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叔母からの手紙 続

 青年は少女が差し出した封筒を手に取り、彼女に頭に乗せていた手で彼女をさらに大きく撫でた。


「でかした。これは先ほどの手紙の叔母の家の執事様のものだ。これで意味わかんない手紙の内容が補完されるぞ!」


「ごめん。隠して!軍部からの呼び出しだと思ったの!」


「いいよ。今文字を勉強している所なんだろ。書けるようになったら俺に手紙を書いてくれ。俺も戦地に行くことになったら君に手紙を書くからさ。」


 ソフィは金塊を発見した冒険者のような顔を青年に向けると、殆ど叫ぶくらいの朗らかな大声で、青年にまたねと手を振った。

 そうして自分の荷馬車の御者台に乗り上げると、少しでも早く仕事を片付けるのだという意思を持って馬車を動かした。


「仕事が終わればお勉強会なんだろうけど、その先生役のマルファはまだ寝とぼけているんだ。ごめんな。」


 自宅前から遠ざかっていく馬車を見送りながら、青年はラブレー伯爵家の執事からの手紙の封を開けた。


「うわ。しっかり補完してある。流石、セバスチャン様だ。」


 彼は笑みを浮かべた顔つきで読み進んでいったが、読み終わる頃にはその顔は暗い表情に変わっていた。


「叔母のあの子はマルファか。世話になった召使いが首になったら助けてやると唆して召使いの名簿を作らせ、彼女の以前の家がルクブルール伯爵家だという事は突き止めたが、ああ、叔母は事情を知って彼女を養女に望んでいるのか。」


 孤児の彼女は、生まれたばかりの本物の伯爵令嬢と取り換えられて、伯爵令嬢として育てられていた。

 しかし、本物の令嬢が見つかった事で、彼女は誕生日のその朝に、伯爵家から追い出されてしまったという身の上なのである。


「右も左もわからない少女を放りだしたとはと俺が保護したが、独身男性の俺が保護する前に叔母に相談しておけば丸く収まっていたとはな。」


 青年は戸口から上階の窓を見上げた。

 そこからは彼が保護した少女が眠る部屋の窓は見えないが、彼は手放し難い者がそこにいるようにして見上げていたのである。


「どうするべきなのかな。」


578:イッチ 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 どうするべきなのかな


579:ワカケさん 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 また何かあったのか?


580:イッチ 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 ワカケさん

 叔母が俺のヒヨコを引き取りたいって言って来たんですよ


581:ワカケさん 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 悩む事か?

 お前のヒナは飼い鳥には出来ない奴だろ?

 イッチが責任を持って放鳥するからってさ、断ればいいだけの話だろう?


581:イッチ 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 断れないんですよ。

 叔母の方が彼女の世話についても放鳥?についてもベテランです。

 それに、俺には叔母への負債があります。


582:ワカケさん 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 金でも借りたか?


583:イッチ 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 俺の飼い犬が彼女のリスザルを噛み殺しました。

 狂暴化してきていた上に所かまわず糞尿をするからと、彼女の家の人達からは天の助けぐらいに感謝されましたけれど。


584:ワカケさん 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 そりゃ断れないな!

 その叔母さんとこにイッチも行っちゃえば?

 仕事に支障が無いならさ、ヒナが巣立ちするまでその叔母さんと育てたらどうかな?


585:イッチ 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 そうですね。

 それが一番だとわかっているのですが、

 俺はあの子を誰かと共有したくないんですよ。

 あの子は困った事があると俺を必ず見るんです。


586:ワカケさん 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 そうか。



 叔母さんにその子を渡せ。

 お前の気持ちを守るために、だ。


587:イッチ 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 彼女の為にでは無く、ですか?


588:ワカケさん 2021/05/18/06:22(木)ID:???

 そうだ、イッチ。

 お前の心を守るためだ。

 手放せなくなったその時、お前のエゴでその子は死んでしまう。

 お前は耐えられないだろう?



 青年は頭の中の妖精に何も答えることなく自分から回線を切っていた。

 自分の頭の中の言葉は、自分で考えていた事しか自分に囁かないと、彼は自嘲しながら自分の髪の毛を右手で乱暴に掻きむしった。


「ほら、しっかりしろ。俺は再戦するつもりじゃないか。俺がいなけりゃ三日たたずに餓死してしまうあの子を残して旅立てるか?できやしないだろう?」

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