表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

121/166

SS20 タルトののんびりお洒落会

「ほぎゃああああ! ど、どうしよう~!」


タルトは叫んだ。

【小さな手】の頭脳、賢いタルトでも出ない答えに苦しんで。


「あ、明日のカインさんのデートで何を着ればいいんでしょうか~!」


策には情報が必要だ。

【小さな手】の美女たちの様子はある程度であるが仕入れていた。


ココルは、普段と同じ装いだったが少しだけ化粧をして、いつも通りプラス背伸びした私を演出していたらしい(街の人談)。

レオナは、クリーム色のシンプルなデザインの上着と短めのパンツで素材の良さを十分に生かした清純天真爛漫娘となっていたらしい(街の人談)。

それにいつもタルトを氷漬けにしようとするシアは、水色の涼やかなドレスに近いに薄布を羽織ったとても美しい装いでカインも釘付けだったらしい(本人談)。



彼女たちははっきり言って美女だ。

百五十を超えていながら小柄でちんちくりんなタルトでは出来ないような恰好が彼女たちには出来る。


「はあ……ワタシなんか何着たって一緒、ですよねえ……」

「なら、私にデート権譲る?」


ため息を吐くタルトの真横に顔があった。

真っ白で美しい氷の微笑を浮かべているのはシアだった。


「ほんぎゃああ! い、いつの間に!?」

「五月蠅いわ。タルト、口凍らせるわよ」

「やめてくださいよ! シアさん、本気になれば一瞬で出来ちゃうんですから……! それよりなんで?」

「いい、私はタルトのことはさておき、カインさんのことは最重要事項なの」

「はあ」

「だから、明日のデート、カインさんが楽しめなかったら、貴方を凍らせるから」

「ほぎゃああああ!」

「だから、貴方が自分なんてって諦めるのは嫌なの。はい、これ」

「これ、は……?」

「貴方に似合いそうなもの適当に見繕ってきたから。着てみなさい」

「シアさん、本当はワタシの為に来たって正直に言ってもいいんですよ、うりうり」

「……凍らせちゃおっかなー」

「ほんぎゃあああ! 着替えてきます!」


いくつかの着替え、そして、シアの酷評を重ね、漸く服装が決まる。

白のちょっと豪華なシャツと黒いスカート。


「うん、まあ、これが一番ね」

「あ、あのう……ちょっと、これ、大人っぽすぎませんか?」

「……似合うから、一番って言ってるの。なに? 疑うの?」

「……いえ、はい、わかりました」


シアが他の服を収め始めるとタルトも慌てて手伝い始める・


「あのね、」

「はい」

「貴方は、普通に、素敵よ」

「へ?」

「じゃあね、帰る」

「あの! シアさん! 今なんて?!」

「帰る!」

「そっちじゃなくて!」


慌てて出ていくシアの後ろ姿をタルトは見る。

白い首筋は女性でも見惚れるほど美しい。

そして、赤くなった耳は、タルトもドキドキさせるほどかわいらしい。


タルトは一人残された部屋で口をもにょもにょさせる。


「ほ、ほぎゃあ……ど、どうしよう~! あした、あした、がんばろう~!」



そして、次の日シアの選んだタルトの服装に間違いはなかった。

けれど、帰り道ずっと手をつないでいたのは間違いだったらしい。

後日その情報を得たシアに氷漬けにされかけたのは、また、別のおはなし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ