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夢と願いの学園恋歌  作者: surteinn
日常編
17/44

      (4)

長らくお待たせしました。


暫定版なので、あとで書き直すかも。

といっても地の文を追加する程度ですが。


ではどうぞ。


 宙の提案で昼食をとろうと皆に呼びかけ、パラソルの下に次々とメンバーが集まった。時間は正午過ぎ。午前中は泳いだり、走ったり、喋ったり、寝たり。また、投げ飛ばされたり、沈められたりと各々が海を満喫していた。大いに腹を空かせているに違いない。事実、呼びかけに対し賛同こそすれ、反対する者は誰一人としていなかった。

 先陣を切ってテントに向かったのは奏と宙の二人だった。

 「いや~。やっぱ海って楽しいよね。眺めるも良し、入るも良し、ってね」

 「天候にも恵まれまて本当に良かったです。それにこんなに広々と泳げるなんて、感激です」

 「ふっふっふ、宙っち。これだけで満足しちゃ女が廃るってものよ。エネルギー補給したらすぐに動くから覚悟しておいてね。死にもの狂いで遊び通すよ」

 「侮ってもらっては困りますね。わたしとて、生半可な気持ちで参加したのではありません。全力で、そう、ジョーの如く真っ白に燃え尽きるまで遊び抜いて見せます!」

 「さすがだよ。正しく、宙っちこそ、わたしの後継者に相応しいよ」

 「奏先輩・・・・・・!」

 「宙っち・・・・・・!」

 ハイテンション娘二人が熱い抱擁を交わし、友情の程を確かめ合っている。しかも器用にもカニ歩きの要領で、抱き合いながらこちらに来てる。何なんだあいつらは。相変わらずよく分からないが、ただ仲良いことだけは理解できた。

 二人の様子に呆れ果てていると、心の底から冷え上がるような声が聴覚を刺激した。背筋が凍り付く感覚。声のする方へ恐る恐る目を向けると、そこには阿修羅が降臨していた。

 「奏、あとで、覚えて、おきなさい」

 阿修羅、即ち楓である。

 「楓ちゃん。怖いよ? 今にもナイフ持って誰かに襲いかかりそう」

 「文。何かあったらよろしく頼むわ」

 「何かあってからじゃ何もかも遅いと思うよ」

 彼女たちの後ろを、楓が非常に疲れた様子で歩いており、その背中を文が支えている。多分、奏に海へ放り投げられた時にダメージを受けたのだろう。疲労の度合いを見るに、俺が見ていない間にも様々な技を食らわされたに違いない。バックドロップとかスープレックス辺りはほぼ確実に遂行されているだろう。楓の目は死に、腕をだらりと下げ、双房の髪がゆらりと揺れる。そこいらのB級ホラー映画よりも断然怖い。あの様子だと、しばらく近寄らない方が身の為だ。

 「絶対に、仕返し、してやる」

 「犯罪には走らないでね、楓ちゃん」

 ドス黒いオーラを放ちパラソルの立つ拠点へと向かう楓の姿は、さながら復讐鬼。見る者のみならず、近辺に居る人間でさえ失神させるだろう。楓は新しい能力を開発してしまったようだ。

 どれだけ奏に弄ばれたのか、これからどれだけ俺が弄ばれるのだろうか。楓を眺めているとふとそんな考えが過った。想像は膨らみありとあらゆる光景が目に浮かんで来る。背筋に薄ら寒いものが駆けたのは、きっと気のせいではない。


 昼食は言うまでもなく、各自が用意した弁当である。なぜ”言うまでもなく”なのか。それは木ノ崎海岸では、無料で海水浴として利用できる代わりに、海の家と呼ばれる類の店が一件もないからだ。実際、シーズン中であれば出店が立ち並ぶのだが、季節外れたのこの時期にわざわざ出店しているところは一切ない。もしどうしても食べに行きたいのであれば階段をひたすら上り、道路を挟んだ向こう側にある飲食店へと足を運ばなくてはならない。奏の「時間がもったいないし、皆で弁当食べた方が楽しい」という案に対して反対意見が出ずに可決されたのも、当然の流れと言えよう。

 テントに全員が集まったところで、奏は音頭を取るべく勢いよく立ち上がった。

 「よし! 皆揃ったね。実はわたし、さっき良い事思いついたんだけど、聞いてくれない?」

 危険な香りが海辺周辺に漂った。

 「却下」

 「宗やん。まだ何も言ってないよ」

 「お前が言う良い事は禄な物じゃないからな」

 「わたしはいつでも真っ当です」

 「どの口が言う」

 「この口」

 今すぐ縫ってやりたい。

 「あんたまさか、また周りを巻き込む気じゃないでしょうね」

 「ふっふっふ。巻き込む気満々! メープルこそ、まさかわたしが大人しく何の面白味もないランチタイムにするとでも?」

 「大人になりなさい。せめて慎みを持ちなさい」

 「そいつあ無理な相談でっせ」

 「あんたは一回絞められた方がいいかもしれないわね」

 「暴力反対」

 「暴力させる原因を作る方が悪いのよ」

 尤もである。

 「でも話は聞いてもいいんじゃない? もしかしたらメープルもやりたいって思うような企画かもしれないし」

 「九割九分九厘の確率であり得ないわよ」

 「わたしは奇跡を起こしてみせる」

 奇跡も安くなったものだ。

 「ではでは。発表するよ。宙っち」

 「はい、先輩」

 後ろから宙が大きな白い板を奏に手渡した。板を真っ二つに裂くかのように一本の棒が伸びており、察するに、いわゆるプラカードが青空の下に現れた。

 「何処からそのプラカードを持ってきたんだよ」

 「標準装備です」

 「マジか」

 用意周到だな。まさか似たような事態に対応するために常日頃から何かしら準備しているのだろうか。これが本当のプロ精神か。まあ、憧れを抱く類のプロではないけれど。

 じゃじゃーん、と口で効果音を付け、奏は得意げな顔でプラカードを掲げた。白地の上に踊る黒い文字。

 『ワクワクドキドキッ! 海辺でうふふレース』

 しっかりと大きく、そう書かれていた。


ポメラを使っての執筆。

超順調だったのですが、突然のデータ消滅にテンションガタ下がり。

立ち直るのに長く掛かりました。

すみません(- -;)


真冬に海水浴の話を書くのって、ちょっと違和感ありますよね。



宗「作者、がんばれ」

宙「早く書き進めてくださいよ。わたしと先輩のハネムーンまであと何年かけるつもりですか?」

奏「新作を練ってる暇があったら更新しようよ」

楓「あんたら案外鬼畜よね」


ネタが浮かばない。

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