裏切られた令嬢
王都ルミナス。
その貴族街の外れに、小さな屋敷があった。
そこに住んでいたのは――
エリス・フォン・ルヴェール。
彼女は伯爵家の長女でありながら、社交界では「地味で役立たず」と陰で呼ばれていた。
理由は簡単だった。
・魔力が弱い
・派手な才能がない
・口数が少ない
・自己主張しない
そして何より――
婚約者に捨てられた女だった。
⸻
「エリス、君との婚約は破棄する」
そう言ったのは、王城の庭園だった。
周囲には貴族たちが集まり、噂話を楽しむように遠巻きに見ている。
「……どうしてですか?」
絞り出した声に、青年は冷たく笑った。
「君には価値がない。
僕にはもっとふさわしい相手ができた」
彼の腕には、金髪の美しい令嬢が寄り添っていた。
「エリス様、ごめんなさい。でも…愛は止められませんの」
そう言いながら、勝ち誇ったような微笑み。
その日から、エリスは社交界の笑いものになった。
「婚約破棄された無能令嬢」
「捨てられた女」
そんな噂が、王都中に広まった。
⸻
屋敷に戻ったエリスは、ひとりで荷物をまとめていた。
「……ここにも、居場所はないわね」
父は無関心。
継母は冷淡。
使用人たちも距離を取る。
誰も、エリスの味方ではなかった。
だから彼女は決めた。
「……辺境へ行こう」
王都から遠く離れた、魔物も多いと噂される土地。
そこにある、母の遺した小さな領地へ。
それが、彼女の新しい人生の始まりだった。
◆ エリス・フォン・ルヴェール
•主人公
•伯爵家の長女
•婚約破棄され、辺境領へ送られた
•魔力は弱いが「持続型・繊細な魔法」が得意
◆ レオン・アルバート
•元婚約者
•王都の有力貴族の息子
•エリスを「役立たず」と捨てた
◆ セシリア・ローゼン
•レオンの新しい恋人
•金髪で社交的な令嬢
•エリスを見下している




