相談
バルルンの町に来てから2ヶ月程がたった。その2ヶ月の間に何をしていかというと、ひたすらクエストをしていた。
少し、クエストランクについて説明しよう。
クエストには、ランクが設定されている。低い順番にE、D、C、B、A、Sだ。また、それぞれのランクのクエストを10回クリアして、さらに試験に合格すれば冒険者ランクも上がる。冒険者ランクもE〜Sまである。
俺は2ヶ月程やって、ようやくCランクまで上がる事が出来た。ペースが遅いと思うかもしれないが、このバルルンの町はDランクぐらいまでしかクエストが無い。たまにCランクが出るのだが、その時は早くクリアしようと、何人もの冒険者がクエストを受注する。俺も後少しでクリア出来る時に横取りされる事が幾度となくやられたのを覚えている。
ちなみに、クラネルはというとすでにCランクだった。そんなクラネルに毎日付き合ってもらい修行をしていたため、今では普通のCランク冒険者には負けない位にはなっていると思う。しかし、このままこのバルルンの町に居続けてもBランクには、上がれない。やはり、この町を出ないといけないかもしれないな。と、考えていた俺の思考をクラネルの一言が停止させた。
「ギルド長が、呼んでるみたいだよ。早く行ってみたら?」
「ナオギルド長が?また、小言を言われるんだろうな」
ハァーとため息をつく。
ーギルド2階ー
「お話とは、何でしょう?」
用心深い声で尋ねてみる。
「ようやく来たか。事は相談なのだがセガルダ王国に行かないか?」
「えっ!」
思ってもいなかった事を言われたので驚いてしまった。
「理由を聞かせてもらえますか?」
「うむ。お前の実力はBランク並なんだ。この町にいてもランクは上がらない。だからセガルダ王国に行って実力を伸ばして欲しいと思う。さらに、お前は少し変わっている。3属性を使う者は、初めて見たぞ」
さっきまで考えていた事と同じ事をナオギルド長に言われてしまった。さらに3属性を使うこともクラネルから聞いている。この2ヶ月の間に風、火さらに上位属性である清流を使えるようになっていた。これは異例だそうだ。
「クラネルはどうなるのです?」
「勿論、クラネルにも同じ事を言うつもりだよ。君達2人なら向こうでも大丈夫だろうしな」
「なら俺はクラネルと同じ事をします」
「やはりそう言うと思っていたよ。入って来なさい」
ナオギルド長がそう言うとクラネルが入って来た。
「カルマ、一緒に行こうよ。セガルダ王国に行けばもっと強くなれると思う」
「分かりました。クラネルがそう言うのなら明日にでも出発します」
「私がセガルダ王国のギルドに連絡しておくから着いたらまずギルドに行ってくれ」
ークラネルの家ー
こことも、もうすぐお別れになってしまう。2ヶ月過ごしただけあって思い出深い。少し残念な気がする。明日に出発するので今日は早く寝よう。そう思っていると、
「まだ起きてる、カルマ?」
と、聞こえてきた。起きてるよと返事する。
「ごめんね。付き合わせてしまって」
「俺も行きたかったから良いよ。それより明日は早いから早く寝よう」
「そうだね」
今日の月は満月だ。綺麗だなと思いながら目をつむる。2ヶ月間ありがとうと、この家に心の中で言う。