Chapter1 降って来た天使
狩野敬太は、寝ぼけ眼を擦りながら大きく欠伸をした。午前七時三十分。紺色のスーツに身を包み、足に馴染んだ革靴を履いて、少し古びたアパートの扉を開ける。いつもならお隣さんと鉢合わせるのだが、今日はいないようだった。
築八十年のボロアパートは、二階建ての簡素な造りをしている。大家曰く耐震はばっちりとのことだが、おそらく震度六でも来たら潰れるだろう。最寄り駅から渋谷駅まで三十分の好立地ながら、家賃はなんと三万五千円というのだから、お察しである。
狩野がそんな危ない場所に住んでいるのは、何も給与が安いとかそういうことではない。ただ単純に、このアパートが好きなのである。余談だが、狩野はITコンサルタントをしていて、これでも年収四桁の高給取りである。
駅までの道はいかにも住宅地らしく、コンビニくらいしか店は無い。駅前にまで出れば少しはあるけれど、それでもやはり都会らしさは感じられない。そういうところも、狩野は隙好きだった。
「今日は定時帰りしてやる」
叶うことの無い決意を誰に聞かせるともなく口にして、狩野がコンクリート塀に区切られた曲がり角を曲がった時。
上空から暗い影が差したかと思うと、何かが落ちて来る気配を感じた。
狩野はほとんど無意識に一歩引いてその陰の下から出ると、どさりという思い音と共に目の前に何かが降ってきた。
それが人の形をした何かだと分かるまでに、たっぷり六十秒かかった。
「お、おい、大丈夫か?」
慌てて声を掛けたのは、親切心からではない。まるで狩野が突き飛ばしたように見える構図が気まずかったからである。
うつ伏せに倒れている少女――白いワンピースからそう判断した――を抱き起すと、金色の髪がはらりと顔から落ちる。精巧に造られた彫刻のような麗しい目鼻立ちの少女は眉間に皺を寄せて、ゆっくりと目を開いた。
大きな綺麗な空色の瞳は、何かを確認するようにきょろきょろと動き、やがて狩野へと動きを止める。
そしてまるでプレゼントでも貰った子供かのように、目を大きく見開いた。
「見つけた!」
「はぁ? わっ、ちょっ、抱きつくな!」
少女はがばりと起き上がり、狩野へぎゅうと抱き付く。その力強さは、男の狩野が引っぺがそうとしても離れないほどだった。
「いやお前、だれだよ? たぶん人違いだと思うが……」
「人違いなんかじゃないよ! 僕はずっと君を探していたんだから!!」
「一体どういう意味……と、とりあえず離れてくれ!」
狩野が半ば叫ぶように言うと、少女――ではないかもしれない――は仕方なさそうに身を離した。
見た目からすると十代半ばの、空から降ってきた少女。怪しさしかない。このまま彼女に付き合ってあげる義理は無いが、かといって放置してこの場を去るのも大人の対応としてどうなのだろうか。何らかの犯罪に巻き込まれていないとは言い切れないし、逆にこれから犯罪に巻き込まれる可能性だってある。
だが、時刻は八時を回ろうとしている。このまま彼女と話をしていては、会社を遅刻してしまいかねない。
コアタイムの無いフレックス制度が導入されて久しいが、狩野は九時出社を守る企業戦士だった。長年九時出社でやってきたので今更ルーティーンを変えられないし、変えるつもりも無かったからである。そんなわけで別に九時に出社しなくても問題ないのだが、狩野にとっては面白くないことだった。
さてどうしたものかと逡巡し、狩野は一つ溜息を吐いて携帯を取り出した。
「――ああ、もしもし、美作? 狩野だけど。悪いけど、今日はリモートするわ。え? いや風邪じゃないよ……、ぎっくり腰じゃないって。俺はまだそんな歳じゃないっつーの。ともかく、そういうわけだから。なんか急ぎがあれば電話してくれ。そんじゃ」
狩野は切ボタンを押すと、胸ポケットへと携帯を仕舞う。
仕事を休むのも嫌だし、かといってこのまま九時開始できないのも嫌だった。となれば、在宅勤務をしてしまおうというわけである。幸い自由度の高い会社で、やることをやってさえいれば問題は無い。取引先との会議はそもそもリモートが多いので、問題が無かった。IT関連の仕事をしていて最も喜ばしいことと言えば、こうやって簡単にリモートワークが出来ることである。
「ねえ、それなに? 誰かと話してたみたいだけど」
少女が興味津々に尋ねてきた。狩野はそれに答えることなく、踵を返す。
「お前、俺に何か用があるんだろ? それなら家へ行くぞ。こんなところで話してても仕方ない」
「え? あ、うん、わかった」
少女は頷いて、狩野の後に続く。その様子を、狩野は半ば呆れながら眺めた。
二つ返事で男の家に付いてくるとは無防備すぎる。彼女は自分の容姿の良さを自覚していないのだろうか。いくら治安の良い日本とはいえども、変質者というのはそこらにいる。あるいは何かもっと酷い犯罪に巻き込まれる可能性だってあるのだ。
しかしそんな説教じみた言葉をわざわざ掛けてやる気もないので、狩野はスタスタと家路に就いた。
ボロアパートの二階に上がると、お隣さんがひょっこりと顔を出していた。ラフな格好なので、今日は休みなのだろう。
「あれ、狩野さん、何か忘れものですか?」
「あーいや、リモートに切り替えようと思って。瓜谷さんは休みですか?」
「ええ、たまには平日休みをと思って。……あれ、その子は?」
茶色の瞳を後ろの少女に向けながら、瓜谷は不思議そうに首を捻る。
狩野は誤魔化すような笑みを浮かべて頬を掻いた。
「あー、遠い親戚の子なんですけど、いきなり来ちゃって。さっきばったり会ったので、連れて来たんですよ」
「ああ、なるほど。それでリモートに?」
「そんなところです」
「僕も突然来る知人がいるんで、お気持ちお察しします。あ、僕明日まで居ないので、もし回覧板とか来たら先に受け取っちゃってください」
「はーい。それじゃあ」
「それじゃ」
苦しい言い訳に納得したのか、瓜谷はぺこりと頭を下げて自室へと引っ込んだ。警察に通報されないことを祈るばかりだ。
狩野の部屋は角部屋で、瓜谷がいないということは、多少賑やかになっても大丈夫そうである。
「ほら、入れ」
扉を開けて促せば、少女は大人しく中に入った。靴を脱ぐように指示しようとして、彼女が裸足であることに気付く。
「お前、靴は?」
「靴? ああ、君が足に着けているやつか。ないよ」
「無い? じゃあずっと裸足で来たのか? 怪我は?」
「心配ない。僕は地に足を付けないから、必要ないんだ」
ほら、と少女が足を見せて来る。
まるで夢見がちなセリフが単なる比喩表現ではないことは、彼女の足が物語っていた。汚れていないのだ。これっぽっちも。まるで生まれたての赤子のように綺麗だった。
何から何まで不思議な少女が人ではない何かなのだろうことを、狩野はうっすらと理解していた。そして、それほど驚いていない自分に内心で驚きながら、部屋の奥へと促す。
そもそも高いマンションがあるわけでもない場所で、空から降ってきた時点で、彼女が人間であると言い切るのは難しいのだ。だからこそ狩野は彼女を放置せず連れてきたのである。
「それで? お前?」
「僕はラジエル。この世のすべてを識る者」
「……えーっと、分かりやすく言ってもらえるか?」
「つまりは、僕は天使だよ。天の遣い。地位は座。これでも天使長をしているのさ。でも、君を探して降りて来たんだ」
少女は誇らしげにそう言った。
天使、天使、天使……。狩野の知っている天使と言えば、あの世界的な宗教に登場する、羽根の生えたアレだ。彼女の幼い顔だちは、確かに西洋絵画の天使を彷彿とさせる。しかし、特徴ともいえる羽根は見当たらない。
狩野は半ば興味本位で、彼女に聞いた。
「天使だというなら、羽根は? しまってるのか?」
「ん? しまってないけど……もしかして、見えないの?」
「ああ、まったく」
少女は訝し気に眉を寄せる。まるで不可解な難問に当たったかのような表情は幼顔に似合わず、どこか大人びている。
そして何もない空間から、本を取り出した。
背表紙に『セファー・ラジエル』と書かれた分厚い本を軽々しく片手に持ち、ぺらぺらと捲る。
いったいどんな本なのかは分からないが、ともかく彼女が何か調べ物を始めたようだったので、狩野はリモートワークをするべくパソコンを取り出した。起動して、チャットソフトを開く。これで何かあってもすぐに連絡が来るだろう。
就業中は欠かせないコーヒーを作るためにポットでお湯を沸かしたところで、狩野は違和感を覚え、彼女の読む本を見た。
『セファー・ラジエル』と書かれている。何故、自分はそう思ったのだろうか。背表紙に刻まれた文字は見たことが無く、おそらく地球上に存在するものでは無かった。それに、まるで見た瞬間から消えていくかのように認識することが出来ない。
それでも狩野はその文字を、読むことが出来たのだ。
気味が悪くなり、狩野は背筋に冷たいものが走るのを感じた。
今朝から、なんだかおかしい。そもそも狩野は現実主義とまではいかないが幽霊の類を信じてはいないし、天使も神話上の存在だと思っている。今までの狩野ならば、いくら人間とは思えないような存在でも、彼女が天使であることをこんなにすんなりと受け入れるとは思えなかった。
それに、彼女を部屋へ上げていることも違和感がある。普通は身元不明の子供など交番に届ければ良いだけで、わざわざ連れ帰るようなことはしない。誘拐だと勘違いされるのも嫌だし、何か面倒ごとに巻き込まれるのも嫌だからだ。
それなのに、現実はどうだ。少女を連れ帰り、彼女の言葉を素直に信じ、しかもそれに違和感を覚えたのはつい先ほど。不思議な文字を認識できることも、理解しがたかった。
事ここに至っても彼女を追いだす気も湧かず、ともかく彼女から話を聞こうとしている。
ラジエルと名乗る少女の特殊な力がそうさせているのだろうか。まるで自分が自分ではないかのような、自分の中に眠る誰かが少女を受け入れているような感覚。そのちぐはぐさが不気味だ。
「おい小娘」
「小娘じゃない、ラジエルだ! それに僕は人間と違って性別は無いよ」
少女――ではないらしい――が手を止めて、ふくれっ面で言った。くるくると表情が変わる奴だ。
狩野は面倒くさいと思いながらも、改めて声を掛ける。
「……ラジエル。俺を探してたって言ってたが、どういう意味だ?」
「そのままだよ。君が**された日からずっと探してて」
「え? なんだって?」
「だから君が**された日から」
「まて、分からない、どうなってるんだ?」
ラジエルが何か言葉を発しているのは分かる。けれど、その言葉の意味を認識できなかった。しかも特定の言葉だけ、まるで理解するのが烏滸がましいとでも言っているかのように。
狩野の様子にラジエルは何か思い当たったのか、「もしかして」と呟いた。
「ああ、なるほど。そうか、だから僕の羽根も見えないんだ」
「ちょっと待て、何を納得してるのか分からないが、いろいろと説明してくれ。どうなってる?」
「つまり君は、関わりを切られているんだ。力を封じられていると言っても良いかもしれない」
「切られている? どこと」
「天界とのさ」
どういうことか分からない。言っている言葉が認識できない訳ではなく、彼女が何を言いたいのか分からないということだ。説明が下手な人でももっと理解させようと言葉を言ってくれるだろう。
「状況を整理させてくれ。つまり、俺は天界とやらとの関わりを切られているから、お前の言葉を理解できないし羽根も見えないと?」
「そういうこと! なるほど、**されるとこうなるんだね。僕も知らないことがあるなんてなぁ」
「で? その『セファー・ラジエル』とやらには解決法は載ってるのか?」
「え、この文字は読めるの?」
「読めるというか、分かるというか……」
「面白い! 天使文字は認識できるんだ。そこはやっぱり、元は****だからなのかな」
しみじみと興味深げなラジエルを横目に、もはや理解することを放棄した狩野はパソコンに目を向けた。仕事の時間だ。
今日は幸いにも忙しい案件は無く、会議も入っていないので、比較的緩く出来そうである。出社していたらこれ幸いと仕事が降ってくるが、リモートワークならばその心配も無いだろう。
「それで? 俺を探してた理由は?」
「そうだった。ウリエルが君を探していて、僕はその御使いだよ。ま、必要なかったみたいだけど」
「ウリエルは聞いたことがあるな。超偉い天使様だろ? それが、なぜ」
「僕はすべてを識る天使だからね、君が**された理由も知っている。それで、不当だってことで直訴したんだ。そしたら裁判を開いてくれるって言うから、出廷してもらおうと思って」
「あー、また話が読めなくなった。俺の、何の裁判だって?」
「だから君が、****に**された件でだよ。……もしかして、分からない?」
「お察しの通り」
「そっかぁ……」
ラジエルががっくりと項垂れた。ラジエルからすれば普通に話しているだけだから、おそらく何がどこまで伝わるのか、あるいは伝わらないのかが判断付かないのだろう。
狩野が理解したことと言えば、ともかく狩野に関する何かで裁判が開かれるらしいことだけだ。しかし罪を犯した記憶など無い。いや、神から裁きを受けるようなことをしていないかと聞かれれば、正直なところ自信は無いが。何せ、狩野はどこまでも普通の人間である。別に徳高く生きているわけではないから、嘘を吐くこともあるし、虫が居れば殺すこともあった。それが神の怒りに触れるとすれば、裁判になるのも分からないでもない。
ただ話の内容から察するに、何か不当な罰を受けたということらしいから、今までの罪はすでに裁かれているようだ。実感は無いけれど。
「ともかく、これ以上話しても埒が明かないな。解決する方法は無いのか?」
「それが分かれば苦労しないよ。本にも載ってないんだ。そもそもこの本は僕が見聞きして記したものだから、僕が知らないなら載ってるわけがないし」
「なるほど。それ、俺が読んでもいいのか?」
「うーん、ダメってことは無いけど、今の君は天界との縁が切れてるから読めないと思うよ。これは許された人しか読めないから」
「セキュリティばっちりってことか。便利だなぁ。そのシステムを導入出来たら、もっと世のなか便利になるのに。人間の俺たちは、日々脆弱性との戦いだってのにさ」
ITというのは、まさにセキュリティとの戦いだ。ハッキングなどもそうだが、ヒューマンエラーによる情報漏洩も後を絶たない。どれほど社員教育を徹底したところで、誰か一人でも緩い者が居ればそこから決壊する、いわばダムのようなものなのだ。
「君は人間じゃ……まあいいや。君の居場所も分かったし、ちょっと解決策無いか調べて来るよ」
「いきなり来たかと思えばもう行くのか。忙しい奴だな」
「想定外だったからね。あ、そうだ。今日はウリエルが居ないって言ってたし、変な人が来ても開けちゃだめだよ」
「は? ウリエル? 俺を探してる?」
「うん、そう。お隣さん。僕に探すように言ったのに、自分はちゃっかり見つけて隣に住んでるんだもん。もっと早く教えてほしかったな」
「へぇ、お隣さん……え、お隣さん?」
「そうだよ。瓜谷って名前も短絡的だよね。あーあ、僕の頑張りはなんだったんだろう」
ラジエルが口を尖らせながら不満をたらたらと口にしている。なるほど、随分と苦労して探してくれたらしかった。
しかしそれよりも。狩野は茶色の髪と瞳を持つお隣さんを思い浮かべる。
まさか彼が、天使だったとは。すっかり見慣れてしまって気付かなかったが、確かに西洋人顔の端正な顔立ちをしている。身長も狩野より頭一つ分は高いし、女性にモテそうだが、彼が誰かと付き合っている様子を見たことは無い。てっきり女性に興味がないのかと思っていたが、天使ならばそもそも人間など対象外なのかもしれない。そもそも天使と言えば金髪のイメージだったけれど、考えてみればそういう決まりも無いのだろう。
ウリエルだから、瓜谷。なるほど、単純で分かりやすいわけだ。引っ越してきたのが五年ほど前だったが、その頃から彼は狩野が『ラジエルが直談判してきた相手』だと気付いていたのだろうか。
「変な人が来ても開けちゃいけないって、どういうことだ?」
「君が天界と縁が切れていたから、天使も悪魔も君を辿ることは出来なかった。ウリエルは最高位の天使だから、君と天界との縁を切ったままでも接触できたんだと思う。でも、僕はそこまでの力は無いんだ」
「つまり?」
「ごめん! 僕のせいで、たぶん天使からも悪魔からも居場所がバレるようになりました!」
「……で?」
「君はたぶん知らないけど、悪魔にとっては恰好の獲物なんだよ。君を殺せば、とてつもない力を手にすることが出来る。しかも、君は無防備な状態なわけで」
「……悪魔が俺の命を狙ってくるから気を付けろってこと?」
「そういうこと!」
明るく返事をするラジエルに、狩野は出そうになる手をぐっと抑えた。このトラブルメーカーも、悪意があったわけではない。いや、だからこそ傍迷惑とも言えるけれど。
ラジエルは申し訳なさそうな顔をしつつ、さらにつづけた。
「それと、命を狙ってくるのは悪魔だけじゃないんだ。君は****のせいで、天使からも狙われてる可能性がある。ウリエルが居れば天使にも悪魔にも牽制になるから、近付いて来ないと思うんだけど……」
「瓜谷さんは明日までいないな」
なんというタイミングだろう。今思えば瓜谷はラジエルに気付いていたようだし、まさか意図的に離れたのか。いや、今朝の時点で休日は確定していたわけだし、さすがにそんな悪意ではないと思いたい。彼が引っ越してきてから築いてきた良好な関係を信じたい。
若干の人間不信に陥りそうになりながら、ラジエルの言葉に耳を傾ける。
「この玄関は、いわば結界なんだ。君が招き入れた人以外は入ってこれない」
「だから、開けるなってことか」
「そう。この国は不思議だよ。特別なルールがあるみたいだ。神との関わり方が、僕らの国とは違うからだと思う」
それはそうだろう。西洋と日本では宗教も神も異なる。そもそも彼らの宗教は一神教だと思っていたけれど、他国の宗教観をあっさりと受けれられるものなのか。なんとも不思議だが、神の界隈にもいろいろあるということだろう。
ともかく狩野は身を守る術を持っていないので、ラジエルの言うことを大人しく聞くしかなさそうだった。リモートワークにしたのは正解だ。
「それじゃあ、僕は行ってくる。そんなに遅くならないと思うけど……気を付けて」
「おー」
狩野はやる気のない返事で窓から飛び立った彼女を見送る。
なるほど、羽根は見えないけれど、たしかにあるのだろう。ふわふわと宙を飛んでいた。ワンピースの中が見えるのではないかと心配だったが、見ようとしても見れない仕様になっているらしい。あれも神力のなせる業だろうか。
相変わらずあっさりと受け入れている自分に、すっかり違和感は無くなっていた。どうにも自分らしい振る舞いが出来ない相手のようなので、もうそういうものだと受け入れた節もある。
なんにしても狩野一人ではどうにかできる問題ではないようだし、天使やら悪魔やらに居場所が知られるようになった件についてもどうにかして貰わなければならないので、しばらくは受け入れていくしかなさそうだ。
焦ったところで仕方がないので、狩野はひとまず業務に専念することにした。




