彼女と祖母
「暇かしら?」
彼女がいた。
日曜日の昼下がり。僕は、何もすることがなく暇をもて余していた。
「暇だけど…」
急にどうしたの?と彼女に聞く。
「お婆ちゃんち行かない?」
彼女の祖母は、バスに乗って30分の所にある。
さっきまで暇だったしまぁ、良いかな。
「もち米と小豆?」
バスを下りると商店街に行きもち米と小豆を買っていた。もしかして、これから作るのかな?
おはぎ、美味しいんだよね。ちょっとわくわく。
「おはぎ作るの、好きでしょ?」
「うん、僕の家作る人いないからね」
彼女から買ったものを受け取った。
「おやおや、友達も一緒かい?」
「うん、あっ、おトイレ借りるね」
そう言うと彼女は早足でトイレに行ってしまった。我慢してたなら言ってくれればよかったのに。
鞄を持ったままだからきっと凄く行きたかったんだろう。
「さて、準備でもしようかね」
「手伝います」
材料を持って台所に向かった。
「元気にしてたかい?」
「はい、いつでも元気です」
もち米を研ぎながら言う。
「ゆうちゃんは来てくれるかねぇ」
「来ないよ」
やけに冷めた声がした。
彼女だ。
「それよりも!」
玄関のカギ、閉め忘れたでしょ!と彼女が怒った。前に隣の家に空き巣が入ったそうだ。
閉め忘れ位でって思ったけど、そう言う事情があれば仕方ないかな。
「あらあら、年を取ると忘れっぽくてね」
「楽しかったね」
帰り道。隣を歩く彼女に言った。
「そうね」
「…?さっきから何を考えているの?」
そう言うと彼女は驚いた顔をした。
幼馴染みだもの。考えるときの癖くらいわかるさ。
「平和についてよ」
「あぁ、お祖母さんの話?」
昔は、物が無くて食べ物に苦労したとか。隣にいた人が焼夷弾で亡くなったとか。
彼女の祖母は戦争経験者だ。時折そんな話を聞いた。
「確かに今は平和ね」
「そう……かな?」
彼女の机の上に菊の花が置いてあるのは平和だろうか。いや、違うだろう。
「戦争は無いわ」
ただ、我儘な人が増えたり、親殺し子殺しをしたり。差別が無くなったと言え見た目で判断するのはよくあること。
いじめで自殺するし、愛を求めて倫理を反するし。
「大好きだわそう言うの」
ゾクゾクするくらいに、と彼女がつけ足した。




