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夢と願いの学園恋歌  作者: surteinn
プロローグ
5/44

      (3)

連続投稿です。

結構疲れるものですね。

では本編をどうぞ。

 俺と和泉の出会いは話題性の溢れるものである事は誰も否定はしまい。当然の如く、校内にこの話は浸透し、一時の少年少女の肴となるだろう。仕方がないと言えば仕方がないのかもしれない。

 その事が憂鬱であるのは言うまでもないが、俺には更に一つ、懸念事項があった。

 笹野ささの かなで

 台風少女のことだ。

 あいつがこれを見逃すはずがない。

 

 「宗やん、宗やん。聞いたよー。かわい~い女の子を助けたんだって?」

 ほら、予想見事的中。全く嬉しくない。奏はくるくると踊りながら俺の机の前にまで辿り着くと「ぐっじょぶ」と親指を突きたてた。ウェーブのかかったふわふわとした茶髪、青いリボンで結われた短めのツーサイドアップの端がまるで本人の活発さを表したかのようにひょこひょこ跳ねる。奏はムードメーカー兼トラブルメーカー。場を盛り上げてくれるのはいいが、たまに犠牲者を出すのが玉に傷だ。俺や文と関わる事が多く、隣のクラスであるにも関わらずしょっちゅう出没する。おかげで俺、和志、奏は三バカとして人括りにされる事が多くなった。大変不名誉である。

 「ん、まぁ、そうなるな」

 今回ばかりは騒ぎ立ててもらいたくないので、素っ気無い返事という対処を取る。不満なのか、奏は顔を近づけ、更に追求してくる。

 「はっきり言いなさいよ、宗やん。てゆーか、自信持ちなさいよ。変な男に追い掛け回される女の子。交差点に追い詰められてもう駄目だと思ったその時! 颯爽と現れ追跡者を古流武術で叩きのめし、腰の抜けた少女に優しく手を差し伸べて、『大丈夫だったか?』と甘い声で語りかける。キャーッ! さっすが宗やん。カッチョイー!」

 「虚構九割の報告をありがとう」

 誰が使うか、古流武術なんて。あと顔が近い。

 「えー? 違うの? 宗やんならそれくらい軽くやっちゃいそうなイメージがあるんだけど」

 そんなイメージは今すぐ捨てろ。

 「その後大人な対応で少女を慰めてあげて、よく分からないけど水を飲ませてベンチに寝かせてあげたんだよね?」

 「後半は合ってるな」

 「むむむ。謎は深まるばかりですな」

 バッと身を引き、こめかみを人差し指で両側から押さえ思案する奏。ビビビと口走る辺り、変な電波でも受信しているのではないかと心配になる。

 「ピコーン。そうだ! 宗やん。放課後にその女の子と、文っち、変態、メープルを『グリーンウッド』に呼んで詳しい話を聞かせて貰っていい?」

 どうやら変な電波をものの見事にキャッチしてしまったらしい。アンテナを折ってやろうか。

 「断る。誰が話すか」

 「ある事ない事言いふらされるよりは、真実を事細かに伝えた方が身のためだと思うよ」

 世間一般で言うところの脅迫を行使され口をつむるしかなくなる。脅迫は犯罪です。

 というか、おいしい話題に盛り上がるのは仕方がないが、もう少し本人たちの気持ちを酌んで欲しい。しばらくの間学校に通うのが辛くなってしまうじゃないか。

 人の噂も七十五日。この慣用句の示す通りだと二ヵ月半。周りの生徒から珍獣扱いされると思うと、心が鉛のように重たくなる。もし和泉と恋仲であるといった誤解が広まったら、他でもない和泉自身に迷惑が掛かってしまう。早く噂が消えるようにと、俺は知らず知らずの内にそう願うようになる事だろう。鬱になりそうだ。

 「あれ? そこまで触れられたくなかったんだ」

 「これからどう生きていけばいいのか不安になった」

 「まじで深刻になってるよ。奏、とても驚いておりますぞい」

 驚いているのは見て分かる。反応がいちいち大きいし。しかも、「ぞい」ってなんだ。そんな特徴的な語尾、初めて聞いたぞ。俺の周辺にいる人物はよく分からないやつが多い。

 またもや受信中ポーズを取る奏に、今度こそ変な電波を受け取らないように祈る。

 「ピピピッ。来たよ来たよ! 私の今出せる限りの知能とか汗とか色んなものの結晶が出たよ!」

 添付ファイル、色んなものの結晶。次は未知なる物質を手に入れたようだ。怪しいから早く捨てた方がいいと思う。

 「噂を恐れるなら、本当のことを流せばいいのですよ」

 「は?」

 「だ・か・ら・さ。宗やんは噂に尾ひれが付いて変な風に話がこじれるのが嫌なわけでしょ? そしたらあえて本当のことを話して回れば、それ以上尾ひれの付きようがないし、誤解を招く心配もない! これ、奏的には当たりだと思うんだけど、どうかな」

 奏の言葉に思わず俺は嘆息した。その行為そのものが誤解を誘発する原因になるかもしれないと言うのに、火に油を注ぐような真似をしないで欲しい。それに噂ってものは本人が何しようが無関係だ。奏は尾ひれが付くのを避けると言ったが、こればかりはどうしても避けられない事だ。そもそも真実であるか、信憑性のあるかなんて、他の人にとってはどうでもいい。話題性、娯楽性、異常性の内一つでも満たしていれば肴としては上等だ。そういうものを人々は求める。噂の根幹は人々の興味、これが消滅しない限り噂はいつまでも生き続ける。だから余計な事をしない方が身のためなのだ。

 この事を簡潔に奏に伝えると、ちぇー、とつまらないと声を上げる。こいつは娯楽性を求める側か。

 「分かったよ。真実は私の胸の内に隠しておくね」

 「俺が話す前提かよ」

 「話してくれないの!?」

 「何で意外そうな声」

 「はっ。まさかやましい事でもあったんじゃ・・・・・・」

 「それが尾ひれとなって俺を苦しめるんだよ」

 「いっそ苦しんじゃえ♪」

 「やめろ。明るく言うな。明るく言えば何でもいいと思ってるのか」

 「信じてます」

 「疑えよ」

 疑えよってツッコミもおかしいけどな。

 「疑えよって変じゃない?」

 「俺もそう思ったところだよ」

 指摘されると案外落ち込むものだな。ツッコミ返し。なかなか成立しないぞ。

 「私たち、心が通じ合ってるのかも!」

 「今すぐ切断してやるから待ってろ」

 「絆は時に儚いものである」

 儚く散ればいいのに。

 「ってわけで『グリーンウッド』にみんな集めるから、詳しいこと、何も出なくなるまで吐いちゃって♪」

 「絶対に喋らない」

 「でも助けてもらった子は喜んで話すんじゃないの?」

 確かに和泉なら先程文に語ったときと同じように恍惚とした表情で熱弁を振るうに違いない。八方塞だった。どうにかして口止め出来ないものだろうか。

 「ではでは、そーゆーことで。ほんじゃらば!」

 謎の言葉を残し去っていく奏。集会は決定事項となってしまった。あいつの事だから一分も経たないうちに和泉へ伝えてしまう。近くにいる和志と文に会話の内容は丸聞こえだっただろうし。奏はそこまで計算していたのか? だとしたら驚きだ。

 この一日で色々失ってしまいそうな気がする。微妙な喪失感が身を蝕み、精神的疲労が重圧となって圧しかかる。誰か、俺を解き放ってくれ。

 「宗くん・・・・・・」

 「宗一、お気の毒に」

 あまりにも疲弊しきっている様子の俺に、文と和志はしばらく声をかけられなかったと後に語った。

 


この小説、午前一時に書いています。

すなわち妙にテンションの高い状態で書いているわけです。

なのでよく分からないノリがあったりしますが、

温かく、広い気持ちで受け入れてもらえたら幸いです。

意見・指摘などがありましたら感想欄の方まで

では(・ω・)ノシ


宗「9月16日の話が異常に長いな」

文「宙ちゃんが登場話だからしょうがないと思う」

宙「作者の力不足(ぼそっ)」

奏「宙っちがえぐいよ!」

宙「毒舌キャラで押していこうかな」

宗「押すな押すな」

宙「先輩が言うなら・・・・・・きゃっ☆」

文「宗くんがいつか取られるかも」

奏「ここは攻め時ですぞ、文っち」

和「最近カオスになってきたよな」

楓「意味が分からない会話するわよね、あんたら」

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