2話-4
一成たちと別れ機械人形が暴走している現場に向かう。
やがて到着した現場には逃げ惑う人々と、彼らを安全な場所へと誘導している警備員。
そして、会場護衛の為に呼ばれたであろうヒーロー達が、二十機ほどの機械人形に囲まれていた。
「クソッ! この数じゃ、俺達もここで終わりか……」
「諦めるなよ! スケボーの力を見せてやる! これでも喰らえ!」
スケートボードに乗って地面を蹴り飛ばして械人形達に突っ込み、両腕に装備しているスケートボードで機械人形を殴り飛ばす男性。
「カッパッパー! 蒙古河童流奥義『ディッシュスライサー』!」
手に持った胡瓜を一齧りし、頭頂部を擦ると共に発生した光の刃で機械人形に立ち向かう、顔の部分が露出している河童の着ぐるみ。
……スライサーという割には機械人形を切断できておらず、装甲に傷を付けるにとどめているのが悲しい。
「……諦めるのは早いか。『スケーター』! 『モンゴルカッパー』! この俺、『バナナメン』もお前らに負けていられないな!」
黄色いタイツを着用した男性が仲間のヒーロー二人を褒めると同時に、機械人形の足元目掛けて何かを投擲した。
三人のヒーローに向かってきていた機械人形の内一機がその何か……バナナの皮を踏みつけると同時に、周囲の機械人形を巻き込んで転倒する。
「今だ! 総攻撃!」
バナナメンの号令と共に三人のヒーローが倒れている機械人形へと一斉に殴りかかる。
……しかし、彼らの攻撃には火力が圧倒的に足りておらず、機械人形を破壊するには及ばない。
「そこをどいて!」
アタシの叫び声を聞いてヒーロー達が即座にその場から飛び退く。
……ヒーローとして活動しているだけあって、判断力は流石といったところかな?
立ち上がろうとする機械人形の下から風を巻き起こし宙へと打ち上げた後、上から突風を吹き付け、地面へと叩きつけて破壊してやる。
アタシが地上に降りると共に、三人のヒーローがこちらへと向かってくる。
「おいおい、ストームガールじゃないか! 凄いな、本物だ」
「会場にいるヒーローは俺達だけだと聞いていたが、何故ここに?」
バナナメンは驚き、スケーターは疑問を口にする。
モンゴルカッパーは黙って周囲を見渡している。
「知り合いから個人的に護衛を頼まれていたんです。それで、何があったんですか?」
手短にアタシがここにいる理由を伝え、どうしてこうなったのかを問いかけると、三人を代表してバナナメンが口を開く。
「展示されていた機械人形が急に暴走を始めたらしい。俺達が駆けつけた時には既に暴走していたんだ」
「……展示されていた機械人形の数より、明らかに多かったですよね? 暴走していた機械人形」
一成と会場内を回った時に機械人形が展示されているのをみたが、会場全体でも十機ほどしか展示していなかった筈だ。
残りの半分は一体どこから現れたのだろう?
「それはだな――」
「カパー! 周りを見ろ!」
アタシの疑問に答えようとしたバナナメンの声は、急に叫び声を上げたモンゴルカッパーによって遮られる。
モンゴルカッパーの声に従い周囲を見渡すと、瓦礫の中や物陰から複数の機械人形が姿を現した。
「機械人形と戦っている最中に奴らの増援が現れたんだ。ストームガール、アンタが来なかったらどうなっていた事かわからないぜ」
「おいおいスケーター。随分と弱気じゃないか? そんなんでヒーローとしてやっていけるのかよ」
救援に来たアタシに感謝の意を示したスケーターをバナナメンが茶化す。
「カパー。さっき諦めようとしていた奴が言う台詞じゃないカッパ」
「ジョ、ジョークに決まってるだろ! ……ストームガール、俺達だけじゃ少し手が足りないみたいだ。一緒に戦ってくれるか?」
弱音を吐いていた事を暴露されたバナナメンは、その事を誤魔化すようにアタシに協力の依頼をしてくる。
……答えは決まっている。
「勿論、アタシも一緒に戦うよ」
「あのストームガールがいてくれれば百人力だカッパ……どうやら、お喋りはここまでみたいだ」
……いつの間にか、アタシ達は機械人形に取り囲まれてしまったようだ。
先手必勝、アタシ達は互いに顔を見合わせた後、一斉に機械人形目掛けて攻撃を仕掛けた。




