弐・第三章 第三話
測定機が動かないまま、数十秒が経過していた。
唸っても念じても力んでも……その機械は全く反応すらしようとしない。
──ちょ、何だこれ?
俺は予想もしないその事態に慌て、ただただ焦る。
だけど……かと言ってこの測定に際してどうすれば良いのかすら分からず……時間だけが冷酷に過ぎていく。
「はんにゃはらみたじ……」
結局、緊張に負けた俺は、集中するふりをして適当なことを呟くことしか出来なかった。
「……キミ、真面目にやりなさい」
だけど、当然のことながら……そんな意味もない行動で何かが解決する筈もない。
苛立ったらしき係員に窘められる始末である。
とは言え、解決策なんてないからこそ、適当に呟いていたのだ。
ふと視線を感じてみれば、テントの端っこの方に四名の男が……恐らくこの試験に受かったのだろう人相の悪い男たちが、にやにやと優越感に浸ったような厭らしい視線を向けて来てやがる。
係員の横柄な態度と、その男たちの笑み、そしてこの何も反応しない石。
いい加減、俺はもう限界だった。
──もうこうなったら渾身の力を込めてこの緋鉱石とやらを握りつぶしてやるっ!
俺がそうぶち切れ、握力を込めようとした、その時だった。
「おい、小僧っ!
緋鉱石と自分が一体になるように、意識を集中するんだっ!
上手くいけば、まぁ、合格できるだろう」
どうやら試験のやり方すら知らない俺の様子を見かねたらしく、おっさんがそう教えてくれる。
このゼグという男、強面なその面構えとは裏腹に……意外と親切なタイプらしい。
そのおっさんの声に俺は軽くため息を吐き、肩を竦めると……身体の力を抜く。
「……こう、か?」
言われた通り、目の前で緋色に輝く石と自分自身を……自分と重なっている破壊と殺戮の神が重なるような、ンディアナガルの権能を使う時のような感覚を試してみる。
その瞬間、だった。
「マイナス九五七。
……って何じゃこりゃぁあああああ」
「ちょ、マイナス……だと?
何かおかしくないか?
こんな数値……」
「やっぱり故障してるだろ、これ?」
どうやら俺の数字は、係員たちにとっても常識外だったらしい。
彼らは首を傾げて測定機と睨み合いを始めていた。
──一体、どうなるんだ?
俺は不安半分に緋色に輝く石を睨み付けていた。
この試験、一〇〇を超えれば合格である。
しかし、俺の出した数値はマイナス……明らかに百を割っている。
だけどややこしいことに、俺が叩き出した数値そのものは一〇〇を超えるどころかテテがさっき叩き出した数値を遥かに超えているのだ。
事実、係員も首を傾げている。
「……ガル」
俺の去就が気になるらしきテテも不安そうな表情を隠そうともしない。
そうして、一〇〇を数えるほどの時間が経った頃だろうか?
「ま、合格で良いか」
係員の一人があっさりとそう呟いた。
それは、脅えながら一挙一刀足を窺っていた自分がいっそ間抜けなほどあっさりした声で、俺は思わず目を丸くしていた。
「……良いのですか?」
「ああ、我々黒の機師団は人材不足。
どんな輩だろうと使えるようなら受け入れる。
使えなければ棄てりゃ良いさ」
もう一人の係員が不安そうな口ぶりで尋ねるが、決断を下した係員はあっさりとそう答えるのみだった。
そんなに単純に決めて良いのだろうかと疑問に思う反面……
──これは本当に、追い詰められているな。
彼らのそんな事情も理解できる。
つまり、使えそうなヤツが頭数揃えれば、後はどうでも良いというのが明らかに分かる口ぶりに、俺は思わずため息を吐いていた。
勿論、俺としては自陣が不利だった方がありがたい。
何しろ俺自身が死ぬことはないのだから、不利であれば不利であるほど、俺が持ちうる権力が増える。
……つまり、美食だろうと美女だろうと好き放題出来るって寸法である。
ただし……当たり前ではあるが限度もある。
あまりンディアナガルの権能を振りかざし、無茶苦茶をやって人々から避けられ、民衆に追われた挙句に大虐殺では前の世界の二の舞だった。
──俺としては……それだけは避けたい。
またしてもあの結末を……敵も味方も殺し尽くして砂漠に一人取り残されるあの結末を迎えるのは御免である。
俺がそうして如何にしてモテるかを思案している間に、試験は終わったらしい。
合格したのは俺とテテ、そしてゼグというおっさんに……あと先ほど見かけた四人の人相の悪い男たちである。
「では、支度金として各自これを……一五〇〇ダカットだ。
それと、正門の通行証を用意してある。
数日の内に支度を整え、黒の機師団本部へと出頭するように」
「あ、それと……身内がいるものはその金で『上』の市民権を買うことが出来る。
一人頭二〇〇ほどあれば足りるから、申請する際は正門にて申し出るように」
係員の男は事務的にそう告げ、各自に革袋を手渡すとさっさと測定機を布に包み、立ち去って行く。
……こんな下界には一秒たりともいたくないという態度に、俺はちょっとだけ眉を顰める。
が、まぁ、そんなことはどうでも良いだろう。
「これで、やっと、あの子たちを……」
俺の視界の隅では、テテが支度金とやらを手に涙ぐんでいた。
先ほどの、市民権とやらの話に安堵したのだろう。
確かに手元には一五〇〇……一人頭に二〇〇必要だから、俺とテテとの金を合せれば一五名は助けられる。
──あれ?
確か、数える限り、子供は一六人いたような……
……だけど。
全てが救われたと思い込んで涙ぐんでいるテテにその事実を突きつけるのは……ちょっとばかり躊躇われた。
──と言うか、何でこんな簡単な計算すら出来ないんだ?
俺はそう舌打ちするものの……この世界では読み書きや数学が出来る娼婦なんざそう多くはいないのだろう。
「なぁ、『上』じゃまた仲良くやろうぜ、テテ。
お互い、もう二度と落ちたくはないだろう?」
俺がそうして言葉を探している間にも、ゼグというおっさんは、テテに馴れ馴れしく寄り添っている。
──コイツもかよ、畜生。
テテが置かれた状況を理解すら出来ず、呑気にいちゃつこうとしている……この計算すら出来ない馬鹿なおっさんの態度は、正直に言ってムカつく。
ムカつくが……テテの知り合いらしき人間を殴り殺す訳にもいかない。
──何とかして二〇〇ほど頂ければ……
俺が計算する限り、市民権とやらを子供全員分買うには一人分足りないのだ。
テテもお金が足りないことには気付いていないらしい。
──である以上……俺が何とかこのおっさんを言いくるめて一人分の金を頂かないと……
そう決断した俺は拳を握ったまま、苛立ちを抑える努力をしつつ、ゼグというおっさんを如何にして言いくるめようか知恵を絞っていた。
その時だった。
「ぎゃああああああああああああっ!」
突如、テントの外から悲鳴が上がる。
恐らく、断末魔と呼ばれるその叫びに、慌てて俺が外へと飛び出すと……
「悪いが、その荷物、こっちへ寄越して貰おうか」
五十人ほどの武装した男たちがテントを包囲していた。
……狙いは恐らく、通行証と支度金、そして地図。
……つまり、『上』で暮らせるようになるチケットらしい。
どうやらコイツらはさっきの試験で落ちたにも関わらず『上』での生活を諦めきれない、そういう連中らしい。
失格して帰ったと思ったが、恐らく襲撃の準備を整えるために一度帰るふりをしていたらしい。
ちなみにそいつらの足元で砂塵に内臓をぶちまけてのたうち回っているのは、さっき合格した男の一人だった。
そしてあの怪我では……もう助からない。
折角合格したというのに、哀れな話であるが……まぁ、此処はこういう場所である。
……こういう荒んだ社会にも、いい加減もう慣れてきた。
「あんたたち、こんな真似をしてただでっ!」
「はっ!
どうせ上の奴らは顔すら覚えていやしないさっ!
なら、俺たちが『上』へ行かせて貰うだけだっ!」
折角の努力が理不尽な暴力によって水泡と帰す事態には慣れてないのだろう。
声を荒げながらのテテの抗議は、ならず者たちによってあっさりとかき消されていた。
その事実に……『彼らの行動を咎める者など誰もいない』という紛れもない事実に、テテは悔しそうに顔を歪めていた。
……だけど。
──間違っちゃいないんだよなぁ。
俺は内心でそう呟いていた。
……いや、違う。
実際の話、俺は「こうしていりゃ手間が省けていたなぁ」と襲撃者の知恵に感心していたくらいである。
……とは言え、狙われているのが自分である以上、黙って取られる訳にもいかない。
「い、命ばかりはっ!」
流石に多勢に無勢が過ぎ、金を手にしたままでは逃げることも叶わないと見たのか、一人の合格者が革袋を捨てて逃げ出そうとして……
「ひぃいいいいぁああああああああああああっ」
……周囲から滅多刺しにされていた。
噴き出た血が襲撃者と砂漠を真っ赤に染めているが、血に酔った連中はそれを非道とはあまり思っていないようだった。
その様子を見る限り、この連中は俺たちの誰一人として生かして返すつもりはないらしい。
しかし『上』への通行証はたったの六枚しかない以上……恐らく、俺たち全員を殺した後で六枚の通行券を巡って殺し合うのだろう。
「テテ、お前はすぐに殺さない。
……たっぷり楽しませて貰うぞ?」
男の一人が好色な笑みを浮かべてそう笑い、周囲の男たちが下卑た笑みでそれに応じる。
俺はテテが悔しそうに歯噛みするのを見て……
いい加減、この連中に付き合うのも限界だと理解した。
「……さて、と。
ゼグとか言ったな、お前。
命がけでも、テテを守れ」
「お、おい。
お前はどう……」
俺はそう言葉を投げると、ゼグの問いすらも無視して強盗団にゆっくりと歩み寄る。
「へっ?
観念したのかい、お嬢ちゃん?」
強盗団の一人……一番近くのヤツがそう俺に向かって下卑た笑みを向けてきた。
お嬢ちゃんというのは、根性なしとかそういう比喩だろう。
俺自身、女の子に見られた経験なんてないし。
とは言え、その下衆の顔は見苦しく、そして乱杭歯に歯垢が溜まりまくったそのクズの口は臭い。
これ以上、喋らせるのことすら苦痛なほどに。
「……黙れ」
俺はただそう呟くと、その下衆の顔を掴み……
握り潰す。
人体の中でも最も硬度を誇る筈の頭部は、俺の握力にあっさりと屈し、血液と脳漿と脳みそを飛び散らしていた。
それから少し遅れて、ポトッと二つの眼球が砂漠に転がり……頭蓋を潰された男の身体が砂地へと崩れ落ちる。
「……は?」
男たちから上がったのは、そんな間抜けな声だった。
事実……目の前で誰かが素手で握り潰されたという光景は、理性が受け付けてくれないらしい。
……つまり、隙だらけだった。
「よっと」
いつぞやのように戦斧すら持っていない俺は、近くにあった道具……足元に転がっていた死体の右足を掴むと……
「ふんっ」
思いっきり横薙ぎに振り回す。
ただ、人体はあまり武器には相応しくないらしい。
二人を吹き飛ばして気絶させ、もう一人の首をへし折って絶命させたものの、たったの一振りで周囲に臓物がぶちまけられ、既に武器としては役に立たなくなってしまっている。
「……化け物、かよ、ありゃ」
後ろでゼグとかいうおっさんが呆然とそう呟いていたが、今は気にする余裕もない。
何よりも、あのおっさんの所為で散々ムカついていたのだ。
拳の振り下ろし先を見つけた俺にとっては、強盗共は良いストレス解消の的だった。
「て、てめぇっ!」
我に返った一人の強盗が、俺に向かって曲剣を叩きつけてくる。
俺が見事に袈裟斬りにされるが……まぁ、相変わらず痛くも痒くもありゃしない。
「な、何で死なないんだよっ!」
斬り殺した筈の俺が、欠片も動じていないのを見て、男が悲鳴を上げていた。
そして自分の襲い掛かった相手がどういう存在かをようやく理解したらしく、その瞳には恐怖が浮かんでいた。
……が、もう遅い。
俺の右手はソイツの咽喉輪に届いている。
どうやら咽喉仏というのは頭蓋よりも遥かに脆いようで、力をさほど込めるより早く、手には砕けた感触が伝わってきた。
男は悲鳴すら上げることも出来ず、血だまりの中で溺れてのたうち回り始める。
「……鬱陶しい」
慈悲深い俺はそれ以上苦しめないように足元で溺れる男の頭蓋を踏み砕くと、ふと目に入ったソイツの手にしていた曲剣を拾う。
「くそ、舐めやがってっ!
一斉にかかるぞっ!」
「死ねやぁあああああっ!」
俺が武器を拾っているのを好機と見たのだろう。
五人の強盗が俺に向かって剣を突き刺してくる。
当たり前ではあるが、破壊と殺戮の神ンディアナガルの権能を有した俺には、そんな剣の刺突など、何の意味もない。
服の上から小枝がぶつかった程度の感触があるだけである。
「……嘘だろ?」
それが、ソイツの最後の言葉だった。
俺は曲剣をそいつの首に叩きつけようとして……慣れてもない剣は見事に狙いを外れ、ソイツの上顎と下顎を両断していた。
まぁ……多少狙いが外れたものの、即死には違いない。
頭蓋を走っている動脈から鮮血を周囲にまき散らしながら、頭蓋を断たれた男は砂漠へと崩れ落ちる。
──意外と、難しいな、コレ。
剣が曲がっている分、直剣とは少しだけ感覚が異なるらしい。
──次の獲物は外さないようにっと。
俺は近くの男の右肩を掴むと、曲剣をそいつの胴体へと突き刺していた。
「ふ、ぐ、げがっ」
内臓を突き破られた男は、口から血を吐きながら何やら訳の分からない呟きを残していたが、まぁ、どうでも良い。
俺はそのまま曲剣を引き抜こうと力を込め……
その所為か、バキンという乾いた音を立てて曲剣はへし折れていた。
「……脆いぞ、畜生」
どうやら鋳造しただけの、大量生産の安物だったらしい。
もしくは『上』から流れ落ちてきたゴミか、それとも鉄くずを研いだだけの代物だったのか。
どちらにしろ、俺の力に武器が耐えられなかったらしい。
見てみれば、曲剣の柄も指の形に捻じ曲がっていて……この様子ではそう遠くない内にへし折れていたことだろう。
……力が強すぎるというのも難儀なものである。
「お、女を狙えばっ!」
俺の非常識な膂力と耐久力に恐れをなしたのか、強盗の一人がそんなことを叫ぶ。
……だけど。
「甘いんだよ、クズ共がっ!」
ゼグとかいうおっさんは、意外と腕が立つヤツだったらしい。
テテを庇いながらも一人の強盗を投げ飛ばすと、ソイツの剣を奪って上手く立ち回っている。
──さて、と。
弱点がなくなった以上、もう怖いモノなどある筈もない。
俺は拳を握ると……残った強盗共を叩き殺すべく、前へと踏み出す。
「く、怯むなっ!」
「何としても、此処から出て行くんだっ!」
よほど『上』に未練があるのか、強盗共は意外にモチベーションが高く、最後の一人まで逃げ出そうとはしなかった。
とは言え、その程度の士気で破壊と殺戮の神を弑することなど叶う筈もなく……五〇〇を数える頃には五〇以上の死体が砂漠に転がっていた。
──ま、収穫はあったな。
血まみれの手を砂で洗いながら、俺は内心でそう呟いていた。
何しろこいつらが襲い掛かってきたお蔭で、合格していたヤツが二人亡くなったのだ。
……そいつらに支給されている支度金は、血に濡れてはいたもののその辺りに転がったままだ。
「これ、貰っても構わないだろ?」
「……誰も文句は言わないさ」
俺の問いにゼグが答えた通り、その支度金を俺が手にしても誰一人として文句を言う人間はいなかった。
──これで子供たち全員の市民権を手に入れることが出来る。
……襲撃者様々である。
助かった残り二人の合格者は俺たちに頭を下げ、それぞれの家へと帰って行った。
大金を抱えているプレッシャーからだろう、必死に革袋を懐に隠し、猫背になってオドオドと歩いて行くその姿は、如何にも怪しいですと言わんばかりで……
──アイツら、大丈夫だろうか?
俺は一瞬だけ彼らの心配をしてやるが、まぁ、気にするだけ無駄だろう。
運が良ければ生き残り、運が悪ければ死ぬだけだ。
……俺には、あんな連中を助けてやる義理もない。
「さて、じゃ私たちも一旦家に帰って……明日、『上』へ行くとしましょう」
「……大丈夫か?
また襲撃されたら……」
テテの言葉におっさんが心配そうな声をかけるものの……
「このガルに誰が敵うって言うのよ?
ゼグ、あんたは自分の心配でもしてなさい」
テテはそのゼグの声を、あっさりと一笑に付していた。
その声におっさんは肩を竦めると、そのまま集落の方へと歩いて行った。
ただ、その足取りは別に浮かれた様子もなければ不審な様子もなく、まさにいつも通りという雰囲気で……
あの様子では、おっさんが機師試験に受かったことに気付くヤツなど、誰一人としていないだろう。
「さて、ガル……帰ろう。
リリに、あの子たちに合格を知らせないと」
そのテテの声に、俺は一瞬だけ躊躇う。
何しろ俺は……もう彼女を頼る必要なんてない。
娼婦やガキ共なんて見捨てたところで『上』に住処はあるし、職もあるのだ。
むしろ無駄な労力を使わない分、そっちの方が楽だろう。
もし姫様と結婚するとか、恋愛関係になるとかなれば、コブ付きってのは大きなマイナスになりそうな気もするし……
俺がそう考えた、その時だった。
「……ガル?」
心配そうな声を出しながら、テテが俺の顔を覗き込んでくる。
その視線はすぐに俺の身体の……袈裟斬りにされたところへと向いている。
返り血まみれで怪我の様子なんて分からないだろうけれど、斬られたところは服が破けているのは確実である。
その顔を見て、俺は軽く肩を竦めると……
「……そう、だな。
さっさと帰るか」
気付けば俺は……そう、口に出していた。
例え、不利になるとしても……少しばかり損をするにしても、ここまで一宿一飯の恩があるし、数日を共に過ごした義理もある。
ここで見捨てて強盗に遭って殺されたり、蟲の餌食にされたりすると……かなり後味が悪いだろう。
──ま、それもまた一興、だな。
結婚に多少不利になったところで、その美少女が欲しければ力ずくで攫えば良いだけだし、反対するゴミがいても潰せばそれで済むだろう。
俺はそう結論付けると、そのまま砂を踏みしめながら歩き出す。
「ちょ、ガル、一人で帰らないでってば」
その俺を追いかけるように、テテの声が後ろから聞こえて来て……
そうして俺たちは連れ立って、血と臓物と人体の残骸が散らばる砂漠を後にしたのだった。