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夢と願いの学園恋歌  作者: surteinn
日常編
10/44

9月18日(1)

大幅改訂しました。

内容がかなり変更されています。

 白い光が目に飛び込んでくる。

 眩しい。

 まず最初に抱いた感想はそれだった。まだ働いていない脳に喝を入れ、時計を確認する。時刻は午前六時四十五分。もうそろそろ目覚ましが鳴ろうかという時間であった。一瞬このまま起きるか、はたまた二度寝をするか。どちらの選択肢を取るか迷った。しかし、この問題はすぐに片づいた。

 「寝るか」

 布団にもう一度くるまると、静かに眠りに落ちていった。


 そして俺は遅刻した。

 

 放課後、俺は久方ぶりに図書館へと足を運ぶことになった。普段、自分から思い立って訪れる事など一切なく、正直館内に入るのは調べ学習、四ヵ月以来となる。校内で俺との関係性が薄い場所ランキングでは堂々の三位に入賞した図書館になぜ赴いているのかと言えば、話は今朝に遡る。

 今朝全力疾走、尋常じゃない量流れた冷や汗、長らく使うことのなかったショートカットコースをフルで動員したにもかかわらず、結局遅刻した俺は、あの影の薄い中津先生に鬼の形相で叱られた。その後良い笑顔で中津は罰として漢文を現代語訳に直すという課題を贈った。嬉しくないプレゼントに思わず涙を流しそうになった。もし言い訳をさせて貰うことを許されたなら、「まさか目覚ましをかけ忘れた上に、文が委員会の活動で早く登校していたなんて夢にも思わなかった」と熱弁を奮っていただろう。

 運が悪いというか、自分が非常にだらしない人間であったと改めて認識させられた朝だった。というか色々あってテンションが異常だし、思考回路があらぬ方向に向かっていた。正常な判断? 下せそうにない。

 奏の精神攻撃に耐え切り学園内の敷地を歩いていると、白いコンクリートの大きな建物が見えてきた。これが我が学園の三大建築物の一つ、山上図書館だ。外見はとてもシンプルで、五階建てという並外れた高さ、一階につき千六百人は収容できるだろう広さ、そして何よりその膨大な本の量。ここに勝る図書館は日本国内には五本指に収まる程度しかないはずだ。

 今日俺がここにやってきた理由は、漢文の訳が載っている本を見つけ、丸写しする、効率的且つ正答率百パーセントの素晴らしき計画の為だ。この完璧な計画を実行すべく図書館の中へ悠々と入った。

 

 「いつ見てもすごいな」

 本の森という表現がぴったりな図書館の中には、何回来ても驚くくらいの書籍が並んでいた。見付けるのに時間がかかるだろうが、楽するため、いや、計画の為なら努力は惜しまない覚悟だ。入り口近くに置いてあるコンピュータを用いて場所を検索する。

 「孫子は、と」

 おおよそ一分待つと検索結果が出る。どうやら二階の奥にあるみたいだ。結果をプリントアウトし手に取ると、一冊の本を求め森の中を進んで行った。

 

 十数分後、二階へ行き、目的の本を手に入れた俺はほくほくとした表情で元来た道を辿っていた。視界の端に知り合いが映った。楓だった。

 「よっ、楓」

 声を掛けると楓は会談の半ば程で立ち止まりこちらへ振り向いた。会談スペースで勉強していたのだろうか。胸に抱え込むように二つ大き目のフォルダを持っていた。フォルダの背には「委員会」の文字が見えたので、HR委員会の活動をだろうと憶測を立てた。

 ここの図書館は読書をしたり、調べ物をしたりする以外にも使われる事が多い。今俺が居る地点、階段の上から見て左側、上ってくるときの右手にある通路をしばらく道なりに進むと、楕円形のテーブルが幾つも並ぶちょっとした会談スペースが現れる。学校にある会議室が何かの用事で使われているとき、代わりにここか、三階の小部屋を使用される事がかなりの頻度であり、小部屋が十二部屋用意されている。ただ二階は、三階のものより広い代わりに、声が響きやすく、あまり大きな声で話すことができないため、委員会などの雑用、緊急集会、自習くらいにしか行われない。恐らくそこを使用していたのだろう。

 「宗一? 珍しいわね。あんたが図書館に来るなんて。何か探し物でもあるの?」

 少し目を大きく開き楓は訊ねてきた。

 「用事はもう済んだ。お前も帰るところか」

 「えぇ、そうよ。雑用を沢山押し付けられてね。迷惑だわ」

 そう言いながらも楓の顔は全く嫌そうではなく、むしろ遣り甲斐があるとでかでかと綺麗な肌に書いてあった。

 「あ」

 「どうした」

 いきなり素っ頓狂な声を出した楓はいい事思いついたとにやりと笑い、何の脈絡もなく「道草して近くのカフェでケーキ食べない?」と提案してきた。

 「どういう風の吹き回しだよ。もしかして奢らせる気か」

 「そんな惨い真似は今はしないわ」

 「する時が来るのか」

 「で、どうするの。行く? 行かない?」

 「別にいいけど」

 カフェの同行に了承すると、楓は目を輝かせ突然俺の手を掴むと、階段を勢いよく下りていく。急に下方向に引っ張られ踏鞴たたらを踏みながらも必死について行く。

 「お前、館内を走るな! 引っ張るな!」

 「委員長みたいな事を言わないでよ。足がついてるんだから走らなきゃ損よ」

 「おい、HR委員長が何を言う」

 そのまま館外へ、校外へと俺は妙な体勢のまま連れ去られた。その間大勢の人から奇異の視線に晒された事は言うまでもない。

すみません。不定期更新となります。

春夏冬の休みくらいしかPC触れられないので。

ポメラ買うかどうか検討中。

完結は必ずします。いつになるかは分かりませんが。

変なあとがきになりましたがこれで。

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