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【完結済】ンディアナガル殲記  作者: 馬頭鬼
参・第七章 ~『聖樹』攻略戦~
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参・第七章 第六話


「……お前」


 樹にもたれかかってようやく立っている『仮面』の一族の族長代理……ベーグ=ベルグスを見た俺は、ただそう呟くことしか出来なかった。

 右上腕は半ば千切れかけ、盾代わりに使ったのか右の下腕を石斧が貫き、右肩には石斧が突き立ち、頭からは血を流し、右のわき腹からは肋骨が見えるほどに抉れ、石斧が食い込んだ腹は真紅に染まり、右の太ももには石斧の柄が突き刺さり、左脛は半分ほど食い込んだ石斧の刃が残っていて……

 要は、身体中がズタズタで……医学の心得のない俺であっても、コイツがもう助からないのが一瞬で見て取れた。

 ……いや、現在進行形で噴き出している出血量を見るだけで……今こうして生きているのが不思議なほどである。


「手間を・取らせて・悪かった。

 ……わざわざ・降りてきて・くれたんだろう」

 

 俺に向かってそう告げる血まみれの巨漢は、意外にも普通に……今朝『聖樹の都』へと攻め込んだ時と変わらない口調のままだった。

 ……そのボロボロの身体にも関わらず。


 ──これは、やはり……


 燃え尽きる寸前の蝋燭か、死ぬ直前に痛みが消えるとかいうアレか。

 青年の身に訪れている「逃れようのない死の気配」に俺は眉を顰めるものの……眼前の巨漢はそんな俺の心境など意に介した様子もなく、言葉を続ける。


「ったく、何処までも・祟りやがって・あの馬鹿爺共・が。

 ……本来なら・あの『双斧』の連中も、仲間に・なっていた・だろうに」


「いや、説得に応じてくれなければ……」


 吐き捨てるように告げるベーグ=ベルグスの言葉に、俺は首を横に振る。

 実際のところ、『盾』と『槍』の一族は運よく説得できたものの……『双斧』の連中まで上手く説得できた保障など、何処にもない。

 そもそも、現代日本で友人すら作れなかった俺は……巧みに言葉を操って相手の戦意を奪うような、所謂ネゴシエーターとしての能力など持ち合わせていないのだから。


「ああ、皆殺しに・していた、かも・な。

 ……どっちにしろ・背後を・突かれる・なんて、無様な・有様には・ならなかった・筈・だろう?」


 だが、そんな俺の言葉を聞いても、ベーグ=ベルグスはただ笑うだけだった。

 『聖樹攻略』が失敗した原因が、自分たちに……食料を無駄に費やした『仮面』の一族の長老たちにあることを自覚しているのだろう。

 勿論、俺もそう思っているが……流石にそれを口にはせず、首を横に振って見せる。

 ……変な話ではあるが、数百・数千に近い人間を殺してきたこの俺であっても……死を目前にした人間に対して責任を追及して詰るような真似は出来なかったのだ。

 とは言え、族長代理であるベーグ=ベルグスは、俺が告げるまでもなくその責任を感じているらしい。


「こんなことを・頼める・立場にないとは・分かって・いるんだが……

 妹を……いや、一族のみんなを・救って・くれ」


 巨漢は静かに足元に横たわるべリス=ベルグスに視線を落とし……すぐに首を左右に振って、そう言葉を訂正する。

 恐らくコイツは、家族の情を振り払い……族長代理としての言葉を告げたのだろう。

 ……だけど。


「そうしたいのは、山々だが……

 もう、食料が、もたないと……」


 俺はただそう呟くしか出来ない。

 ……そう。

 彼ら『泥人』にはもう戦闘継続能力がない。

 水も食料もほぼ備蓄がなく……だからこそ、今日の侵攻を乾坤一擲の大逆転と位置付け、ギリギリの気力を振り絞って『聖樹の都』へと攻め込んだのだから。

 だが、そんな俺の呟きを聞いた『仮面』の一族の族長代理は、小さく肩を竦めると……静かに俺の懸念を拭い去る言葉を発してくれた。


「ああ、それは・大丈夫・だ。

 動ける連中を・使って……聖樹の実を・拾わせて・ある。

 以前と比べ・かなり・減っていたが……一日くらいは・もつ・筈だ」


 尤も、そこを『双斧』の連中に襲われたんだがなと、ベーグ=ベルグスは自嘲めいた笑みを浮かべながら呟く。


 ──あの、餓鬼っ!


 巨漢の言葉を聞いた俺は……頭上で小賢しい知恵を絞っているだろうデルズ=デリアムに、内心で十数個もの罵倒を送り付けていた。

 聖樹の実が減っていると言うのは……紛れもなく、アイツの仕業に違いない。

 前回『泥人』の襲撃によって、その狙いが食料……聖樹の実だと気付いたアイツは、俺たちの補給を断つために、落ちた聖樹の実を拾ったのだろう。

 せめて三日分あれば……怪我人の治療をして戦士たちに休養を取らせるくらいの時間があるのだが……

 

「……怪我人たちには、武器も・作らせて・ある。

 次に・戦う・時は……役に、立つ・筈・だ」


 そして、その情報を俺に伝えることが……コイツの気力を保っていた柱だったのだろう。

 そう告げた途端、巨漢の身体は支えを失ったかのように傾ぎ……


「お、おい?」

 

 俺は慌てて駆け寄り、ベーグ=ベルグスの身体を抱き留める。


 ──思ったよりも、軽、い?

 ──これは、もう……


 鉄錆の臭いと臓物臭の漂う巨漢の身体を片腕で支えた俺は、その腕にかかる荷重の少なさに驚きつつも……それ以上の言葉を発することが出来なかった。

 助かる・助からないという次元の問題じゃない。

 ……今、こうして動いているのが不思議な有様なのだ。

 何しろ、ベーグ=ベルグスの身体から噴き出る血は既に衰え始め……巨漢の身体にはもうそれほどの血液が残されていないのが分かるほど、なのだから。

 恐らくは……気力だけで動いているのだろう。

 俺に一族の明日を託すために……『仮面』の一族にはまだ明日を戦う力があると、この俺に伝えるため、だけに。

 何処までも族長代理……人の上に立つべき人間というものを、その身で示し続けているようなヤツだ。


「……分かっ、たよ。

 俺は、明日……『聖樹』を落とす」


 死を目前に控えた男に、俺はただそれだけを告げる。

 どの道、俺はそうするつもりだったし……それ以外の道など、既に『泥人』たちには残されていないのだから。

 

「……ああ、済まない・な」


 そして……『仮面』の一族の族長代理にとっては、俺のその短い言葉だけで十分だったらしい。

 そう静かに告げると、その顔から『仮面』を外し……


「最後に・一つだけ……頼みが・ある」


 男は、『仮面』を地に落としながら、そう俺に告げる。

 その大きな身体にはもはや力など感じられず……さっき仮面を外したのが、最後に残された力だったのだろう。


「……ベスの・望みを・叶えて・やって・くれ。

 アイツは・嘘吐き・だから・な。

 いつだって・良い子で・あろうと……外面を・取り繕う・ばかりで……」


 ベーグ=ベルグスが『仮面』を捨てた理由が分からないほど、俺も馬鹿じゃない。

 コイツは最後の最後に……『仮面』の一族であることを、族長代理として生きることを辞めたのだ。

 身内を……妹を、俺に託すために。


「ああ・畜生。

 俺は・ろくでもない・兄、だった。

 クソみたいな・親父に・反発する・ばかりで、アイツには・苦労・ばかり・かけて……」


 最期を悟っているのだろう。

 嘆くような悔むような巨漢の言葉に、俺はただ耳を傾ける。

 破壊と殺戮の神ンディアナガルの権能を持つこの俺であっても、今まさに死の淵から転がり落ちているコイツを救う術などなく……

 今の俺に出来ることと言ったら……ただ話を聞いてやることしか出来ないのだから。


「……いや。

 俺も、あの親父を・笑えない・か。

 最期に、族長として・ではなく、こんな頼みを、す……」


 それが、『仮面』の一族を率いていた……ベーグ=ベルグスの最期の言葉だった。

 静かに眠るような巨漢の身体を、俺はゆっくりと『聖樹』の根の上に横たえる。


 ──任せろ。

 ──後は、何とかしてやる。


 俺はベーグ=ベルグスの最期の言葉を反芻し、内心でそう呟く。

 実際のところ……昨日の戦闘を見る限り、『聖樹の都』にもう戦闘力などないだろう。

 加えて言えば、『弓』の一族を屠った時点で、べリス=ベルグスの……「誰も争わない世界を創る」という願いは叶う。

 ……俺の正義も、成る、だろう。

 初心を思い出した俺は静かに拳を握り……周囲を見渡す。

 周りは死体と怪我人だらけで、今朝から言うと数も大きく減ってはいるが……まだ『聖樹の民』の三倍以上の戦力は有しているだろう。


 ──ただ、厭戦気分が蔓延しているんだよな。

 ──何とか、鼓舞してやらないと……


 周囲をそう見て取った俺は、気が進まないながらも、激励を飛ばそうと息を吸い込む。

 ベーグ=ベルグスの遺言を叶えるために……明日の勝利を絶対のものとするために。

 ……だけど。


「……兄・さん。

 貴方は・馬鹿・です」


 いつの間に起きていたのだろうか?

 べリス=ベルグスが……俺の女神が、泣きそうな声でそう呟いたのが耳に入る。

 俺は慌てて少女の近くへとしゃがみこみ、彼女の言葉を聞き漏らすことがないようにと顔を寄せる。


「起きてた、のか?」


「……本当に・馬鹿な・兄・です。

 こんな・私なんて・放っていれば……死なずに・済んだ・のに……」


 そう告げる少女に……俺は返す言葉を持たなかった。

 彼女が呟いた言葉は……紛れもない事実だと、俺自身も考えていたのだから。

 ……そう。

 この俺の一撃を真正面から受け止め、『聖樹』から突き落としても死ななかったあの巨漢が……たかが一〇や二〇程度の雑魚にやられる訳がないのだ。

 何らかの「足手まとい」によって、その戦闘力を満足に使えない……そういう事態にでも陥らない限り。


 ──畜生。


 少女を慰める言葉も、少女の声を否定する言葉も浮かばない俺は……内心でそう毒づくことしか出来なかった。

 こういう時に上手く話す能力があれば……学生生活がもうちょっとマシになっていたかもしれないのに。

 結局、俺の脳裏にはそんな……意味もない仮定が過ぎって行くばかりで、ただ時間だけが過ぎ去っていく。

 沈黙に耐えかねた俺は何かを言おうとして口を開き……結局、何も浮かばずに口を閉じる。

 ……そうしてどれだけの時間が経ったのだろう。

 静かに兄の亡骸を眺めていたべリス=ベルグスが、その口を、開く。


「アル=ガルディア・さま。

 兄さんが・言っていた通り……

 私の・最後の・願い。

 ……叶えて・くれます・か?」


「……ああ」


 唐突に放たれた少女の言葉に……俺は一も二もなく頷いていた。

 彼女が何故そんなことを言い出したかを考えるよりも……この沈黙の牢獄から一刻も早く逃れたかったのだ。

 そんな俺の内心を知ってか知らずか、少女は仮面を外すと……


「でした・ら……

 ……この・世界を・全て・滅ぼして・下さい」


 ……そう、俺に告げた。


 ──え?


 俺は、彼女が……俺の命を救ってくれた、女神のような少女が何を言ったのか分からず、硬直してしまう。

 ……だけど。

 べリス=ベルグスはそんな俺に向かって、吐き捨てるかのように、言葉を続ける。


「あれだけ・兄さんが・頑張っても・報われない、こんな・どうしようもない・世界なんて……もう・要りません。

 聖樹も・人も・世界も・腐神も……何もかも・殺し・尽くして・下さい。

 私の・願いを、叶えて・くれるん・でしょうっ?」


 血を吐くような声で、そう呪詛をまき散らす少女を、俺は静かに眺めていた。

 ……いや、ただ茫然とその言葉を聞いていた。


 ──俺の目の前に、いる、少女は……

 ──一体、誰だ?


 俺を助けてくれた、女神は?

 静かに嫋やかに佇むような、綺麗ではないけれど可憐な少女は?

 俺が戸惑うのが分かったのだろう。

 べリス=ベルグスはゆっくりと手を伸ばし……震える手で、俺の肩を掴む。

 殆ど力も入ってないだろうその手を、何故か俺は振り払えない。


「……出来る・筈・です。

 腐神ンヴェルトゥーサの・使い魔を・ものともしない・貴方、なら。

 この・世界を・腐らせようと・している、あの神を・殺す・ことも」


「な、何故、そう……」


 少女の剣幕に、後ずさろうとする俺だったが……肩を掴んだままの少女の腕は、俺を逃がそうとしない。

 そうして逃げ道を無くした俺を、殺気と呪詛に満ちた二つの瞳がまっすぐに睨みつけてくる。


「貴方の・怪我を・見たの・ですから、知って・います。

 聖樹から・落ち、矢を射られた・筈の・貴方の身体は……傷一つ、ついて・いません・でした。

 ただ、右脇に・腕と同じ形の・痣が・ついていただけ。

 ……貴方は・明らかに・人間とは・違う」

 

 少女のその言葉を聞いた俺は、怪我の治療をしてくれたのが彼女だったと今さらながらに思い出す。

 そして……彼女が何を言っているかを理解する。

 俺の身体は、「あの『聖樹』から落ちたくらいでは、傷一つつかなかった」のだ。

 俺が『聖樹』から落ちて右腕を痛めたのは……ただ単に「俺の腕が、俺自身の身体とぶつかった」所為なのだろう。


 ──じゃあ、何か?


 さっき……俺が勇気を出して、跳んでいれば……

 もしかしたら、ベーグ=ベルグスを助けられたかも……


 ──でも、だからと言って……


 その意味のない仮定を、俺は首を振ることで、脳裏から振り払う。

 ベーグ=ベルグスはもう死んだのだ。

 ……「もしも」なんて意味のない話をしたところで、何になる?

 そんな俺の内心を知る由もない少女は、悲痛な表情を浮かべたまま、俺の眼をまっすぐに見つめ……


「それが・私の・最期の・願い・です。

 私が・死んだなら、この魂は・貴方に・捧げます・から……

 せめて・私の……私たちの・仇を……かへっ」


 それが、彼女の発した、最後の言葉らしい言葉だった。

 彼女の口上が途切れ、少女の口から発したとは思えない、間の抜けた呼気が発せられたと思ったその瞬間……俺の肩を掴んでいた少女の腕に、あり得ないほどの力が込められる。


 ──なん、だ?


 ンディアナガルの権能故か、痛みは感じないものの……細い少女の手のひらから発せられたとは思えないその凄まじい力に、俺は驚きを隠せない。

 ……いや。

 俺を本当に驚かせたのは、その次の瞬間に起きた出来事の方だった。


「ひぃっ・ぎぃぃっ?」


 少女の口から言葉にならない悲鳴が上がるのと、少女の右手の甲を彼女自身の骨が突き破るのと……果たしてどっちが早かっただろう?


「……え?」


 手の甲の皮膚を折れた骨が内部から突き破る……殴りかかって来たヤツの腕を、俺が強く握った時に見られるその光景が、細い少女の手に起こった事実に、俺は驚きを隠せない。

 しかも今は……俺は、彼女に指一本触れていないのだ。

 何故こうなるか……さっぱり理解出来ない。


「かっ・はっ?」


 そうして狼狽える俺の前で……べリス=ベルグスの身体が、突如、跳ねる。

 声というより、息が肺腑から追い出されたような音がした直後、少女の身体は急に弓なりにのけ反る。

 ……人としては、あり得ないような、弧を描いて。


「……ぎぃ・ひっ?」


 次の瞬間、グシャとかいうくぐもった音が響き渡り……少女の右脚の膝が、あり得ない角度へとへし曲がる。

 ……誰も、何もしていないのに。


 ──何だ、これ、はっ?


 べリス=ベルグスの急激な異変に俺が戸惑う中、彼女の身体から急に力みが抜け……少女の身体は重力に敗れ、そのまま地べたへと横たわる。


 ──発作?

 ──治まった、のか?


 そう俺が安堵するのも束の間……ほんの一秒も数えない内に、少女の身体はまたしても弓なりに跳ね上がる。


「ふ・ぐぅうううううっ!」


 その次にへし折れたのは……右の肘、だった。

 やはり渇いたような音を周囲に響き渡らせ、関節の可動域を超えた方向へ、その肘が自分から曲がるのを、俺はただ見ていることしか出来ない。


 ──何だ、これ、は?


 混乱の極致にあった俺は、思わず助けを求めるように周囲を見渡すものの……

 俺の周囲に立ち、こちらを眺めていた『泥人』たちは、ただ静かに俺の視線から逃れるように、目を背けるだけ、だった。

 中には親切な連中もいたのか、俺に向かって首を横に振るヤツもいたが……ソイツらが何を言っているかなんて、理解したくもない。


「おいっ!

 しっかり、しろっ!」


 だから、叫ぶ。

 呼びかける。

 べリス=ベルグスの身体を抱き留め……その細い身体を握り潰さないよう、細心の注意を払って……

 ……だけど。


「ぁ・はっ・しに・たく・な……」


 少女の唇が何か言葉を発したかと思った次の瞬間……

 ベキリと、何か致命的な音がして。

 彼女の首が、あり得ない、方向へと傾き……その直後、全身の痙攣が収まったかと思うと……

 べリス=ベルグスという名の少女の身体は……それ以上、何一つ動かなくなっていた。


 ──何が、起こった?


 俺の腕に抱かれたままの少女の、そのあり得ない姿を前に……俺はただ呆然と座ったまま、その「少女だったモノ」を眺めることしか出来なかった。。

 いや、そう呆けていても……実のところ、俺にも彼女の身に何が起こったかくらい、何となくは分かっている。

 恐らく……彼女の身体を蝕んでいた『腐泥の毒』だ。

 「破傷風の末期症状では身体中の筋肉が硬直し、身体が弓なりに反る」と、美術の授業中、先生が思いっきり脱線したときに語っていた記憶がある。

 恐らく、『腐泥の毒』とやらは……その症状が遥かに「重い」のだろう。

 つまり……べリス=ベルグスは、発作的に起こった筋肉の硬直によって、頸椎や手足など、身体各所の骨を「自らの筋力」でへし折ってしまい、息絶えたのだ。


 ──嘘、だろう?


 例え、そんな理屈が分かったとしても……所詮ソレは理屈でしかなく。

 俺はもう動かなくなった少女の身体を抱きしめたまま……ただ内心でそう呟くことしか出来なかったのだった。

 


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[良い点] 破傷風の超強烈版かあ
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