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今ごろになって異世界に転生した話  作者: 大沙かんな
#2-5 孤児院を改善しよう

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64.報告と孤児院の修理

 夕方の早い時間に町に戻って来られたので、俺たちはまず宿を押さえてから、その足で探索者協会に報告に行くことになった。


 一階のオーバさんに納品受付したあと、前回と同じく二階に上がって、ゲンコツ支部長との面談という流れだ。


 今回の狩りは本当に大猟に終わった上、盗賊たちからも追加で手に入れたので、孤児院に持って行く分はもちろんのこと、俺たちが消費した分やハヤトたちの芋代に充当する分を除いても、かなりの分量を探索者協会に納品している。


 もちろん肉だけでなく、毛皮なども大量に確保できているので、孤児院向けの素材に回す分を差し引いても、今回の狩りの売り上げは上々だ。


 そしてそこに盗賊狩りの報酬が加わる。いや、加わるというと言い方がおかしい。彼らの預金のほとんどが俺たちの取り分になるので、そちらの方がはるかに巨額なのだ。


「この金額はさすがに、あまりにも貰いすぎです。いくら孤児院への寄付だといっても、常識を疑われますよ……。」


 盗賊討伐報酬のあまりの金額の多さにウテナが拒否反応を起こしたが、すかさずハヤトが救いの手を差し伸べる。


「ああ、討伐報酬はタカシに寄付すれば問題ないぞ。」

「そうね、今回は最初からそうするつもりだったし。」

「私とマヤも主様に寄付ですよ。」

「うん、良い解決方法。」


 前回同様、みんなが討伐報酬を諦めるのは予想していた。それでも盗賊たちの手持ちの現金だってかなりあったので、そこから孤児院へ二割を寄付、その上で七人で頭割りをしても、十分な収入になるのは間違いない。


 今回は実地研修の時とは違い、探索者ではない盗賊もかなりいた。そいつらはもちろん協会に貯金などはなく、現金をそのまま魔法の袋で持ち歩いていたので、現金だって前回の討伐報酬を越える金額になっているのだ。


「まあ、なんとなくだけど、こうなる予感はしてた。」


 前回の前例があるし、今回も寄付を断ることはできないので、受け入れるしかないよね。その分、みんなが快適に狩りが出来るように、いろいろと頑張ればいいかな。


 頑張るのは主に精霊さん二人の仕事になるけどさ。



「おい、賢者。そろそろいいか? いくつか確認しておくことがあるんだが。」


 俺たちがある程度落ち着いたところで、ゲンコツ支部長から話があった。


「まず一つ目、お前らちょっと前に森に穴を空けたよな? そこが蟻地獄みたいなすり鉢状の地形になっていてな、近づくと飲み込まれる危険地帯になっているようだ。」


 俺たちが穴を空けたんじゃなくて、赤い三角帽に襲われて、穴が空いたっていうのが公式見解だったと思うぞ。


「お前らに保証しろとか、どうこうって話じゃないが、危険地帯になっているから近づかないようにしろ。いや、はっきり言うぞ。お前らは接近禁止だ。これ以上状況を悪化させるわけにはいかないからな。」


 それって、俺たちが犯人だって言ってるのも同じじゃないか。言ってないけど、確かにあれは精霊さんたちの魔法が少し関係しているというか、いやかなり、ほとんどそうかも知れないけど。


「二つ目は、ゴミ姓を名乗る傭兵の集団が、大量に探索者協会に登録しにきた。この件について、お前ら何か知らないか?」

「いや、俺たちは知らないというか、関係ないというか……。」


 この話を聞いて、ハヤトはあからさまにニヤニヤしているし、サキなんか神妙な顔をして聞いてるふりをしているが、肩が震えているから笑っているのがモロバレだぞ。


「まあ、多分関係してるんだろうけど、言わないなら言わなくてもいい。同じゴミを名乗っているのにバラバラで来るとか、ちょっとおかしな連中だが、お前らのせいで探索者が減っている状況だしな、実地研修は免除してある。もし狩場で出会っても、あまり()めるようなことはするなよ?」


 そいつらは俺の命令を何でも聞くので、揉め事になることはないだろうし、ここは素直に頷いておくことにしよう。


「三つ目は、お前らが持ち込んできた盗賊の犠牲者についてだ。銅札の名前を見ると、お前らより少し前に探索者になった新人たちばかりだった。お前らが狩られることはまずないと思うが、それでも新人は新人だ。これからも気を付けて、できれば探索者はあまり狩らないようにしてくれ。」


 やっぱり犠牲者は新人探索者だったか……。なんとも(むご)い話だ。


「何を言われても、俺は盗賊狩りはやめないよ? もしも止めたいなら、俺たちじゃなく、盗賊落ちする奴らの方を止めて欲しい。」

「そうだな。考えてからシバいて殺す。これが正しいって教わったしな。」


「新人探索者がおもちゃにされて殺されてるんだもんね。盗賊なんて狩らなきゃうそでしょ。」

「盗賊の討伐は、女神様だって奨励されていますよ。」


「もしも主様が盗賊を倒していなければ、私とマヤは今頃どうなっていたのかわかりません。」

「盗賊は許しちゃ駄目。」


「ああ、もうわかった、盗賊を狩るのを止めろって話じゃない、ただ少しお手柔らかに頼むってだけだ。」


 支部長のオッサンは何かブツブツと言っているが、そこはどうしても引けないところだ。


「それじゃ最後に、タカシ、ホムラ、マヤの三人は、貢献ポイントがたまったんで中級に昇格だ。そこで試験を受けてもらう。」

「俺たち三人だけで試験を受けるってこと?」


「いや、個人だけでなく、お前らのグループも初級から中級に上がることになるから、他のメンバーも同行してかまわない。同行した奴は中級に上がる時の試験は免除になるから、一緒に受けることを推奨するぞ。」


 知らなかったけど、探索者個人だけじゃなく、グループにも初級とか中級っていうのがあるのか。


 みんなの顔を見まわすと、みんな知ってたような顔をしている。でも本当に知ってたかどうかは疑わしいところだ。特にサキ、俺には分かる。お前は今知っただろ?


「そうだな、試験の詳細はミハルに聞け。それと試験までにはグループに名前をつけておくように。以上で話は終わりだ。」



 支部長の話の後で受付のミハルさんに試験の話を聞いてみた。


「昇格試験ですね。これから準備に入りますので、二日後か三日後くらいにもう一度来ていただけないでしょうか。」


 ついさっき決まったばっかりみたいだし、そりゃ準備が必要なのも当然かな。


「探索者の主な仕事は、妖獣狩り、薬草などの採集、遺跡や洞窟の探索、それと隊商の護衛や要人警護の四つがあります。試験はこのうち探索か護衛の依頼で行われます。


 みなさんの場合、遺跡探索は一応経験がありますし、盗賊の討伐は豊富ですが、護衛の経験はありませんよね。ですから、できれば護衛依頼、それが無い場合は探索依頼を割り振る必要があるんですよ。」


 そういうことか。それだともしも丁度いい依頼が見つからなければ、試験はすぐに始まらないかもしれないってことだね。


 俺たちは受付嬢のミハルさんの言葉に承知して、その日は素直に帰ることになった。


 それにしても……まさか試験なんてことになるとは思わなかったから、宿を十日も押えちゃったんだよね。ちょっと失敗したかなぁ。



 翌日は当然、みんなで孤児院訪問、お金や妖獣肉の寄付はもちろんのこと、建物の修理や衣服の作成を行うのが主な目的だ。


 シロを先頭にして、俺とウテナ以外のメンバーたちは、孤児院に到着するやいなや、子供たちの方に合流して遊び始めた。


 こいつら、遊んであげてるんだと思っていたけど、もしかしたら自分が遊びたいんじゃないのか? そう感じるぐらいには、遊ぶ気満々って感じだ。


 今日はサチウス院長は留守だったので、俺は孤児院で働く別の神官さんの所に行って用件を伝え、まずは食料の寄付からだと、魔法の袋に入っていた肉をガンガン取り出しては、孤児院の袋に詰め直していく。


「あの、ありがたいんですが、いったいどれだけあるんですか?」

「う~んと、そうだなぁ、いっぱい?」


 ごめん、正直な所、まったく数えてないからわからない。


 余ったからってすぐ腐るものでもないし、別に困るものでもない。逆に足りないようなら、また取ってきたらいいだけだし、そんなに気にしなくて良いと思うんだ。


 その神官さんの話では、畑が増えただけでなく、増えた部分に植わっていた分の収穫ができたので、食料事情は少し安定したようだ。そこに大量の肉が加わることになったので、しばらくは食料が足りなくなることは無さそうだって話だった。


 他にもお金だってあるし、しばらくすればゴミ一族による寄付だって始まるだろう。そうなればもう、完全に安定して運営していけるようになるだろうね。



 建物の修理、というか建て直しでは、建物の古くなった木材を回収して、新しい圧縮強化した木材に入れ替えていくことになる。


 部屋の中にあった古くて壊れかけの二段ベッドも回収して、圧縮強化した木材で作った三段ベッドに入れ替えていく。これでベッドが足りない問題も解決するはずだ。


 食卓や椅子も新しい物に入れ替え、古い物はどんどん回収する。木の食器も壊れかけた物は新しい物に入れ替えだ。毛布なんかも、古い物は繊維に戻してほぐし直して再生し、足りない分は木の繊維を使って新しく生み出していく。


 早業の精霊さんたちにしては珍しく、これら一連の作業は一瞬では終わらずに、三十分ほどの時間がかかってしまった。


《中身を一度外に出してからなら、一瞬で終わるんですけどね~。》

〈中身の出し入れには時間がかかるから、こっちの方が早いのは確かよ?〉


 壊れた家具や、古い建物の廃材なんかにも、もちろん使い道はある。


 腐ってしまった部分はもうどうしようも無いので取り除き、まだしっかりしている部分は繊維にほぐして糸に(つむ)いでいく。そうして古い廃材の寄せ集めだったものが、見る見るうちに糸になり、丈夫な布に変わっていった。


 布が出来たところで、孤児たちを呼びよせ、十人ぐらいづつまとめて服を作っていく。これからまだまだ成長していく子供たちだから、服はかなりぶかぶか気味だ。


 靴はぶかぶか気味に作るのは良くないので、サンダル風のものにしてみた。サンダルならある程度サイズが違っていてもなんとかなるからね。サンダルの底は、木ではなくて、妖獣の皮革を圧縮強化して作ることにしておいた。


 サンダルは予備も色々な大きさで作っておく。子供が増えた時や、壊れた時には予備を使えばいいように、という配慮だ。


 そして余った布は反物にして神官さんに渡しておく。全員分の服を作るにはまったく足りないけど、子供が増えた時や、穴が空いた時のつぎあてには、これで何とかなるだろう。


 壊れた農具や鍋釜(なべかま)なども修理し、畑の柵もしっかりした物に作り変えて、俺の作業は終了した。なんだかんだ全部で一時間ぐらいかかったかな。


 途中から、神官さんはアワアワ言ってるだけになっちゃったけど、大丈夫だよね?



ここまでお読みいただきありがとうございます。

感謝感激です!


子供のパワーっていうのはとんでもなくて、現実で百人もいたら絶対に体がもたないと思うんですが、どうなんでしょうか。

百人どころか、二百人でも三百人でも問題ないぜっていう鉄人の方、もしもいらっしゃったら、そのパワーを少し分けてもらえたらなぁ……と思います。


そんなこんなで、もしもよろしければ、感想や評価をお願いいたします。

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