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7. 宴の後


屋敷に戻りそのままベッドに横たわる、なんだかとても疲れた。

でもリリアナは可愛かった、はぁ、それでも疲れたなあ……。


「おかえりなさいませ、レイナード様」

クロードがワゴンを押しながら、部屋に入ってきた。

仕方なくベッドから起き上がると、部屋着を手渡される。


着替えながら、今日のドレスのことを思い出していた。

あーもう、一人で考えていても困惑するばかりで、考えがまとまらない。

ドレスの夢の事、クロードに話せば一緒に考えてくれるかな……

また婚姻前不安症候群と言われるだろうか。

いや、それでもいい、誰かに聞いてほしいんだ!


「なあクロード、友人として聞いてほしい事があるんだけど」

「何だ急に、最近お前そればっかだな、誕生パーティで何かあったのか?」

「パーティにも関係はある、でもそうじゃなくて夢の話なんだよ、黙って聞いてくれるだけでいいんだ」


少しの間があり、クロードは何かを言いかけた。しかし俺が真剣なのを察したようで、手際よく二人分のお茶を淹れ席に着いた。


温かいお茶を飲みながら、一昨日見た夢の内容を、覚えている限り細かく説明していった。

それに続けて、昨日フォルティス家に来ていたドレス職人が、リリアナにドレスを執拗に勧めたこと、夢を見ていなければ、ドレスの色が被ってしまい今日のパーティが大事になっていたことを話した。


「んードレスの件は気持ち悪いな、偶然にしてはおかしい」

「そうなんだ、クロードが言ったように不安症候群なのかもしれない。でもそれだけでは説明できないものがあるような気がしないか?」

「うぅん」

クロードは眼鏡をはずし、何かを考えるように額を押さえて目を閉じた。


「夢のことは気になるが、こればかりはお前が見るものだからどうもできない」

「そうだよな……」

「でもドレス職人は実在する」

「だろ? どう考えてもあのカーティスって職人怪しすぎるんだよ」

「そうだな、今日パーティが終わった……じゃあ、明日以降何か動きがあるんじゃないか?」


クロードの言葉に、ハッと息を呑む。

そうだ、職人一人の考えで出来ることではない、そんなことをしても何の得もない。

今日のパーティでリリアナとミレイアのドレスの色被りという、恐ろしい事故は回避できた。

これはリリアナにローズピンクのドレスを着せたがっていた奴からすると、不本意なはずだ。

それにカーティスがこんな危ない仕事を、無償で受けたとは思えない。

そうなるとドレス職人カーティスのもとへ、首謀者が接触するのではないか?


「そうだクロード! じゃあカーティスの店に、いや、無理だー」


ああ、あいつの店を見張っていれば、きっと不審な人物が来るのではないかと思ったが、一日中見張るなんて無理だ。

それにいつ来るのか、何日かかるかなんてわからないじゃないか。


「今レイと同じこと考えてる、近いうちに首謀者が接触するはずだよ、だって失敗したんだもんな」

「そうだよ、そうだけどさ、どう考えても無理じゃん」


そう無理なんだ、思わず二人で頭を抱え込んだ。


「あ!」

クロードが何かを思い出したように立ち上がる。


「びっくりした、どうしたんだ?」

「ちょうど従兄弟が休暇で昨日からこちらに戻ってきている、レイも何度か会ったことあるはずだ」


クロードから話を聞くと、二歳下の従兄弟が騎士学校に入学することになり、就学までの休暇期間が長いので、グリタル家に来ているとのこと。

ただ休むだけではなく、グリタル家で剣の稽古や何か簡単な仕事ができればと滞在することになったらしい。


「リドリーなら信用もできるし、バイト代出せばきっとやってくれるはずだよ」

「本当か!」


思わず席を立ち、クロードにハグしようとしたがあっけなくかわされてしまった。




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