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事故とは互いにとって大抵不幸なものである  作者: JUN


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14/22

合コンという名の狩場

 真矢と菜子は着替えていると、更衣室に入って来たリン姐さんに呼びかけられた。

「今晩、暇?」

「まあ暇ですけど?」

「飲み会ですか?」

 リン姐さんは笑って、

「あなた達、彼氏いないでしょ」

と言う。

「リン姐さん。異世界に飛ばされてきて、そこまでの余裕はまだあらへんわ」

 菜子が苦笑した。

「いやあ、結構ありそうに見えるけど・・・エンジョイしてるわよね?」

「それなりにはしてますけど、かつかつですやん。うちら、新人やし」

 ぬけぬけと真矢が言う。

 その向こうで、ロレインが微妙な顔をしている。

「まあ、いいわ。ロレインも、暇よね。3人共、合コンが今日あるからいらっしゃい」

「合コンですか」

 真矢は浮かない顔だ。

「そう。向こうの幹事は知り合いの幹部公務員よ。高給取りよ」

 ロレインは、おお、と目を輝かせた。

「と言うわけだから、6時に寮の玄関でね。しっかり武装してくるのよ、いいわね」

 リン姐さんは異様に強い目力を発してそう言い置くと、更衣室を出て行った。

「武装・・・」

「確かに武装やな、あれは」

 真矢と菜子は、以前の記憶を辿って、

「こっちも同じかあ」

としみじみと頷いた。

「ロレインはどんな格好して行くん?」

「ふんわりした感じのチュニックに緩いパンツ。ローヒールで、インナーはタンクトップかな」

「おお。フェミニンながらも甘すぎないってやつやな。たぶん」

「・・・菜子。わからんファッション用語、無理して使わんでもええ」

「チラシとか雑誌とかに出て来るけど、ようわからんかってん」

 真矢の突っ込みを、菜子は素直に認めた。

「そうと決まれば・・・。

 じゃあ、お先に!ちょっと走って来るから、また後でね!」

 ロレインは嬉しそうに走って行った。

「合コンかあ。何着て行こ」

「そうやなあ。そら、こっち来てから着替えも買ったけど、なあ」

 真矢も菜子も、仕事中は制服だ。だから、日中のほとんどは制服を着ている事になる。後は、寝る時用のパジャマ、寝るまでの部屋着としては緩いズボンとTシャツやトレーナー、外出用にジーンズとシャツとトレーナー。こちらに来る時に来ていた服は、ちょっとよそ行き用だ。

「・・・私らのファッション事情って、何か、ちょっとヤバイ?」

 菜子が恐る恐る真矢を窺う。

「そうやな。田舎の中学生レベル――いや、もっと酷いな、我ながら」

 真矢も、沈痛な面持ちで頷く。

「まあボチボチと思ってたからな。今回は、ひらパーで着てた時のでええわ」

「そうやな。その内、ほんまにちょっと買いに行こ」

 2人は、ちょっと反省をした。

 が、続きはしない。

「合コンって、何回か行った事あるけど、あれは面白いなあ」

「皆別人になるもんな。ハンターや、ハンター」

「怖っ!」

「普段は聞いた事も無いような趣味が突然できたりな」

「そうそう。初耳の日課や習い事ができたと思ったら、ボーイフレンドが突然この世から消去されてんねん」

「改ざんしまくりやろ」

「名前しか同じ要素ないやん」

「それで彼氏が首尾よくできたら、段々と本性を現して行くねんな」

「ちょっとずつ、自分の居心地がええように、慣らして行くねんで、あれ」

「そこはもう、飼育員か。ムツゴロウさんもびっくりやわ」

 並んで更衣室を出て、寮に帰って行く。

「でもまあ、わかるで。学校は忙しいから彼氏もできへん。医者がもてるいうても、それは男か、継ぐ病院持ちの女か」

「少なくとも、解剖医は嫌がられるねんなあ」

「そういうあんたも死ぬ、いうねん」

「まあ、いつものあれや」

「参加費分の飲食を」

 そして着替えに行き、待ち合わせに現れたお互いの姿に呆然とする。

「菜子、それで行くん?」

「リン姐さんにしっかり武装して来いって言われたしな。武装に服を合わせてみたんや。

 ロレインの服の意味も、ちょっと分かったかな」

「そうやな。動きやすく、食べやすく、酔っても荷物を無くし難い」

「完璧でしょ」

 ロレインは要するに、お腹周りが楽で、座るのも楽で、酔っても大丈夫なように小さなバッグは腰に装着もできるから無くさない。

 ちなみに、走って胃腸の調子は上げてある。

 菜子は、ジーンズの上にTシャツを着て、その上から大きなストールか何かを着物の袷のように羽織って腰を幅広の布で巻いている。とどめに、穴の開いた硬化を紐にたくさん通して腰にぶら下げて、腰の布に十手を差し込んでいた。

「銭形平次やん」

「お~と~こだった~ら~」

「歌わんでええから」

 真矢はううーんと唸った。

 そんな真矢は、こちらに来た時の格好だ。デイバッグをしっかりと持っている。

「それ、いるか?」

「ここに入れたら、おにぎりみたいに消えへんかなあと思って。実験してみるわ」

「その割にいっぱいみたいやけど」

「空のタッパーとジッパー付きビニール袋や」

「真矢もある意味武装済みか」

 そんな3人を見たリン姐さんは、きれいにセットしたゴージャスな髪形の頭に手を当ててよろめいていた。



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