想い
君への想いが段々変化していく。
最初はただ会いたかった。君にあって話をしたかった。
だけど、君はいなくなった。
次は、その事実が受け入れられなかった。
その事実を受け入れてしまうと、奈落の底に落ちてしまい、もう二度と這い上がれなくなってしまいそうだから。
だから、一生懸命その事実から逃げた。
逃げたら逃げた分だけ辛くなっていった。
君の影を見掛ける度に、君の事を思い出し、君のいない事実に直面させられる。
そうして、辛いことから逃げ続けたら、逃げられないことに気づいた。
そして、君を忘れたくなった。
君との想い出を全部なかったものにしたかった。
全部なくなってしまえば、君の事を思い出さない。
全部なくなってしまえば、君の事で辛くならない。
色んな事をして気を紛らわせた。
慣れない遊びもやってみた。慣れないお酒も呑んでみた。慣れないギャンブルをやってみた。だけど、何も満たされない。
どんなことをしても、君への想いはなくならない。
ただ、忙しい間だけは君の事を忘れられた。
だから、一生懸命働いた。君の事を思い出さなくていいように。
そうやって、忙しくしているといつの間にか君の事を考える時間が減っていった。
最近では君の事を思い出すことも少なくなってきた。
だけど、今日、気付いた。
君との想い出が思い出せなくなっている。
君の声、君の匂い、君の笑顔、全部曖昧になっている。
君と何を話して、何で一緒に笑っていたんだっけ。
君と何を話して、何で一緒に泣いていたんだっけ。
君の事を思い出せない。
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
君の事を思い出せなくなっている。
君に、想い出の中で良いから会いたい。
君の事を忘れたくない。
もうどうしようもない。
君が消えていく。
君に会いたいなんて言わないから、思い出から消えないで。
君がいた事実を否定したくなんかない、君は僕の大切な人だよ。
君を忘れようとしたって、忘れる事なんて出来ない。
君の事を忘れても、君への想いは忘れられない。
君への想いだけが残ってしまった。