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【完結済】ンディアナガル殲記  作者: 馬頭鬼
肆・第六章 ~征左将~
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肆・第六章 第一話

 我らが王である『黒剣(ヘイチェン)』が『燃鞭(ランピェン)』を屠ってから三日後。

 敵領土の併合……という名の虐殺と略奪、そして奴隷狩りが一段落した頃に、俺は上司である『黒剣』に呼び出しを食らっていた。

 と言っても、『燃鞭』の領土を併合するため、李逵(リィクィ)の砦……つまりが、俺が奪った砦が一時的に王に接収され、そこに呼び出されただけでしかないが。


 ──ヤバい。

 ──狩りが面倒で部下に任せていたのがバレたのか?


 呼び出しと言うと、一介の学生でしかなかった俺は、すぐさま「叱責される」と連想してしまう俺だったが……幸いにして、黒剣の用事は別にあったらしい。


「では、皇帝(ファングィ)

 前の戦で『燃鞭』を追い詰めたばかりか、副将を二人も屠ることで勝利に貢献した貴様には、左扇(ツォシャン)の地を与え、『征左(ツュンツォ)(シァン)』に命ずることとする」


 何しろ、我らが王が開口一番に放った言葉は、そんな……俺の功績を称えるモノだったのだから。

 正直、こちらの事情に疎い俺には、その征左将ってのが正確に何を意味するかは分からないが……左側へと攻め込む将軍、って感じで間違ってない、だろう。


「馬鹿なっ!

 こんな新参者をっ!」


「陛下っ!

 お考え直しをっ!」


 当然のことながら……俺の昇進には反対意見を告げる者もいた。

 どうやら征左将ってのは、かなり高い地位らしい。


「では、貴様らに問う。

 あの『燃鞭』の片腕を奪うことが出来るか?

 出来る者がいるならば、余に異を唱えてみせよ」


 尤も、それらの反対意見も……王の告げた言葉によってあっさりと静まったようだったが。

 ……当然だろう。

 あの『燃鞭』……王という名の化け物と相対した俺なら分かる。

 アイツの強さは、人間をあっさりと超越していた。

 腕自慢でその地位に立っている筈の(シァン)たちが虚勢を張ることも出来ず黙り込んでしまっても、それは臆病ではなく、当然でしかない……そういう化け物たちこそが『王』なのだから。


「そもそも、下らぬことで口を開くな。

 コヤツが地位に相応しくないと思うなら、力ずくで地位を奪えば良いだけだろうが」


 黙り込んだ連中にとどめを刺すかの如く、王が放った言葉は……それ以上の反論を完全に奪い去っていた。

 どうやら、あの『王』という超越した存在に勝つことは叶わなかったものの、片腕をへし折った俺という存在は……周囲の連中から「化け物に片足を突っ込んでいる」と認識されてしまっているらしい。


 ──しかし、この姿勢疲れる。

 ──早く終わってくれないかな、畜生。


 そんな茶番劇を、跪いたまま聞き流していた俺は、内心でそんな悲鳴を上げていた。

 正直、俺としては……こうして王の前に跪くのを厭う気は全くない。

 何しろ、この世界での「跪く」行為は、日本式の仰々しい土下座ではなく、中国式っぽい変な姿勢で……何と言うか、芝居をしているような感じでしかなく、跪いても別に屈辱なんかを感じる訳でもないのだから。

 それでも、この変な姿勢を延々と続けるってのは意外とキツいもので……その上、敵からの攻撃でないからか、破壊と殺戮の神ンディアナガルの権能も「変な姿勢を続けた所為で発生した痛み」からは我が身を守ってはくれないらしく……


 ──いい加減に、しやがれよ……

 ──話が長いな、このクソ親父……


 ……俺はそろそろ我慢の限界を感じていた。


「そして、我が七女である『(チィ)』を嫁がせようと考えている」


 だから、だろう。

 ……俺が、王の告げたその言葉の意味を、全く理解出来なかったのは。


「あの、七公主(コンツゥ)をっ?」


「こんな何処の馬の骨とも知れないやつをっ!」


 理解できなかった俺の代弁をしているつもりなのか、周囲の将たちが大声を上げて王の決定に異を唱え始める。

 尤も、俺としてはそんなことよりも、この無理な体勢から解放してくれた方が遥かに有難かったのだが。


「だが、推測は出来る。

 あの『血風(ツェフォン)』の研究に幾つかの資料があった。

 絶対服従させた奴隷に『神果(シェンクォ)』を与え、従順な兵を作り出す技。

 生まれたばかりの己の子に『神果』を与え、最強の兵として一から育てる技とか、な」


「つ、つまりコヤツは……」


「あの、『血風』の……」


 王の呟きにより、周囲の将たちの間からざわめきが零れる。

 とは言え、俺は今の姿勢を如何にして楽に保つかに必死で、訳の分からない会話に混ざろうとか反応して見せようという余裕すらない。


「……あくまで推測でしかないがな。

 まぁ、奴も、余を……いや、恐らくはあの『四帝(スゥディ)』に並ぼうと、色々と画策していた節がある。

 尤も……中には異界から魔物を召喚する、なんて眉唾もあったがな」


 そう告げた『黒剣』の言葉を聞いた周囲から失笑が漏れる。

 その言葉……冗談っぽい一言を〆として、どうやら話はまとまってくれたらしい。

 俺は俺で、そろそろ右足が痙攣し始めていて……その痛みをどう誤魔化すかにばかり集中していたために、話の内容なんてほとんど聞き流していた訳だが。


「では、皇帝よ。

 そろそろ頭を上げ、立つが良い」


 そして、ようやく出たお許しに、俺は慌てて立ち上がると……右足の感覚が完全に消え失せているのを理解した。

 そう長い時間跪いていた訳ではないものの、慣れない姿勢を続けていた所為だろう。

 立ち上がった俺の前では、上司である『黒剣』が何やら周囲の部下に手を振って指示を下していて……それが思ったよりも長い。

 そうして立っている間にも、ゆっくりと感じ始めた足の痺れは、いつしか太ももから尾てい骨まで伝わり始めていて……俺は既にただ立っているだけで精いっぱいという有様だった。


「はっはっは。

 そう緊張することはない。

 褒美として、貴様の伴侶となる女を授けるだけだ」


「……は?

 いや、あの?」


 俺はそんな有様だった所為で、王の言葉に返答が鈍る。

 ようやく「伴侶」という言葉の意味に気付いた時には、既に断ることも出来ない空気が周囲に蔓延していて……俺は反論することも出来ず、ただ静かに口を噤み、痺れに耐えることしかできない。

 首輪に微かな違和感を覚えるものの……足の痺れが圧倒的な今、それは本当に微かな違和感に過ぎず、俺がそちらへ意識を向けたのはほんの一秒にも満たない時間に過ぎなかった。

 そうして鐘の音が響くと同時に奥の部屋……恐らくは前の住人だった李逵(リィクィ)の私室があった辺りから、女官に囲まれるようにして、一人の少女が歩いてくる。

 我が妻……いや、俺への褒美としてこの砦へと運ばれたのだろうその少女は、まさに「少女」としか表現のしようがない存在だった。

 恐らく小学生に入ったばかりの、七歳くらいの女の子が顔を真っ白に塗りたくられ、真っ赤な紅を唇に塗られ、目の上を青く塗られ……妙に目つきがキツい気がするのは、その化粧の所為だろうか。

 金銀や紅や朱に彩られた髪飾りはゴテゴテと重そうで、それ以上に服は赤青黄色に金銀の刺繍が施された凄まじく仰々しい代物で……


 ──って、ちょっと待てっ!


 着飾っているのも、少し目つきがキツイのも、高貴な感じで我慢しよう。

 濃い化粧も、あまり好きではないものの……何とか我慢は出来るだろう。

 ……だけど。

 

 ──まるっきり、餓鬼じゃねぇかっ!

 ──俺は、小学校の先生じゃねぇっ!


 ……そう。

 小学生を妻とするなんて、アホな漫画くらいで十分である。

 幾らこの世界が異世界で、児童ポルノ法なんて法律が適用されないとは言え……そして、古代中国や戦国時代では今の日本よりも遥かに適齢期が早く、政略結婚となれば十代に満たない年齢で結婚するのも往々にしてあったとは言え。

 それでも……餓鬼を妻とする、なんて。


「はっはっは、小娘は不服か?

 だが、我が一族へと加えてやろうというのだ。

 ……そう悪い話ではないだろう?

 なぁ、七よ?」


「ふざけないでよっ、爸爸(パァパ)っ!

 こんな、弱そうな男の妻なんて、冗談じゃないわっ!」


 父親から政略結婚を勧められた七という少女は、あっさりと大声で王の提案に異議を唱える。

 その叫びを聞いた俺は思わず、このまだ小学生低学年としか思えない少女を心の中で激励していた。

 だが、実の娘のそんな反抗すらも、黒剣という名の王にしてみれば意に介するほどのこともなかったらしい。


「なら、死ぬか?

 余は使える道具以外は不要だと教えた筈だが?」


 王は、俺の動体視力ではいつ抜いたかすら見えないほどの速さで、その名の由来となった黒い剣を少女の首筋に突き付けていたのだから。

 ……弱者には自由も選択肢も与えない。

 自分より弱い奴を生かすか殺すかは、ただ使えるか使えないかのみ。

 王になろうという奴は、たとえ身内が相手でも、非常極まりない「この世界のルール」を徹底しているらしい。


「ひ、ひぃっ。

 わ、分かり、まし、た……」


 そして、そんな状況に置かれた少女に残された選択肢など、頷く以外にある筈もなく……少女はあっさりと前言を翻す。


「別に……使えるなら文句は言わん。

 見事、余の役に立つが良い」


 王にしてみれば、頷きさえすれば、後はどうでも構わないらしい。

 娘の頷き一つで剣を下げると……すでに七という名の少女からは興味を失ったかのように、まっすぐに俺の方へと視線を向ける。


「では、期待しているぞ、皇帝(ファングィ)

 次の戦は近い。

 鍛錬を行るな」


「……了解、しました」


 そして、実の娘相手にすら刃を見せる相手に、俺が逆らえる筈もない。

 というか、政略結婚……この小娘と形ばかりの夫婦になれば良いだけであり、俺としてはそう大した実害もない。

 そもそも、今まで旅してきた世界でも、正式な結婚はないにしろ、妻を自称する奴らなら何人かいた経験もあり……幼女を妻とするという異様な事態に、現代日本人としての倫理観が不快感に悲鳴を上げているものの、それ以外には特に逆らう必要もないのだ。

 ……あの黒い剣で斬られると、『燃鞭』で叩かれたくらいに痛いのが明白で……多少の不快感程度では、無闇に逆らおうとも思わないし。


 ──ビビッている訳じゃないんだけど、な。


 あの『黒剣』が相手でも、破壊と殺戮の神ンディアナガルの権能を持つ俺ならば、ヤろうと思えば軽く殺せるだろう。

 鞭ではなく剣で斬られる訳だから、怪我するのが前提で……言うならば、薔薇の花園に突っ込むくらいの被害が出ると思われる。

 正直、政略結婚如きでは……そこまで我を張る必要がない。

 そう結論付けた俺は、軽く頭を下げると……そのまま王のもとから立ち去ることにする。


 ──あ~。

 ──(リァン)になんて説明すりゃ良いんだろうな?


 そんな言い訳探しに意味もなく胃の痛みを感じつつも、廊下を歩き、階段を下りて……何故かそれでも女官を連れた幼女が背後に付いて来ている事実に、いい加減無視も出来なくなった俺は立ち止まり、背後へと振り返る。


「……何故、付いてくる?」


「聞いていたでしょう?

 不本意ながら、貴方の妃となったのです。

 妻の面倒を夫が見るのは、当然の務めでしょう?」

 

 俺の問いに返ってきたのは、そんな……傲慢極まりない、上から目線の言葉だった。

 荷物とか着替えとか、そういう細々とした打ち合わせがあると思っていた俺としては、即日お持ち帰りというこの事態に戸惑うばかりである。

 そもそも、実の父親に刃を向けられたこの少女を、此処で放り捨てるほど、俺は非人道的ではない。

 というか、この小娘は兎も角としても、周囲の女官たちは美女とは言えないながらも、俺と同年代か少し上くらいで……

 最近、本気で幼女以外には異性との交流がない我が身を顧みると……小娘のおまけとしてでも、側に侍らせておきたいと思うのは、まぁ、思春期の少年としては、仕方のないことだと思われる。


「……ああ、勝手にしろ」


「それが妻に対する態度ですかっ!

 良いですかっ!

 夫ならば、妻に対しっ……」


 この小娘は本命を釣るための餌……そんな本音が見え隠れする、俺のぞんざいな態度が気に入らなかったのだろう。

 妻……と自称する七という少女は、声を荒げて噛みついてきた。


「頼もうっ!」


 だが、そんな少女の声は、突然の野太い声に遮られる。

 甲高い声といきなり出来た妻に気を取られていた所為で、全く察知出来なかったのだが……その声に振り返ってみれば、いつの間にか眼前に一人の巨漢が立ち塞がっていた。

 手には凄まじい業物と思われる柳葉刀……中国っぽい刀を持っていて、その凄まじく膨れ上がった腕の筋肉を見る限り、かなりの手練れと見える。


「我が名は、楊志(ヤンツィ)っ!

 貴公が『征左(ツュンツォ)(シァン)』となることに、異を唱えさせてもらうっ!」


 楊志と名乗った巨漢はそう叫んだかと思うと、その手に持った刀を僅かな予備動作だけで俺の首筋へとまっすぐに薙ぎ払ってきやがった。


「……異を唱えるって、腕力でかよ……」

 

 尤も、幾ら切れ味の良い刃物であっても、俺の頸動脈……いや、首元の皮膚一枚を薙ぐことすら叶わない。

 正直に言うと……俺は、こいつの見せた僅かな予備動作に気付きはしたのだが、反応は完璧に間に合う訳もなく、振るわれた刀を首で受け止めることになっただけなのだが。

 技巧で見事に「一本取られてしまった」俺は、刃物を首で受け止めたまま余裕の態度を装うべく、そう溜息交じりに呟いてみせる。


「きゃあああああああっ!」


「く、曲者っ!

 だ、誰かぁああああっ!」


 背後では、いきなりの刃傷沙汰に少女とその周囲の女官たちが悲鳴を上げていたものの……まぁ、首筋に刃物を突きつけられているこの状況では、そちらを気にする余裕なんてない。

 いや、恐らくは放っておいても、この楊とかって巨漢では俺を傷つけることなど叶わないだろうが……流石に刃物を手にしているイカレ野郎を放置は出来ないだろう。

 下手に放っておけば、背後の本命……女官たちに危害が加えられる恐れがある訳だし。


「ば、馬鹿、な……

 我が宝刀は、完璧に……」

 

「はいはい。

 じゃ、これで認めてくれよ……っと」


 もういい加減見慣れた光景ではあるが、必殺の一撃が通用せずに驚愕に目を見開く巨漢に、俺はなげやりにそう告げると、その腕を握って、軽く引き寄せる。


「笑止っ!

 我と腕力で競うつも……ぅぉおおおおおおおっ?」


 コイツも、膂力にはかなりの自信があったのだろう。

 腕を掴まれた巨漢は笑いながら刀を投げ捨てると、両腕で俺に掴み掛ってきたのだから。

 だが、幾らこの巨漢が人間にしては膂力を誇っていると言えども、所詮は人間。

 破壊と殺戮の神ンディアナガルの権能の前では、蟻の手足がじたばたと暴れる程度の抵抗でしかない。

 そのまま巨漢の身体を引き寄せた俺は、両腕で顔面を掴むと、ただ力任せに近くの壁へと叩きつけた。


「……あれ?」


 正直に言うと……俺はこの脳みそまで筋肉で出来た巨漢を軽く痛めつけるつもりはあっても、殺すつもりなんてなく「ただ力の差を思い知らせる」程度のつもりで壁に叩きつけたのだ。

 何しろ、同じ軍の同僚……もしかしたら、部下になったかもしれない奴なのだ。

 いきなり訳の分からない奴が重役に抜擢されれば、今まで頑張っていた連中にとっては気に入らないだろうし、反発が起こるのも当然だと思う。

 ついでに言うと、これから生活を共にする、かもしれない妙齢の女性たちの前で、この巨漢をあっさりとKOしてみせて……少しばかり恰好をつけようという意図があったのも否定はしない。

 ……だというのに。

 何故、軽く叩きつけたはずのこの巨漢は、脳漿を壁にぶちまけ、関節の壊れた人形みたいな無理な体勢で壁にめり込んでいるのだろう?

 もしかしたら、その恰好をつけようとして「ちょっとばかり力を入れ過ぎた」のが原因だったのかもしれないが。


「う、うぇえええええええええっ?」


「ひぃいいいいいいっ!」


 兎に角、俺が意図せずとは言え見せてしまったその惨劇は……どうやら女性たちには、少々刺激が強すぎたらしい。

 背後からは嘔吐する音と悲鳴とが重なって聞こえてくる。

 

 ──好感度、最悪だな。


 格好良いところを見せようとしたのに、ちょっとばかりミスして超絶グロ映像を見せてしまった俺は、内心で大きくため息を吐きながら天を仰ぐ。

 まぁ、少なくとも……暫くは好感度を上げるため、色々と気を付かわなければならないだろう。

 俺の理想とするラブラブな関係になるには、一歩目から大きく躓いた形となった訳で……その前途多難さに俺は嘆息を隠せなかったのだ。


 ──もしかして、コレも呪いの一環か……


 腐泥に覆われたあの世界で、最後に創造神ラーフェリリィに言われた言葉……創造神級との相手以外、Hなことが出来ない因果となっている。

 それが今さらながらに頭に浮かび……俺はその最悪の予想を、首を振ることで振り払う。

 ……と、その時だった。


「そなたっ!

 なかなか出来るではありませんかっ!」


「……は?」


 袖が引っ張られる感触に振り返ってみれば、瞳を輝かせた少女が、俺に向かって満面の笑みを浮かべていた。

 明らかに慣れていないだろう厚化粧の所為か、その少女の顔は、何というか……色気のある女性というよりは、笑いを誘う道化師としか思えなかったが。


「す、少し物足りないとは思っておりましたが……どうやら、見る目がなかったのは私の方だったようですね。

 こ、これからは、貴方を夫として、せいしんせいい、側に仕えさせて頂きますわ」


「……あ~」


 どうやら攻略対象である女官たちをドン引きさせた惨状は、何故か対象外である幼女の好感度を上げてしまったらしい。

 七という名の我が政略結婚相手は、目をキラキラさせて俺に笑いかけてくる。

 ある意味、歳相応のその笑顔に、俺は軽く肩を竦めてみせると……そのまま幼女と女官たちを引き連れて、自分の任地である新たな砦へと向かうべく、砦の外へと足を進めるのであった。


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