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序ノ一
執筆速度は作者名の通りですが、最後までお付き合い戴ければ幸いです。
俺は今、窮地に立たされていた。睨まれている。眼前にいるのは明らかな憤怒の表情を向ける少女。その背丈は俺の首辺りに辛うじて届くかというくらい。不自然な緑に光る瞳が送る鋭い視線。ふわり、と流れる長い黒髪。
俺が果たして何をしたというのか。一体全体どういった理由で睨まれねばならないのか。
無言の問い掛けに対し、彼女はこう返す。
「貴様……ワシが九度目の死に所を見たな」
俺は始め、彼女が何のことを言っているのか、全く分からなかった。
しかし、その言葉の意味を理解した時、俺の日常は非日常へと変化していった。
その始まりは夕暮れ時。そよ風がまたたびを散らしていく……