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3話‐6

「覚えてなさい! アテクシ達に逆らった事を、後悔させてやるわ!」


 功夫服の男が去って行った方向へとジェネラルGが喚き散らす。

 ……さて、一成が解放された事で抵抗ができるようになった。

 まずは一成を安全な場所まで連れていく必要があるけど……。


「ジェネラルG様! お気持ちはわかりますが、今はストームガールに集中しましょう!」

「……ええ、貴方の言うとおりね。冷静にさせてくれてありがとう。今晩、アテクシの部屋に来るといいわ。ご褒美を、ア・ゲ・ル」


 部下の進言によって我に返ったジェネラルGが、屋上からアタシと一成の事を見下ろす。

 ……どうやら一成を逃がす事は、難しそうだ。


「一応聞いておくけど投降する気はない? 今ならアタシも自分を抑える事ができるから、大人しくしてくれれば怪我をしなくてすむよ」


「貴女こそ降参したら? アテクシ達の方が圧倒的に人数が多いのよ? それに、そのぼうやを抱えて勝てるとでも?」


 ジェネラルGがそう言うと先程吹き飛ばした男達が起き上がり、アタシの周りを囲む。

 一応降伏勧告を行っては見たが、案の定断られちゃったか。

 しかし、この手の悪党はちょっと人数が多いだけで何故、アタシに敵うと思ってしまうのだろうか?


「そっちがその気なら、アタシも手加減しないよ!」


「お前達、やっておしまいなさい!」


 先手必勝。

 ジェネラルGの号令によって男達がアタシに銃を向けようとするが、それよりも早く腕を振るい突風を放って男達を怯ませる。


「一成、少し手荒な扱いをするけど我慢してね」


 アタシは一成を小脇に抱えると、周囲を囲む男達の一角に向けて突撃する。

 迎撃しようとする男達に回し蹴りを放ち、蹴り飛ばす。

 更に、回し蹴りによって発生した風圧で何人かの男達を吹き飛ばし、アタシ達を囲む包囲網に穴を空ける。

 包囲から脱出すると、工場の屋上……ジェネラルGのいる場所目掛け、飛翔した。


「アテクシに直接挑もうってわけ? その勝負、受けてあげる!」


 ジェネラルGが眼帯に手をかけずらすと共に、その下に隠れていた瞳から光線が放たれる。

 アタシはその場で急上昇してジェネラルGの光線を躱す。

 ……アタシが躱した光線は、アタシの事を背後から攻撃しようと男達の銃から放たれた光弾を飲み込み、男達に炸裂して土煙が舞い上がる。

 土煙が晴れた後、そこには煤だらけになって倒れている男達の姿があった。


 ……本当は男達の銃撃をジェネラルGに当ててやろうと思ったのだけど、まあ結果オーライだ。


「よくもアテクシの可愛い部下たちを! 本格的に許すわけにはいかなくなったわ!」


 ジェネラルGの理不尽な怒りを聞き流しつつ、アタシの中に一つの疑問が生まれる。


「今の光線、この前の万引き犯や文ちゃんを誘拐しようとした奴等と同じ超能力? 同じような能力の超能力者が、同じ団体にここまで集まる事ってあるの?」


「フフフ、どうせ貴女の事はここで葬るから冥土の土産に教えてあげる。ここで取引しようとしていた超能力薬はアテクシを研究材料に作られたの。だからこのお薬を摂取すればアテクシと同じ超能力が使えるようになるのよ」


 思わず口に出した疑問に、ここまでご丁寧に答えてくれるとは。

 ……それにしてもそんな薬を作れるなんて、ノワールガイストとは思っていたよりも巨大な組織なのかもしれない。


「……今ならまだ降伏を認める。貴方の仲間はもう殆ど残っていないよ」


 ジェネラルGの光線によって、奴の部下は脇に控えている二人を除いて全員倒れてしまった。

 ここいらで降伏してくれると、アタシとしては楽なのだけど。


「降伏? する……訳ないでしょ!」


 ジェネラルGは叫ぶように降伏勧告を拒否し、閃光を放つ。


「早――」


 その閃光は今まで見たどの光線よりも大きく、そして速かった。

 光線が当たる前に急降下して何とか躱すことには成功したが、当たったらどうなっていたかわからない。


「言い忘れていたけど、超能力薬ではアタシの超能力を百パーセント再現できないの。だから、そういう意味でも欠陥品なのよね!」


 ジェネラルGが叫ぶと共に、再び光線が放たれる。

 ……やはり、他の奴等とは一線を画すみたいだ。

 早々にケリをつける為、アタシは光線を躱すとジェネラルGの元へ一直線に突撃する。

 反撃を試みようとするジェネラルG達を風で怯ませ、その隙を逃さずに部下達と三人纏めて屋上から蹴り飛ばす。

 一成を屋上に置いて吹き飛ばされた三人を助けにいこうとするが、屋上から放り出されたジェネラルGは、同じく放り出された上に気絶してしまった二人の部下を小脇に抱えるとそのまま地面に着地する。

 ……地表まで五メートル以上はあるはずなのに、無傷で着地できるのか。


「よくもやってくれたわね! 今度はこっちが――」


 ジェネラルGが何かを言おうとするが、遠くから聞こえたサイレン音に反応して最後まで言い切る事はない。


「……どうやら潮時のようね。ストームガール! 今日の借りは、いつか必ず返させてもらうわ!」


「待て! 逃がすわけない――」


 逃走を図るジェネラルGを追いかけようとするが、ジェネラルGが地面に何かを叩きつけたかと思うとアタシの視界が白く染まり、視力を一時的に奪われる。

 数秒の後、視力と取り戻すが、そこにはジェネラルGと彼に抱えられていた二人の男の姿は既に無かった。


「閃光弾……逃げられちゃったか」


 このまま周辺を探しても良かったが、まずは一成を自由にしてあげよう。

 一成を抱えて地上に降りた後、彼を拘束から解放して猿轡を取り外す。


「一成、大丈夫? 怪我は無い?」


 見た所怪我は無いようだし、暴力を振るわれる事もなく助け出す事はできた。

 でも、それはアタシが見ていた範囲での話だ。

 ここに連れてこられるまでに、どんな扱いを受けていたのかわからないし、服の下に怪我をしているかもしれない。

 心配して声をかけるアタシに、僅かな間何かを考えた後、口を開く。


「ふ、颯花。もう俺に関わらないでくれ」


 一成の口から出てきたのは、アタシを拒絶する言葉だった。

いつも私の拙作を読んでいただき、ありがとうございます。

今回の話が良かったと思っていただけましたらブクマ・ポイント・感想をもらえると、筆者のモチベーションが上がるので非常にありがたいです。

ゴールデンウィークなので次回は今週の水曜日に投稿します。

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