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初めて経験した兄との別れ

作者: さんぼぼ
掲載日:2020/03/02

今から13年前の物語。

兄が一人暮らしをする

といい始めたのは、僕が14の時の二月ぐらいかな。


最初に聞いた時はあぁそうなんだ。


なんてあまり深く考えなかった。


「俺、三月に家出ていくわ。」


兄がその言葉を家族に伝えた時、両親は反対してた。


僕にはその理由がわかる。


確かに20歳、一人暮らしをするには丁度いい年頃。


でも。

兄は家事はできないし、

仕事は美容師をしているけどまだ新人だから収入だって少ない。



多分、

そういう理由が両親は心配だったんだろう。



でも兄は頑固だった。




三月に近付くにつれて、兄は生活用品を買い集めていた。



両親も、説得を諦め一人暮らしを手伝うことにしていた。




その時の僕の心情は、まださびしくなんかなかった。


僕の心情が変わり始めたのは、兄が家を出ていく一週間前ぐらい。


いつも家に帰ってくるのが遅い兄が、一週間前くらいになると毎日早く家に帰ってきた。



その一週間、兄と過ごした一緒の時間、毎日が楽しかった。


一緒に食べた夕食


一緒に笑ったテレビ


一緒に犬と遊んだこと。


家を出ていく三日前になると兄がipodを僕にくれた。

「これ、やるよ。 」

その一言だけ。


次の日には兄が高校の時に使っていた、ドラムのバチをくれた。


「これ、やるよ。ドラムちゃんと練習して、俺の後を引き継げよ。」


ドラムのバチを見てみると、ほとんどのバチが傷だらけになっていた。



こんなの使えないだろ。



と思ったりもしたが兄が残してくれた大切なバチ大事にしようと思った。


いよいよ別れの、日曜日。


僕は午前中部活。


部活から帰ってくると兄と父が車で荷物を運ぼうとしている最中だった。


荷物があまりにも多いので父は車で三往復しなきゃならないなといっていた。



…まだその時は、兄にまた会えるからと僕は兄にはなにも伝えず、家に戻った。



家に入ると兄が過ごしていた部屋が綺麗に片付いていた。




…その風景を見た時、

兄と一緒に過ごしてきた時間が僕の頭の中で走馬灯のように思い出されて、泣きそうになった…。



その一時間後。



父が戻ってきて、荷物運び手伝え。と言ってきた。


僕はもちろん承知し、

すぐに

荷物を車に運び終えた…



これで兄と過ごす時間も後少しだな…。


兄の住むアパートについた


正直いってあまり綺麗じゃない、景色も隣がマンションだから決して美しいとは言えない。



それでも一生懸命兄が見つけた物件。



荷物も全てアパートに運び終わり、


もう……

最後の別れが訪れた、

兄の家の玄関で、


「それじゃあね。

 …これから頑張って。」


「あぁ。

 手伝いありがとうな。

 俺も頑張るから、お前も頑張れよ。

 …それじゃあな。」


兄と交した最後の言葉。

もっとはなしたかったな。


家に帰ったら僕の携帯にメールが一通。



誰からだ?



メール受信ボックスを開く


兄からだった。



「今まで、ありがとうな。 おまえと過ごした時間楽しかったよ。

まぁ会えなくなるわけじゃないんだしさ。

またいつでも会いにこいよ。

お前がこっちにくる頃には立派な美容師になって待ってるからな!」





そのメールを

読み終えた瞬間、


僕の目からは



一筋の涙が


こぼれ落ちていた…。

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