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4話‐8

「部下達を可愛がってくれたお礼よ。今度はアテクシがたっぷりと可愛がってあげるわ!」


「気持ち悪いんだよ! このデカブツが! 少しばかり図体がデカいからって、パワーならこっちも負けてないぞ! ……多分」


 マシーンクラブの突撃を一成は両手で受け止め、僅かに後ずさりながらもその場で踏ん張る。

 しかし、両手の塞がった一成をマシーンクラブはクローの付いたアームで払って吹き飛ばしてしまう。


「アタシが相手だ!」


 マシーンクラブの注意を引き付ける為に叫びながら、竜巻を生み出し突っ込ませる。


「……う、嘘でしょ!?」


 先程のような機敏な動きではないながらもマシーンクラブが竜巻を抜け出し、アタシの元へと迫る。


「だったら、これでもくらえ!」


 マシーンクラブ目掛けて空気弾を叩きこむが、勢いは収まる事なく前へと進みアタシに近づいてくる。

 ……マシーンクラブを破壊するには、少し威力が足りない。

 だったら、マシーンクラブを操っているジェネラルGを直接叩く!

 アタシを捕まえる為に伸ばされたクローアームを躱し、マシーンクラブ上部に生えているジェネラルGへと突撃を仕掛ける。


「あら? 飛んで火にいる夏の虫って所かしら!」


 ジェネラルGの叫びと共に、奴の眼が怪しく光る。

 発された怪光線を躱した瞬間、足首に違和感を感じると同時にアタシの視界がひっくり返った。


「きゃあ!?」


 ジェネラルGの背部から伸びたアームに足首を掴まれたアタシは、宙吊りにされて思わず悲鳴を上げてしまう。


「捕まえたわ! さあ、どうしてくれよう――」


「おらぁ!!」


 一成の投擲した瓦礫の破片がジェネラルGに当たり、アタシの足首を掴んでいたアームが緩んでアタシは自由を取り戻す。


「颯花! 大丈夫か!」


「勿論!」


 ジェネラルGが怯んだ隙に奴へ近づこうとするが、四本のアームに行く手を阻まれて近づく事すらままならず、一度地上に退避する。


「颯花、どうにかなりそうか?」


「少しだけでも隙ができればどうにかなると思うんだけど、中々隙を見せてくれないな」


 一成は、僅かに考える素振りを見せた後に口を開く。


「隙を作れば、どうにかなるんだな?」


「多分……いや、絶対にどうにかするよ」


「そうか。なら、後は頼んだ!」


 アタシの返事を聞くと同時に、一成はマシーンクラブ目掛けて突撃する。

 一瞬だけ本当に大丈夫か聞こうと思ったけど、一成なら大丈夫。

 アタシはすぐさま行動に移れるように少し離れて宙に浮き、一成達の様子を観察する。


「アテクシのマシーン痛っ、マシーンクラブに正面から挑もうって痛っ、……挑もうって訳? 叩き潰し痛っ、…………ちょっと! アテクシが話してるんだから、ちゃんと話を聞きなさいよ!」


 ジェネラルGが何かを話している間も、一成の放った光弾がジェネラルGに何発か直撃する。

 大した痛みは無いみたいだが、余程鬱陶しかったのだろう。

 ジェネラルGが激高すると共に、マシーンクラブのクローアームが一成を掴むとそのまま壁に叩きつける。

 一成は何とか抜け出そうと足掻いているが、彼を壁に押し付けているクローアームはビクともしない。


「あら? 助けないのかしら? まあ、アテクシはどっちでもいいのだけど」


 ここでアタシまで突っ込んでアームに捕まってしまっては、共倒れになってしまう。

 ……一成は隙を作ってくれると言った。

 今アタシにできる事は、一成を信じてチャンスを待つ事だ。


「貴方も可哀そうね。あの小娘を助けにきてあげたのに、貴方がピンチになったら見捨てられるなんて」


 アタシが動かないと見るや、ジェネラルGは一成の方に向き直り、嫌味ったらしい笑みを浮かべながら話しかける。


「さっきからペラペラと五月蠅いんだよ! これでもくらって黙ってろ!」


 一成が叫ぶと同時に、装甲服の頭部装甲が展開して額に納められていたライトが眩く光る。


「なっ……目が!」


「やれ! 颯花!」


 アームから解放されて地面へと落下していく一成の言葉を聞くよりも早く、アタシはジェネラルGの元へ翔ける。

 ジェネラルGは闇雲にアームを振り回してアタシを近づかせないようにしように暴れるが、視力を奪われている以上、その防御は万全ではない。

 暴れるアームを掻い潜り、ジェネラルGへと接近する。

 アタシが何故『(ストーム)』の名を冠しているのか、その訳を今から目の前にいる悪党に知らしめてやる。

 アタシが両腕を横に伸ばすと、腕の周囲を風が吹き荒ぶ。

 腕の周囲が灰色の雲に包まれ、風と水が激しく渦巻き雷鳴が轟く。

 文字通りの『嵐』を纏わせた腕を手刀の様に振り抜き、ジェネラルGの身を守る装甲を切りつける。


「ぐ、がァァァァァァ!!」


 風の刃と稲妻により装甲を傷つけ破壊し、背中から生えるアームも切断する。

 内部のジェネラルGにも衝撃は伝わり、野太い声で悲鳴を上げる。


「まだまだ!」


 次はマシーンクラブ本体を切りつけ、その頑強な装甲を次々と傷つけ剥ぎ取っていく。


「これで……とどめ!」


 装甲が剥がれ、あちこちから煙が立ち上り、火花を散らして見る影も無くなったマシーンクラブから距離を取り、腕の周りを渦巻いていた雷雲を球状に纏めて射出する。

 雷雲はマシーンクラブを完全に破壊。

 既に活動限界を迎えていたであろうマシーンクラブにこの攻撃を耐える事はできない。

 機械の最期の意地なのか、操縦者であったジェネラルGを上空に射出し、轟音と共に爆発四散する。


「逃がさない!」


 ジェネラルGが飛ばされていった先へ、アタシも飛んでいく。

 ……辿り着いた場所は、島の端にある断崖絶壁の崖。

 傷だらけのジェネラルGはそこで、力無く横たわっていた。


「……さあ、追い詰めたよ。貴方の所属している組織や、どうして刑務所を襲撃したのかとか色々と聞かせてもらわないとね」


 アタシの声を聞き、ジェネラルGは顔を上げると口を開く。


「早く来すぎよ……少しくらい休ませてくれてもいいじゃない。……色々聞かせてもらうって言ったけど、素直に話すと思っているの?」


「時間はたっぷりあるからね。刑務所でゆっくりと話を聞かせてもらうよ」


 ジェネラルGは小馬鹿にしたように鼻を鳴らすと、ふらつきながらも立ち上がる。


「まさか、アテクシを捕まえるつもりなの? 虜囚の辱しめを受けるつもりはないわ!」


 そう言うと共に、ジェネラルGの眼から光線が迸る。

 そんな体力が残っているとは思っておらず、アタシが何とか光線を躱した隙にジェネラルGは崖っぷちを目掛けて駆け抜けた後、アタシの方に振り向いた。


「ストームガール! 今日の所はアテクシの負けにしておいてあげるわ! だけど、いつか必ず貴女に復讐して見せる! その時まで、首を洗って待っていなさい!」


「待て!」


 手を伸ばしてジェネラルGへと駆け寄るが、アタシが辿り着くよりも早くジェネラルGの体は崖下へと消えていく。

 アタシが崖っぷちへ辿り着いて眼下に広がる海をのぞき込んだ時、既にジェネラルGの姿はどこにも見当たらなかった。

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