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「やっぱり体が資本! 筋肉番付が一番熱いと思う」
「秋だしたこ焼き屋がいいんじゃない?」
「秋関係ねぇじゃん。たい焼き屋が・・・・・・」
「それも関係ないわよ。無難に喫茶店がいいと思うわ」
「無難にだとぉ! そんな弱気でこの乱世を切り抜けられると思うのか。否、やはり何事も挑まなければならないのだよ。そこで俺からメイド喫茶を推薦しよう。どうだ」
「皆静かにして! 全然会議が進まないじゃない」
事は朝、前回の報告通り学園祭の出し物についてこのLHRの時間を使って話し合う事になった。皆あまり多くは案を考えて来ないと踏んでいたのだろう。飛び交う意見の波に楓は驚きの表情を見せており、飲み込まれかけていた。ぼんやりと周囲の光景を眺めながら、俺は楓と同様内心驚いていた。俺らのクラスはいざやると決まったらとことん突き進んでいくけれど、その決まるまでが長いのだ。ぶっちゃけ何でも楽しめればいいという考えの人が多い。実際、去年の学園祭は誰かの「適当にお化け屋敷でいいじゃん」との声でお化け屋敷に決定したし。無論、お化け屋敷には皆全力で取りかかったが。
今年の学園祭は何故か妙な盛り上がりを見せている。何故かを推測するのは億劫なので俺はしないが。
普段はすぐにまとまるこういった話し合いが予想以上に長引き、残り時間が段々と短くなっていた。楓の顔に焦りの色が見えてきた。話し合いが始まって二十五分。あと二十五分で出し物、役割を決めるのだから焦るのは当然とも言える。
もうそろそろまとめに入ろうとしてか、楓は思い切り教卓を叩き、場を静まらせた。
「時間が残り僅かなので、今まで出てきた意見の中から一つ、多数決で決めたいと思います。黒板に書かれたものを右端から読んでいくので、どれか一つに挙手して下さい」
楓が議決するべく第一声を発しようとした。
「ちょっと待て、楓」
だが、我がクラスを代表する変態、和志が待ったを掛けた。
「何よ。反論でもあるの? それとも新しい意見? 新しい意見はもう聞き入れないわよ」
一応変態の発言を聞き届けようと思ったのか、そう楓が返答した。和志は楓の言葉にその通りだと言わんばかりに大きく頷いた。
「お前の後ろにある黒板をよーく見てみろ」
「別におかしい所は無いと思うけど・・・・・・」
楓は怪訝な顔をしながら和志の方へ目を遣った。確かに俺が見る限り何処にも問題点は見当たらない。ただ単に出し物--喫茶店、たい焼き屋、たこ焼き屋、劇、筋肉番付といった定番物から休憩所というやる気のないものまである--の名称が書かれているだけだ。
俺達が頭上に疑問符を浮かべると、和志は失望したと目を見開き、言い放った。
「お前ら、一体何処に目が付いているんだ?」
教室の数カ所から舌打ちの音が聞こえてきた。俺はそんな心を削るような真似はしない。いや出来ないと言った方が正しいか。何せ、お前の脳味噌は何処にあるんだと、和志の背中に渾身の力を込めた拳を捻り込みたくなる衝動を懸命に押し堪えていたのだから。後で代わりに眉間でも殴っておいてやろう。
和志は首を横に幾度か振り机をバンと叩き、先を続けた。
「俺がさっき提案したメイド喫茶が無いじゃねぇかよ!」
「一回地獄に堕ちなさい。変態」
ついに耐えられなくなったのか、楓は和志に向かってキツい言葉を投げつけた。そんな言葉にも怯まず尚和志は言う。
「何とでも言え。俺はメイドを心の底から崇拝している! あの清楚で優雅な純白のフリル、大きな胸元のリボン、足の曲線美を強調させるニーソックス、全体を綺麗に纏めるカチューシャ、あの奥ゆかしさは何故生まれるのだろうか! それはメイド学会永遠の謎であり真理をグフォアッ!」
メイドに関して熱く語り出した和志に、隣に座っていた女子、七瀬 海が脇腹を力の限りを込めて殴ってくれた。ありがとう、感謝してる。顔を机に突っ伏して悶えている和志を無視し、楓は全体に忠告した。
「今回の学園祭も外部の方々が大勢来場します。なので山上学園の生徒としてきちんとした出し物にしたいと考えています。この変態のような不真面目、または学園祭の出し物として相応しくないものは却下します」
「う・・・・・・な、なら、言わせてくれ」
まだ息の根があった和志が机の下から這い上がってきた。ここまで来ると誉めちぎりたくなるな。七瀬がうわっ気持ち悪いと机を和志の反対方向へと離した。ってか周りのクラスメートが一斉に和志から距離を取った。もはや不憫どころでは済まされない。和志は身一つで最悪な処遇を受けていた。
「真面目な意見よね」
楓が問い掛けるとコクンと頷き、口を開いた。
「め・・・・・・メイドカフェ」
「それがあんたの真面目? どれだけやりたいのよ。本当にあんたにはがっかりだわ。え? えぇ、いいわよ七瀬さん。止め刺しちゃって」
グギャアッ! と和志の独特な断末魔を聞き届け、ようやく多数決に入った。しばらく和志に近付かないようにしよう。
結局出し物は喫茶店に決定し、残りの十五分で皆の分担を振り分けて終了した。LHRの終わりまで気絶していた変態は雑用係なる役割を充てられた。時間がない為休み時間を少し削って店名を決める事を伝えられ、学園祭会議は一端幕を閉じた。
和服萌えなsurteinnです。
surteinnの理想的なキャラは、
黒髪浴衣(または和服)
髪型はポニテかロング。
一番近い容姿をしてるのが渚なんですよね。
うーん、ストーリーが浮かばない。
お嬢様キャラは書きにくいです。
意見、感想がありましたら感想欄の方まで。
では(・ω・)ノシ
奏・宗・宙「「「どんまい、和志(先輩)」」」
和「ちくしょー!」
渚「喫茶店に決まって良かったです。早速準備しなければなりませんね」
奏「ナギ、絶対に遊びに来るからね」
楓「あまり来て欲しくないわ」
奏「メープル、絶対に弄びに来るからね」
楓「来るな!」