バルルンの町へ
地図によると、まず最初にいく町の名前はバルルンと言うそうだ。北の方向に行けば良いのだが、まず北がどちらかさえ分かっていない。地図を見れば分かるのではと思うかもしれないが、俺は森のど真ん中にいるのだ。地図を見ても回りは森と川だけ。マニュアル本に方角を確かめる方法は載っていないし、かといって他の人が俺みたいに召喚されるのを待っていたりしたらきりがない。もし、召喚されたとしてもここになるのかという保証はどこにも無いし、ここだとしてもその人が方角を分かるなんてとうてい思えない。
考えれば考える程、頭が混乱してくる。とりあえず…喉が渇いた!地図にものっているし、いったん川まで行こうと思う。考えるのはそれからでいいや。
耳をすますと、かすかに水が流れる音がする。これが川だとすれば右の方にあると思う。そういう理由で、右に歩いていくと水の音がはっきりと聞こえるようになった。川はこの方向にあるに違いないと確信する。さらに5分程歩いた。すると木々の隙間からわずかに川が見えた。
川に到着するなり、まず俺はたらふく水を飲んだ。意外にも美味しい。やるじゃないか異世界。それからその川を眺めてみた。川の水が太陽の光を反射して輝いていた。そんな川に見とれながら、今しないといけないことを思い出した。俺は町に行かないといけないのだ。けれど方角が分からない。ひとまずその場に座った。
いや、待てよ。川まではこれたじゃないか。
なら、バルルンの町にもいけるじゃないか。
えーと、この川からだと川を越えてさらに右に行けば着くようだ。これでひとまず町まで行ける。俺は胸をなでおろした。その後に嬉しくて顔がほころんだ。
川を越えてさらに右へと進んでいく。しばらくすると、モンスターが現れた。喜びのあまり忘れていたがここは、異世界だ。モンスターも現れるのだ。すぐさまナイフをとった。
モンスターの上に名前が書かれている。どうやらゴブリン2体のようだ。自ら戦ったことは無かったが、戦闘はRPGで慣れている。とりあえず、ゴブリンの間合いに入る。ナイフを首に当てる。そして、力いっぱいにナイフをひく。首が切れたような感覚が全身に伝わる。そのまま、そのゴブリンは光となって消えた。残りのゴブリンが右手の鈍器を振り落としてくる。体を横にそらしてかわす。そのままさっきと同じようにナイフを首に当ててひく。同じく切れたような感覚が全身に伝わる。2体目のゴブリンも光となって消えた。
ファンファーレの音が響く。レベルアップだということは、容易に想像出来た。基本能力値が上がると同時にスキルポイント10ポイントを、もらった。これで、スキルを手に入れれられる。さっそく、スキル取得の画面を開ける。初期の初期であるアックスブレードというスキルを取得する。これは、回転しながらキックとナイフを当てる2連撃スキルである。これでひとまず町へ安全に行ける。
気合いを入れてさらに右を目指して歩いて行く。