表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】ンディアナガル殲記  作者: 馬頭鬼
底の浅さを露呈するだけの解説
336/339

底の浅さを露呈するだけの解説 その1(一期・二期)

ここからは全く本編とは関係のない、ただの解説です。

しかもタイトル通り、そこの浅さを露呈するだけで、別に読む必要は欠片も御座いません。

ただ……まぁ、折角だから晒してみようと思っただけで。

ああああ、なるほど~って思って頂ければ幸いです。


~ 第一期 鏖殺の塩漠 ~


 まず、このンディアナガル殲記という作品を書こうなんて思ったのは、あちこちの新人賞に投稿していた時代……一つ前の作品「くうねるあそぶ」(未公開)で迂闊に某賞の三次審査まで進んでしまったのが原因だったりします。

 その作品のテーマは「グロ」と「恋愛」の両立で……それが歴代最高に評価されたものですから、私の進むべき道は「グロ描写の凄惨さだっ!」と間違ったルートを見い出してしまった当時の私。

 だから、思いついてしまったのです。


 ……ラノベ三大禁忌全てを網羅する作品を書いて、審査員を驚かせてやろうと。


 その三大禁忌とは「グロ」「ヒロイン死亡」「バッドエンド」なのですが……

 そこでまたろくでもないことを思いついたのです。

 

 未だに記憶に残っている、面白かったバッドエンド作品「魔法騎士レイ○ース」をパク……リスペクトして、物語の大筋を決めようと。


 この時点で異世界召喚、召喚した相手を殺害、こんなのってないよ……という大まかなストーリーが決まりました。

 ……基本的に私の場合、こうして物語のとっかかりをパクる場合が多いのです、実は。

 尤も、その後の味付けが独特過ぎて、今までパクりとか言われたことは欠片もありませんが。

 そして、バッドエンドも主人公死亡程度じゃ面白くないし、驚かせてやるならその要素をぶっちぎりレベルで濃くしてやれと、登場人物皆殺しをテーマにしようと考えたのが、この最悪のシリーズ(当社比)が具現化したほぼ全ての始まりでした。


 次に考えたのが、世界観の設定です。

 今さらの話ですが、この物語……当初はソドムの街を舞台に、旧約聖書を元にした作品を書こうと思っていたのです。

 ちなみに、主人公の名前はDQⅡにリスペクトした志渡(しど)君で、憑いている神様の名前は完璧な獣であり傷付くことのないベヒモスだったりしました。

 だからこそ、塩の権能という能力を有し、ロトとかバベルとか旧約聖書から名前を引っ張ってきたキャラクターがいたりします。

 ですが、書いている最中に思いました。


「コレ、資料調べるのが面倒だ」


 ……と。

 この時点で旧約聖書をモチーフにするのを止めて、オリジナルのルートを突っ込むことに決定しました。

 が、キャラクターを潰すのが惜しいので、この時点で残っていた名前……ロトやバベルなんかはそのまま配置することに。

 聖剣を最後、ロトが手にして、これが本当のロトの剣だ~なんて誰にも分からないネタをぶっこんだりしたものです。

 ちなみに、この改変した時点は二話くらい……召喚された直後辺りまで書いていた頃の話です。

 そうすると、ベヒモスじゃダメだろうと頭を捻って捻って捻って……取りあえず、あいうえおの終わりである「ン」から始まる名前にしようと、完全にフィーリングでンディアナガルという名前を決めたのがこの頃。

 まさかこの適当な単語が、こんなに長い付き合いの単語になるとは思いもよらず。


 主人公の設定はそれほど苦労なく決まりました。

 ラストの説教シーン「中途半端」という意味ですが。

 何かで読んだ思い出があったのですが、悪は自分の欲望に従って殺すが、善は倫理に従わないモノを殺す。

 だからこそ、人が最も残酷になるのは自分を善と思い込んだ時だ、と。

 であるならば、敵味方共に皆殺しにするのはどんな性格だと考えたら、あっさりと善悪どっちつかずにふらふらする性格と決まったのです。

 そうなれば、後は簡単で、今まで生きてきた中で自分の失敗した時の、ふらふらと信念も持たずにその場しのぎを繰り返した醜い自分自身を肥大化させて書けば……いや、恐らく誰もが持つだろう、醜い衝動や自己保身を肥大化させれば、勝手に破滅へとまっしぐらあろうと思い。

 ここで三人称だった物語を一人称に変えるという大改革を行ってます。

 そして、主人公の名前を消去するという大暴挙も。

 それは即ち、主人公の醜い部分は誰しもが持ちうる弱い心なので、読み手に最も共感してもらうためには、主人公のモチーフを消し去る……「ギャルゲで主人公の顔が前髪に隠れているあの手法」を体現してみた訳です。

 同時に共感を濃くするために、一人称に変更することで「読み手に最も近い位置」として主人公を置くこととなった訳です。

 この企みは……半分くらいは成功したと言えるでしょう。

 問題点としては、主人公の醜い行動を自己投影し過ぎてプラバする読者さんが多すぎたこと、でしょうか。

 ま、それ以前にグロ描写とか酷過ぎたんで……この作品自体を読み進められる方はかなり限られてるんでしょうけれども。



 次の作業……世界を創り出す上でのテーマは非常に簡単でした。

 如何に現代社会が恵まれているのかを理解出来る状況にしようとしたのです。

 そう考えると簡単で、まず水がない、食糧がない、戦争が続いている……しかも負け戦で神に頼らなければならない、という。

 その辺りの整合性は、ンディアナガルとなった神の権能が「塩」であることから、世界が塩に汚染されて水も食料もない有様で、敵対部族と戦っていると設定すると問題なくなったので、この案はそのまま採用。

 と言う訳で、旧約聖書辺りの文明……過酷な戦争によってちょいと文明後退気味の世界観が決定しました。

 そこへ召喚されるのは、戦争も知らない水は豊富にある食料は捨てるほどの現代人。

 だからこそ、現代社会の素晴らしさと如何に冒涜的かを表現できる……そう思っての配置もあったのです。


 だからこそ、食糧は干からびた塩漬けの肉か新鮮な両脚羊の肉、水は塩水寸前の僅かな水で風呂もなく、木々がないために燃料もない。服もなければ武器もない。

 そんなサーズ族……名前はフィーリングで適当、に召喚されたンディアナガルと存在を重ね合わせている少年、という大筋が完成した訳です。


 次に配置するのはヒロインですが、この時点では召喚主である女神様……自分の他の作品から名前を取ったラーウェアだけでしたので、敵対部族にヒロインを設けようと、聖剣の持ち主と戦い合う巫女として登場させました。

 全て書きながらの、ノリと勢いで追加しつつの作業でしたが……このヒロインとの戦闘シーンは本来、普通に殺して終わりだったのです。

 が、この頃にちょうど見ていたのがまどか☆マ○カ(ブルーレイ版・こっちじゃテレビはやってなかった)。

 ソレを見て学んだのです。

 マミさん……「持ち上げてから叩き落すと非常に効果的なんだなぁ」と。

 だからこそ、ヒロインと戦い、しっかりと和解して……ああなりました。

 ええ、書いていてすっごく楽しかった覚えがあります。


 後は現代倫理とこの世界観の倫理の差とを、主人公を通して読者に伝えればなぁと、捕虜の扱いとか世界的に虐殺を肯定せざるを得ない理由とか、そういうのを追加して。

 ついでに敵部族の巫女を殺され、怒りに駆られて幼児まで虐殺した時点で、もうラストまで一直線。


 裏切った仲間を殺し尽くし、帰れなくなったところで創造神が出てきて……。


 本来ならば、創造神を殺して「こんなのってないよ」エンド……つまり、あのまま帰る手段を無くした主人公は、枯死して終わるラストだったのです。

 が、そこはラノベ投稿用の原稿を書いていたこともあり、それで終わる作品よりはラストに若干の希望を持たせてみようと考え。

 「帰る手段は最初から手元にあった」という某映画キューブっぽい結末へと強引に変更して(それが救いと言えるかどうかは置いておいて)投稿したのです。


 ですが、この作品……かなりの自信作に仕上がった割に、投降した先では見事に一次落選(・・・・)

 いや、間違っているのは私ではない、世界の方だ……とばりに、相手の見る目がないぞと他の賞に投稿しても、やっぱり一次落選。


「商業誌では私の技量は計れないようだな」(負け惜しみ)


 と、自信を砕かれた私は何とか自我の均衡を保ち、商業誌審査員で計れないならばネット小説世界へと飛び込んで、読み手に直接評価を委ねてみようとして、アットノベルズへと投稿。

 こちらではそれなりに評価……感想を頂きました。

 が、なろうでは一期終わった辺りでも60ptくらいだったんですけどね。

 そのアットノベルズの感想の中に、「ここから先はないのですか?」というのがあり……次に書く作品も決まってなかったものですから(正確には「π>Ψ」の続編を買いてた)「望まれるなら続き、書きますよ?」と答え、相手が喜んでくれたのがこのクソ長い……七年を超える連載の発端となった訳だったりします。


 こうしてみると……本当に行き当たりばったりだなぁと我ながら。


 ついでに、これを書いている最中にモンハンやってたこともあり、ンディアナガルの設定上の形は、あの絶望的に巨大だった崩竜ウカムルバスを原型に、ついでだったらクシャルダオラの突風性能も持たせてやれ、ティガの爪も早くて怖かったから付けて……なんて考えてました。

 ま、本体の描写なんてぶっちゃけラストの方に一回しか出てこないので、かなり適当な訳ですが。


 ちなみに、少し前に読み返してまだ惜しいなと思っている点は……

 ・生活描写が甘いので、もっと苦境にある生活を描いて、最後の決断をもっと苦渋の決断って感じにしたかった。

 ・少年との交流が薄いので、剣を教えるとか戦いを教えるとかの交流を描いた方が遥かに鍋の材料ダメージがデカかった。

 ・作業的な虐殺シーンじゃなくて、もっと後半で描写するほど濃厚に描いた方が良かった。

 という感じになります。

 我ながら、何かが間違っている気はしないでもありません。

 ちなみにコレを書き上げたのは、確か約一か月程度……今調べると、たったの22日間の話。

 この頃、仕事がまだ暇で……余裕があったんですよねぇ。



~ 第二期 蟲殺の墜園~


 さて、読者様の声で続きを書こうと志したは良いものの、果たしてどんな物語を書こうかと言われると非常に困る……何しろ一期にてしっかりと全部殺して結末を迎えていたものですから、そもそものテーマに困った私。

 しかも、記憶が正しければ「六期まで書ける」と豪語していたため、結構大きなテーマから創り上げる必要が発生していました。

 いや、実際に世界観だけはすぐさま思いついたのが5個くらいはあったので、丸っきり嘘って訳でもなかったのですが。

 そこで、この手の問題を解決する場合の策として、まずは全体シリーズのコンセプトを考えました。

 一期とそこだけは変えてはいけないと頭を捻った結果……思いついたのは「飯まずファンタジー」「全滅エンド」「数多の世界移動」だったのです。

 そう考えると、次の世界は……って時に、ネットサーフィン中に面白い画像を見つけました。

 それは「鳥取県」というネタ画像で、巨大なワームに装甲兵が向き合っているというモノでしたが……それを見た瞬間、私の中で閃いたのです。


 ──コレだっ!


 冗談抜きで、その瞬間に砂漠の中で蟲と戦う概要までが完成しました。

(しかもその時点では砂漠世界なんて構想にもなかった)

 そして、ラストは蟲の大軍に人々が殺されていく……そういう概略だけを脳裏に置いて物語を進めて行こうと決意します。

 一応、この時点で蟲皇という名の、巨大な蟲がラスボスだという大筋が決定しています。



 ただし、主人公が白兵戦で強すぎるため、少しは弱くしないといけません。

 そこでちょうど、過去ストック作品に「白銀のイクサヲト×」(未公開)というタイトルのロボットモノがあったのを思い出したので……それのロボットが「殲龍鎧」という名前だったため、コレをほぼ流用して「機甲鎧」という新語を作ったのでした。


 次に考えるのはヒロインで……一期ではろくにヒロインとの交流を描けなかったのが心残りでしたから、次はダブルヒロインという形にしようと思いました。

 そうすると、王道に準じてめっちゃ美少女お姫様を配置して……せっかくのダブルヒロインだからもう一人は真逆の、貧民街の娼婦にしようと思い立った時点で、成り上がり系を意識した作品ストーリーの完成です。

 そうして書き進めるごとに、メインヒロインの筈のお姫様が全く出て来ず……最後の添え物になってしまい、逆に娼婦ヒロインのテテが前面に出てきたのは完全に計算違いだった訳ですが。

 結局、最初は召喚妨害にあっただけだった筈の砂漠の上空召喚も、蟲皇とテテの両者が引き合った結果というそれっぽい理由付けも出来ましたし。

 ちなみに……ただの演出上の理由で、蟲の餌として出そうと不意に思いついただけの、脳内プロット段階では名前すらなかった筈のリリが最後まで出てきたのは……今となっては良い思い出ですね。

 ……最後の最後でヒロインになったし(ぼそっ)

 

 他にも、姫様を奪い合うライバルとして位置付けたアルベルトが友人キャラにまで発展したり、蟲と戦う堕ちた島という形の設定が、不思議と階層社会の持つ身分差問題に発展し、最後まで姫様が出せなかったりと……この蟲殺の墜園は本当に当初設定が全く生かされない、ライブ感溢れる物語となってしまっています。

 そんなこんなで、話が膨らみ過ぎて一期と同じくらいの分量の予定が、まさか10か月もかかるとは本当に予想外にも程がある話です。

 六期まで、一つの世界を約1か月ごとで仕上げていって、長引いても一年間くらいだろうと計画していた筈の物語を、七年間も引っ張ることになる……その前触れは、こうして訪れたのでした。


 個人的にこの世界の話で最も記憶に残っているのは、ラストのランウェリーゼラルミア戦のことです。

 未だに覚えていますが、仕事で国道から旧国道への入り口を運転中に、不意に脳内に電撃が走ったのです。

 既にテテが真っ二つになった辺りで、子供たちの全滅フラグを立てていた頃だったんですが「その子供たち全員の口から、存在を全否定される主人公ってどうだろう」……と。

 正確には、その糾弾されるシーンが不意に映画を見ているように脳内に浮かび、車を止めて……耐えきれず、大爆笑したものです。

 結果、コレが自分の中で採用され、本来はコンセプトに入っていなかった、最後に創造神によって主人公フルボッコがシリーズ化された瞬間でもあります。

 本当はランウェリーゼラルミアとただ戦うだけだったんですが……まぁ、コレは完全に閃きの勝利と言えるでしょう。


 この世界を描く上での最終的なテーマは、上辺やステータスばかりで異性を見ることの愚かさが一つ……これは姫様とテテとの対比で描けたと思います。

 後は、一期ではラーウェアの思うが儘に操られて世界を滅ぼしてしまったのが読み手にストレスだっただろうと考えて、今度は「主人公が自分の意思で世界を滅ぼす」ってのをコンセプトに加えております。

 個人的には結構うまく描けたと思ったのですが……如何だったでしょうか?


2020/05/03 11:57投稿時


総合評価 22,014 pt

評価者数 842 人

ブックマーク登録 7,184 件

評価ポイント平均

4.5

評価ポイント合計

7,646 pt

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 受け入れエンドみたいなぁ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ