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19/31

今まで戦ってきた仲間と共に

差し込む暖かい光、外から聞こえる陽気な歌声で目が覚めた。時計を見れば、ちょうど朝の7時だった。


私は大きな伸びをした後、まだ重い目蓋をこすりながら、ベッドから降りる。


眠たい体を無理やり起こしながら、朝の支度を終え、1階の食堂へ向かった。


「……え?」


私が階段を降りた後、目に入ったのはアルデン王国の兵士達とフリードさんが食堂で話をしている場面だった。


お互い敵対しているわけではなさそうなので、そこだけは安心した。


しかし、王国の者は信用できないため、隠密に王国側にバレないように行動する予定だったはずだ。


その疑問を抱えながら、私がフリードさんに近づいた。


「起きたか」

「なんで王国の兵士がいるの?」


私はフリードさんに、率直にその疑問を投げかけた。フリードさんが一旦座れというので、その机の空いてる席に座った。


「こいつらは、カイル直属の親衛隊だそうだ。アルデン王城の機密ルートを案内してくれる」


フリードさんがそう言うと、親衛隊のリーダーっぽい人が私の前に出て跪いた。


「アリア・エスタニア様ですね。私の名は、エリック・エルジャーです。以後、お見知り置きを。カイル様から話は伺っています。カイル様の所まで護衛そ務めさせていただきます」


その態度は、とても誠心誠意が出ていて、とても裏切るようなものではないと感じ、信じることにした。


カイルの親衛隊の顔は、何度か見たことがあったが、かなり前の話なので覚えてはいなかった。


少し不安ではあったが、多少のリスクは承知の上だ。


「わかったわ、よろしくね」

「はい、こちらこそ」


私はエリックと軽い握手を交わした。


その後、これからの方針を話し合った結果、人目のつかない夜に王城へ侵入することになった。


戦闘になるかもしれないので、武器の手入れをしっかりとし、夜を待った。




そしてーー


「では、行くぞ」


王城へ向かうのは、ライルとレイシア以外の山賊団のメンバー全員と、案内役の親衛隊だ。


ライルとレイシアは、昨日の夜から姿が見当たらないらしい。正直心配だったが、あの2人なら後で合流すればいいだろう、と重く考えないことにした。


「やっぱ人数多いね…」

「しょうがないさ、行きたいって言うんだから」


私が思った感想を述べると、アルラさんが返してくれた。


そんな大人数で行かなくても良かったが、皆が行きたいというので連れて行くことにした。


辺りを見回せば、今まで一緒に戦ってきた仲間達の姿が、ここまで支えて来てくれた人たちがいる。


そのことを胸に、私は前を向いた。


「ここから先は何が起きるか分かりません。皆様、覚悟はよろしいですか?」


私はコクリと頷いた。


覚悟は既に出来ていた。……あの日、失ったものを取り戻すため、ここまで来たのだ。


最愛の人に会うために、色んな人と出会い、色んな人を失った。それでも、私は過酷な出来事を乗り越えて、ここまで来たのだ。


ーーだから、私はここで止まるわけにはいかなかった。


「では行きますよ。『テレポート!』」


真下に巨大な魔法陣が現れ、辺りが白い光に覆われた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


テレポートの際に発生する白い光は、次第に薄れていき、周りの景色が見えてきた。


そこは、舞踏や食事会などをする時に使われる大広間だった。さらに視界が回復していくと、周りの本当の状況が読み込めた。


確かにそこは大広間だった。しかし、いつもと違うのは、私たちを中心としその周りをアルデン王国の兵士たちが囲んでいた。


明らかに、兵士たちは私たちに向けて殺気を放っていた。


そこで私は気づく。


即ち、また嵌められたのだとーー


アルデンの兵の中から、私たちの前に進み出てきたのは、カイルの親衛隊と名乗っていた男たち。代表としてか、エリックがさらに1歩前に出て、私たちに向けて嫌味な言葉を放った。


「だから言ったでしょう?何が起こるか分からないと。あなたたちはここで無残に死ぬのです」


状況は絶望的だった。


こちらは、30人ほどなのに対し、向こうは鎧をフル装備の兵士が100人ほど。とても勝てる戦力ではなかった。


そしてエリックは、絶望している私に、さらに追い討ちをかけるような言葉を投げかける。


それは、予想もしないような言葉だった。


「そうですね、もしもアリア・エスタニアを差し出すと言うのなら見逃して差し上げましょう。どうです、悪い話ではないでしょう?」


ハッ、と私は気づく。この状況を逃れる選択肢は今告げられた、それしかないと。


私は心の中で、自分の非力さと悔しさを見に感じた。故に私は、歯を食いしばって目を瞑った。


それは、今まで戦って来た仲間に、裏切られる辛さから耐えるためだ。


「エリック」


最初に言葉を発したのは、フリードさんだった。


私は今にも崩れそうな感情を抑えながら、フリードさんの方をゆっくりと向いた。私は裏切られるのだろうと思っていた。


ーーだが、それは全て違った


エリックが嫌らしい笑みを浮かべながら、フリードさんの方に顔を向けた。


その次の一瞬の出来事だった。


グサリッ


「…………な、に?」


エリックは何が起こったのか分からず、違和感あがある自分の体の方にゆっくりと視線を向けた。


見れば自分の体に、しかも心臓の部分に1本の剣が刺さっていた。


そして、やっと認識する。即ち、目の前のこの男に殺されたのだと。


バタンッ


エリックが倒れた後、フリードさんは血に濡れたその剣を掲げ、この場にいる兵士たちに宣言する。


「アルデンの兵たちよ、聞くがいい!今ここに戦の火蓋は切られた!お前たちが相手にするのは、幾たびの戦場を超えた元騎士たちの末裔だ!俺たちは、アリアをカイル王のところまで送り届けると言った。いくら山賊に堕ちようとも、騎士に二言はない!!」


私はここで初めて気づいた、ここにいる全員がアルミナの元騎士だったことに。


かつてフリードさんが言っていた、叛逆戦争によって、国から逃れたと。もしかしたら、この人達は全員フリードさんの部下で、今もフリードさんのことを尊敬しているのかもしれない。


一緒に戦ってきた仲間を見れば、そこには裏切りの表情など全くなく、むしろ力強い眼差しで私を見つめてくれていた。


(みんな…!)


私は溢れ出る涙を拭い、それに応えるようにして、ゆっくりと立ち上がった。


戦況は絶望的、だが希望がないわけではない。


レイラに嵌められた、あの時に無かったものがここにはある。


私の希望はーー仲間がいることだ!


フリードさんがその剣の矛先を、兵士たちに向けた!


「お前ら、かかれ!!」

「「「おおおぉぉぉぉ!!」」」


フリードさんの号令によって、私たちとアルデン兵たちは激突した。

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