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星環調整師 メアリー  作者: ぺっこり
3/6

3話 晴れなのに雨?


『なぁ嬢ちゃん・・・申し訳ないんやけどな・・・』


メアリーを頭に乗せたウナギルスは渋い顔をしながら話しかける


「どうかしましたか?ウナギルスさん」


頭の上のメアリーにはウナギルスの表情はわからない。

ブヨブヨした頭が少し固くなったかな?と思ったくらいだった。


『嬢ちゃん・・・重いわ・・・ちっこいのに何て重さや・・・頭上がらんで・・・』


なんて失礼なうなぎなのだろう!

しかし怒ってはいけない、冗談のきついうなぎなのだ・・・

誰の影響かホント良くわかる・・・


「・・・先程そのヒゲで持ち上げてくれましたよね?」


『しもた!?・・・そうやったぁ!ナハハ』


悪びれもせずにカラカラと笑ううなぎ

誰かこいつを蒲焼にしてくれないだろうか、さぞ美味しいだろう・・・


『冗談!冗談やて!そう怒らんで?な?寂しいウナギルスさんの可愛い冗談やんか!』


焦るウナギルス・・・なんか気のせいかウナギルスがヌルヌルしてきたような・・?


「しょ、しょうがないですね・・・もういいですから早く運んでください!」


メアリーはいくぶんか膨れ面だがヌメヌメにされてはたまらない。


『よっしゃ!ほないくで~』


グイッと頭を持ち上げると重さなんて感じていないように運ばれていく。

このうなぎは本当にいい性格をしている。

この仕事が終わったら蒲焼を食べよう、美味しいやつを食べようと心に決めたメアリーであった。


しかしウナギルスは不思議な生き物である、メアリーの身長の6倍はあろう滝をまっすぐ上っていく。

一体どういう体をしているのか・・・

メアリーの知っているうなぎは、一人前になったお祝いにおじいちゃんに連れて行ってもらった

うなぎ屋の水槽で見たものの記憶しかない。

あのうなぎは美味しかった、あそこに食べに行ってもいいかもしれない。

思い浮かべるうなぎの通りなら何かにまきついて上げているのだろうか、だとすると・・・

一体どれだけ大きいのか、蒲焼何人前だろう・・・そういえばお昼まだだったな・・・


『ほれ、ついたで』


そんなことを考えていると呆気なく滝の上へとたどり着いた


『んじゃここまでやな、アレを見に行くんやろ?なら急いだほうがええで』


ウナギルスはヒゲでメアリーを降ろしつつ興味なさ気にそう言った。


「ウナギルスさん、運んでいただいてありがとうございます。

 聞いてた話ではまだ余裕があるかと思うんですが、急いだほうがいいんですか?」


「というかウナギルスさんは私がどこに行くかわかるんです?」


『そら今ココに来たってことはそういうことなんやろ?まぁ”かみさん”に口止めされてるから

 詳しくは言えんのやけど・・・ただなぁ多分・・・一雨くるで?』


「雨が降るんですか?そんな天気じゃないですけども」


メアリーは空を見渡しながら言う、雨が降るような気配は全く無い。

雲はあるけども雨雲のようなものは見当たらない。


『ん?雨と天気は関係無いで?』


ウナギルスは不思議そうに見つめてくる。

口に出していなくても、何言ってんだこいつと思っているに違いない目をしている。


『なんや、ココ初めてなんか?んじゃええこと教えたるわ、ソコに花が咲いてるやろ?』


あごをヒョイヒョイとしゃくって得意げに少し離れたところにある花を指す。

メアリーの足首くらいの高さの小さな黄色い花が咲いている。


『あの花な、雨が降りそうになると葉っぱを広げるねん

 水ん中で歌ってると嫁がうるさいうるさい言うてな?普段は頭出して歌ってるんやけど、

 今日は出かけてるから・・・鬼の居ぬまに?ってやつやな

 まぁ普段顔出してる時に気づいたんやけど、葉っぱを広げてると大体雨降り出すで』


ウナギルス・・・嫁がいたんだ・・・そして尻に敷かれている。

何とも世知辛い話を聞いてしまい、少し同情してしまった。

それにしても妙な言葉をしっている、おじいちゃん・・・自分の星が好きすぎじゃないですか?


「そうなんですか・・・確かに葉っぱを広げてるみたいですね?しっかりと見たのがはじめてなので

 よくわからないですけども・・・」


『あぁ、今が葉っぱを広げてるんやで、大体まぁそんなにかからずに雨が降り出すなぁ』


「それは・・・困りますね・・・結構強く降るんですか?」


メアリーは思わず顔をしかめる。


『んーにゃ、強くはないで?まぁ何年かに一度どっさり降るけどな、でもこの前降ったばかりやし

 そんなに降らんやろ』


雨に降られるのは困るものの、強くないのであればまぁ仕方ない、まだマシだと思うことにしよう。


『ただなぁ雨が降るとあいつらが出てくるからなぁ・・・おらんと困るんやけど、

 おっても困るっちゅうやっかいな・・・んまぁいつものことやしなぁ』


「なんのことです?」


ウナギルスがどうも歯切れが悪い、雨が降ると何か厄介なことがあるようだ


『なんやろなぁ、ようわからんのやけど雨が降るとぎょうさん出てくるやつがおるんよ、

 まぁみんな雨が無いと生きていけんからな、そういうやつも出てくるんやけど・・・

 雨が降るとわらわら出てきてまぁ~大変なんや、水の中には入ってこんから、

 ワシらは大したこと無いんやけどな。』


「ん~よくわからないですね・・・私はどうしたらいいんです?」


『せやなぁ・・・あいつら地面から生えてくるし、木には登れんから囲まれたら

 木の上に逃げたらええんとちゃうか?しばらくしたらあいつらが好物なやつらが出てくるから、

 大体そのとき食べつくされるから待っとけばええで』


「うーん・・・わかりました、晴れてる内に距離を稼いで囲まれたら木の上に避難しますね、

 ご心配ありがとうございます。」


『おう、そうそう、あいつらが食われてる時には手を出さんようにな、食事の邪魔をせんかったら

 手を出しては来んから、あんたもご馳走食べてる時に邪魔されたら怒るやろ?』


「わかりました、色々とありがとうございます、では、私は行きますね。」


食事に関係なく神経を逆なでしてくるウナギルスがソレを言うかと思いつつ、メアリーは旅路を急ぐ事にした。


『気ぃつけてな~”かみさん”によろしく~』


滝つぼへ戻っていくウナギルスへ手を振りながら足を動かす、多少失礼だが急がなければならない。


星環調整師の仕事に不足の事態は付き物だ、というか大体予定通りには進まない。

おじいちゃんの仕事の場合、他よりはマシだが・・・それもあまり変わりない。


厄介ごとの予感に渋い顔をしつつ雨が降るまでに距離を稼がねばと足を速める。


「今はご飯を食べてる余裕は無いようですね・・・」


聞いた厄介事よりも空腹を意識してしまったことによる苛立ちがメアリーには辛かった。


とりあえず一部を完結させないとなぁととりあえず頑張ろう


ウナギルスがウナギラスになっていたのを修正


どっちでもいいけども、ウナギラスだと怪獣感が高いですね。

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