あとがき
以上で『夢と願いの学園恋歌』をいったんお終いにします。
この作品は書き始め当時僕が考えていた恋愛小説の理想像で、それこそ自分が生み出せる限りの恋愛小説の要素をつぎ込んだ作品でした。
時は流れて、成人になり、そろそろ将来のことを真剣に考えなくてはならない時期になり、ふと、自分が書いた作品を読み直そうと思いました。
一話から順にアルバムをめくるように読んでいきました。
まぁ、ひどかったです。
ひどい文章です。推敲したのかと、前後の話のつながりがおかしいところも盛り沢山。昔の自分に文句を言いたくなりました。この作品が完成すれば、きっと世の中に旋風を巻き起こすに違いないとか、一体どこからそんな自信が来るのかと。
でも、それだけではありません。
昔の自分が考えていたことや悩みが、読んでいくうちに鮮明によみがえり、「あぁ、僕は将来こんなことをしたかったんだ」とか、「そんなこと考えてたんだ」とか懐かしくて、今の自分にない何かがあって、羨ましくなりました。
ところどころ、純粋かつダイレクトなメッセージがあって精神的大ダメージを受けたのも、仕方がないといえば仕方がないのでしょう。
あと、さんざんゲームバージョンとか色々言っていましたが、結局凍結になりました。
ゲーム版だと、実は「死にかけた人々があの世とこの世の狭間で漂っている世界」に宗一たちがいて、悩みを解決することであの世へ行くか、この世に留まるかが決まる、みたいな話でした。ちょくちょく出てくる宗一の回想・思い出の欠片は、実は現世での出来事だった、みたいな。
小説版では、少々強引ではありますが、現実的な内容に収めました。
この後、宙と宗一は様々な問題・壁にぶちあたります。宙の姉である香のこと、宗一の記憶のこと、そして文の問題など山積みです。喧嘩したり、別れそうになったり、色々あるとは思いますが、きっと二人なら乗り越えてくれる、はずです。
つたない文章ではありましたが、これで『夢と願いの学園恋歌』を連載終了とします。
次回作、とはいえませんが、ここ四年間書いてきた短編を別枠で連載しているので、一読していただければ幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。