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大剣豪

「俺たちの勝利だ!」

「「「うおおぉぉぉ!!」」」


アルデン兵を蹴散らし、戦いを終えたフリードは、勝利の宣言をした。それと同時に、仲間達が大きな歓声を上げるのだった。


こちらの死傷者はなんと0人。この平和なご時世、まともに剣の練習を積まなかったのが、アルデン兵全滅の原因だったようだ。


歓喜する仲間の様子を見て、フリードは少しばかり勝利の余韻に浸っていた。


それは間違いだった。



「ーーどこから来てどこへ行く」


突然、大広間に響いた謎の声。声質的に老人なのは間違いないが、その姿はどこにも見えなかった。


フリードも、仲間達も、辺りを見回すが周囲には誰もいない。


気のせいか、と仲間の1人が油断して剣を下ろした所で、そいつは現れた。


「油断することなかれ、山賊よ」

「ッ、全員しゃがめ!!」


フリードの突然の指示の後に飛んできたのは、剣の衝撃波だった。


この判断により、大半の命は救われた。だが、反応が遅れた一部の仲間は真っ二つに切り裂かれ、絶命した。


皆はその衝撃波が放たれた方向へ、恐る恐る視線を向ける。


ーーそこに立っていたのは、確かに老人だった。


だが、明らかに違うのは、普通の業物ではない双剣。そして、その左目にある傷跡と全てを見通すような鋭い眼光が、幾たびの戦場を超えてきたことを示していた。


大広間に、戦慄による静寂が訪れる。それはもちろん、明らかに自分たちより強い敵が現れたからだ。


「して、山賊供よ。1つ問いたいことがある。覇王竜ミルターナをどのようにして、ここまで連れてこさせた?」


老人から問われたのは、覇王竜ミルターナにどうやって連れてきてもらったか。この老人は、竜王クラスの竜がいとも簡単に動かされるはずがないと睨んでいて、それを疑問に思ったが故に、自分たちに聞いているのだと悟った。


それを問われた仲間達が口を割ることはなかった。それどころか、その恐怖を抑えいつでも戦えるように、常に武器を構えている状態だった。


「ならば、仕方なし」


それを見た老人は、ゆっくりともう片方の双剣を腰から抜いた。


先程の斬撃波は、双剣の片方だけで起こしていたものだと分かり、さらにフリードの顔に戦慄が走った。


「……ゆくぞ」


それが起こったのは、次の一瞬だった。


「ッ!?」


フリードは一瞬で起こった恐ろしいほどの殺気に恐れて、思いっきり後ろに飛んだ。


勢いでそのまま壁に激突したが、逆にそれが命を救うことになる。


「……!」


急いで顔を上げたフリードが見たのは、空間の断絶。この空間のあらゆる所に斬った跡が残されていた。


辺りを見渡せば、無残にも散った仲間達の姿があった。大広間を支える柱や家具などには一切傷が付いてないことから、この斬撃は、自分達だけを狙って放ったものだと理解する。


「次元斬」


そう呟いた老人の表情は、それを放つ前と何も変わっていなかった。


ーー明らかに異常だ


そう悟ったフリードの頭の中で、とある可能性が浮かんだ。それは、元騎士団長であったフリードがよく知っていたことだった。


元騎士団長を務めていただけあって、それぞれの国の戦争や、各国の強者達の姿と名前には、心当たりがあった。


アルデン国内で、剣がここまで扱える超人は1人しか思い当たらない。左目の古傷、異形な形をした双剣。思い当たる人物は、ただ1人。


「まさか、ここまでだとは思わなかった。剣の頂に達した者。大剣豪、ロイル・ウェルザス。それがお前の名だな」


その老人、ロイルは冷然とした様子で、フリードに近づいて来た。双剣は握りしめたまま、逃げも反撃も許さない、見事な殺気を放っていた。


そして、フリードのところに来るなり、こう言い放つ。


「お主には聞きたいことが山ほどある。故に、連れて行くぞ」


その後、腹に鈍い痛さを感じた後、フリードの意識はそこで途切れたのだった。

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