな?」


 言葉だけで妊娠するとは、まさにこのこと。

 私が絶命している間に、チカ様はヅカヅカと歩いていってしまわれた。


 そして「馬!」の一言だけで用意された馬に、あっという間に飛び乗っては駆けていく。

 思わずアイドルが舞台袖にはけるのを見届けるが如く、最後の瞬間まで見入ってしまった私だけど。


 現実の戻った私は、ぼそりとつぶやく。


「え、どうやってついていこう……」


 当たり前だが、私に乗馬経験は皆無である。

 そんな習い事ができる日本人いるのか? セレブリティな趣味すぎる。


 だけど、問題点はそれだけじゃなかった。

 なぜ、人型紳士のエドワルドさんが倒れてるのだろう?


「エドワルドさん?」

「すみません……チカ様の『俺の女』発言に、胸のときめきが……」


 敗戦の戦士のように、立ち上がるエドワルドさんだけど。


 これは、あれかな。同志ができたと思っていいのかな?

 現に、エドワルドは力強くこぶしを握る。 


「お任せください。このジジイ、必ずやお二人の愛を成就させてみせますっ!」


 別に、私はチカ様を推したいんであって、両想いになりたいわけではないのだけど。

 そうだとしても、現時点では私の味方をしてくれるらしいから。


 私は「同志よ!」と固く握手をしてみることにした。




「――ということで、乗馬兼護衛役よろしくお願いします」

「エドワルド様に『ダビデ』と名乗るように言われたミケランジェロです。よろしくお願いいたします」


 その若い騎士さんは、短いくるくる天然ヘアに、甘い顔立ちの男性だった。軽鎧越しでも、脱いだら凄そうな筋肉していそうである。もちろんだけど、こんな教科書に載っている彫刻家と同じ名前の騎士なんて、原作小説には登場していない。


 ……うん、どこからツッコめばいいのやら?

 とりあえずエドワルドさんが、この人に『ダビデ』と名乗らせる意図はわからないけれど。


 タクシー代わりに馬でチカ様を追ってくれるなら、誰でもいい。

 しがみついているだけなのに、やたら腰とおしりが痛いけれど、私は半日すごく我慢した。


 だけど、これだけは我慢できなかった。

 寂れた村で、大人も子どもも大勢の人が、チカ様に石を投げていたのだから。


「おんどりゃああああああああ!」


 般若、発動である。


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