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上下巻発売中【WEB版】愛しい婚約者が悪女だなんて馬鹿げてる!~全てのフラグは俺が折る〜  作者: 群青こちか
番外編

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執事クロードの日常

いとこんの書籍発売から一年。

コミカライズも無事に完結いたしました。

こちらは特典用に書き下ろした短編に手を加えたものです。

時系列としては第一話後、クロード視点のお話になります。

短めですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。


午前6時15分。

朝の支度を終えたクロードは、自分の部屋を出て執事室へ向かった。

昨日購入した新聞を拡げ、内容を確認しながら鉄製のアイロンに石炭を入れる。


二面目に、来年18歳を迎えるナール国第一王子の婚約者選びが始まったという記事が書かれていた。

その候補者の中に、クロードは見慣れた名前を見つける。


『ミレイア・フォルティス』


レイナードの婚約者、リリアナ・フォルティスの妹。

まだ十五歳ながら、その美貌で社交界ではちょっとした有名人だ。


クロードは、昨日レイナードがおかしな夢を見たと言っていたことを思い出していた。


三か月後には、子供の頃から大好きだったリリアナ嬢との結婚を控えている。

それなのに、夢の中では妹であるミレイア嬢を選んでしまったというのだ。

しかも、その後、レイナード自身は死んでしまったと……。


「ふっ」


クロードは作業の手を止め、思わず吹き出した。

レイナードはとにかく一途で真っ直ぐな男だ。

その真面目な男が、そんなおかしな夢を見るなんて。


「結婚って、案外不安になるものなんだな……」


そうひとり呟き、クロードはその時のレイナードの落ち込みようを思い返した。


「よし、今日の朝食はレイの好きなものにしよう」


クロードは厨房へと急いだ。


厨房では、既に料理長が朝食の準備を始めていた。

大きな鍋にはオニオンスープが用意されている。


「おはようございます料理長。今日の朝食、少しだけメニューの変更をお願いできますか?」

「やあクロード。全然構わないよ」

「ありがとうございます。では、オニオンスープに茸を追加してください。あと、スクランブルエッグは粗挽き胡椒を。あとは……フライパンと鍋をお借り出来ますか?」

「もちろんだ」


笑顔で卵を用意する料理長の横で、クロードは鍋に牛乳をそそぎ、紅茶の葉をたっぷりといれた。

手際よく小麦粉をふるい、少しだけ塩を入れた生地で、薄いパンケーキを何枚も焼いていく。

冷蔵庫からカッテージチーズを取り出し、半分に切ったオレンジの果汁を絞る。

残りの半分の皮を剥き、軽く和えてガラスの器に盛り付けた。


沸騰する寸前の紅茶入り牛乳を茶こしで濾し、砂糖を山盛り一杯。

少し冷めたパンケーキにクロテッドクリームを乗せ、メープルシロップを添えた。

料理長が用意してくれたスープと卵、そして全てのメニューをワゴンに乗せると、クロードは頭を下げて厨房を出た。

廊下を進み、レイナードの部屋の前で立ち止まる。


結婚式まで三か月。


クロードは甘い紅茶の香りを嗅ぎながら、レイナードが平穏な日々を過ごせるようにと願った。

そして、いつもどおりに部屋の扉をノックした。


「レイナード様、失礼いたします」



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