こういう時、助けは来るものです
「こんにちは。あなた、助けてあげるよ。」
黒い霧の中から突如エルフのお姉さんが現れたかと思ったその瞬間、今、俺を殺そうというところであった魔物どもが音もなく、倒れもせず、ただ体の穴という穴からドロドロとした血を垂らし、死んでいた。
「――はっ?な、え?」
ハルは今に発狂しそうな口を押さえ、目は合わせず、エルフの首筋を見た。
「ん?あのー、大丈夫?」
「ほら、もう怖いものは無いよ?」
そう言いつつも、自分が恐怖の対象に移っている事を察し、ハルを落ち着かせるため、無理やり目を合わせると、ギザ歯を見せ笑顔でピースした。
「挨拶がまだだったわね、私はルア、この付近の森の守護をまかされているわ。この世も物騒になったもね。」
ハルは物騒ということについて深掘りしようとしたが、一旦留まり、恐怖とひとまずの安心感を持ち、挨拶をした。
「俺は炭谷陽、です」
「――――ん?スミタニハル?」
「あ、えーと、炭谷、陽。陽が名前です、変ですよね?」
「うん、そうね、魔女にそんな名前なんてますます疑問ね。」
「ん?魔女、どういうとですか?」
ハルの問いかけを聞き、何かを察すると、「着いてきな」と言い、歩き出した。