表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今ごろになって異世界に転生した話  作者: 大沙かんな
#2-5 孤児院を改善しよう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/94

59.ウテナの装備

 そろそろ帰ろうと思ったら、周囲にシロが見当たらない。


 どこに行ったのかと思って探したら、孤児院の子供たちと一緒になって、そこら中を走り回って遊んでいた。短い時間でかなり仲良くなったみたいだね。


「シロ~、そろそろ帰るよ~。」

「はあい!」


 返事だけは良いけど、ぜんぜん遊ぶのを止めようとしない。仕方ないので追いかけまわして、首根っこを摑まえることになった。それだけで結構な時間、走り回らされたよ、ぜいぜい。


 シロは充分遊び回ったうえ、最後に俺と鬼ごっこをしたので大満足のようだ。


「ぷら~ん、ぷら~ん。」


 首根っこを持ちあげて、そのままプランプランとぶら下げてやると、それも遊びの続きだと思ったのか、ニコニコしながらはしゃいでいる。


「みんな遊んでくれてありがとな! また来るから、その時にも遊んであげてくれよな!」

「ばいばい~。」

「シロ~、ばいば~い!」


 シロをそのままプランプランとぶら下げながら、サチウス院長にも帰宅の挨拶しておく。


 そして俺たちは、「ウテナおねえちゃん、パイパ~イ!」なんていってた子供が、サチウス院長に拳骨を落とされている姿に苦笑しながら、孤児院を後にした。



 俺はシロを肩に担ぎなおし、ウテナを相手に世間話というよりも、この町の話を色々と教えてもらいながら、来た道を引き返していく。


 彼女によれば、この町にもちゃんと領主さまはいるそうだ。ただ領主さまの統治する領地はとても広いらしく、ほとんどこの町にいることはない。代わりに代官がこの町の面倒を見ているということだった。


 この代官がものぐさな人らしく、あまり住民のことを考えてくれないというか、頼んでも手を打ってくれることは少ないそうだ。


 ただものぐさなだけでなく、領主さまに任されている権限が少なくて、やりたくても出来ないこともあるのかも知れない。


 この町で領主さまに次いで力があるのは神殿なのだけど、その神殿でも今のありさまというのは頭が痛い。やりたいことがあれば、やはり自力で何とかするしかないのが現状みたいだね。


「建物の修理とかは、森で材木とかいろいろ採ってきて、自分でやってみるしかないかな。」

「そうですね、それなら私もお(とも)しますね。」


「いや、ウテナには神殿の仕事が……」

「私もお供しますね?」


「あの……」

「私もお供しますね?」


 なぜだろう、ウテナも狩りに同行することが、いつの間にか決定事項になっていた。



 聞いてみると、彼女は初級探索者として探索者協会に登録済みだそうだ。彼女は回復魔法や結界魔法が使えるらしく、時々他の探索者たちと一緒に、子供たちのために肉を求めて森に狩りに行くらしい。


「鎧とか武器とかの装備もあるってこと?」

「いえ、動きやすい服を着るぐらいで、鎧などは特には……」


(あとで彼女の装備を用意してもらえるかな?)

《もう! 働かせすぎですよ、プンスカです~。》

〈まあ、それぐらいなら仕方ないわね。〉


「装備とかは後で用意するとして、ホムラやマヤとも顔合わせしてもらった方が良いかな。」

「そのお二人はタカシ様の従者さんですよね?」


「まあそんな感じ。あと俺のグループには、ハヤトとサキっていう探索者がいるよ。」

「それではそのお二人にも挨拶が必要ですね。」


 ウテナが同行するなら、四人にも理由の説明だけじゃなくて、孤児院の状況を実際に見てもらった方が良いだろう。この時間なら、まだ協会の訓練場にいるかも知れないな。


 ウテナさんの了解を得たうえで、俺たちは神殿ではなく、探索者協会の方へと足を向けた。



 探索者協会の訓練場では、やはり四人が一緒になって鍛錬を行っていた。俺たちが着いた時には、ちょうど終わろうとしていたところだったようだ。


「あら、タカシじゃない? こんな時間に来ても、もう終わるところよ?」

「えらい美人を連れているなぁ、まさか誘拐してきたんじゃないだろうな。」


 ハヤト、それはちょっと酷いぞ。お持ち帰りしたくなる気持ちは理解できるけど、俺はやってないからね?


「ちょっと神殿と孤児院に縁があってね、それでみんなに相談があるんだ。」


 俺はウテナが狩りに同行すること、そしてその理由について、みんなに説明する。


「それで出来れば明日、みんなにも孤児院の状況を見ておいてもらいたいんだよね。」

「私は問題ありません。」

「私も。」

「私は良いわよ。どうする? 朝から行く?」

「そうだな、朝からの方が畑仕事の手伝いをしなくて済むな!」


 話はすぐに決まり、明日の朝は探索者協会に集合してから、孤児院を訪問することになった。


「ホムラとマヤの二人がいるのに、まさか新しくそんな美女を引っかけてくるとはねえ。」

「ほんと、手が早いというか何というか……。」


 いや、ちょっと待って! ホムラとマヤは奴隷だから仕方なく俺についてきてるだけだし! ウテナは孤児院を何とかするために一緒に来ただけだし!


「主様、私たちの全てを手に入れておきながら、なんと浅ましい‥…。」

「主様は鬼畜。」

「きちく~きちく~。」


 シロが真似するからやめなさいってば。



 簡単な打ち合わせを終えて、ホムラやマヤたちと『青がえる亭』に戻ってくると、なぜかウテナまでが一緒についてきていた。


「ああ、そう言えば。ウテナは神殿まで送っていくよ。」

「いえいえ、私もこの宿で問題ないですよ?」


「いや、戻らないとマズいでしょ。それに部屋に空きがあるかどうか……。」

「いえいえ、私はタカシ様と同じ部屋で問題ないですよ?」


 それはこっちに問題があるというか、どうせなら同じベッドで……げふんげふん。


 宿の受付で聞いてみたのだけれど、ちょうど今は空き部屋は無いようで、四人部屋への交換も難しいみたいだ。


 今は二人部屋を二つ取っているのだけど、シロは俺と同じベッドで寝るので、俺の部屋のベッドは一つ余っていることになっている。


 だから俺と同じ部屋で良ければ、実は問題なく全員が泊れるのだ。


 シロの寝相によるけどね。


 シロの寝相がひどいから、ベッドは二つひっつけて、巨大ベッドにしてあるんだよね……。


「それじゃ、誰かが俺の部……」

「タカシ様、もちろん、私‥…」

「いえ、この宿のベッドは大きいので、同じ部屋に三人でも問題ありません!」


「狭いの嫌い。私が主様の所に……」

「駄目よ、マヤ。そんな破廉恥なことは。」

「でもホムラは、前の宿で主様のベッドに潜り込んでた。」

「それはマヤ、貴女もでしょ!」


 なんだかよく分からない戦いになり始めたので、俺は聞いてないふりをして、受付でウテナの分の宿賃を支払った。


 ホムラもマヤも俺が寝てる時には、精霊さんの気配を求めて寄ってくるみたいなんだよね。もしかしたら俺が寝ている間に、精霊さんたちが何かしているんだろうか。



 誰がどの部屋で寝るのか、その決着はまだついていないようだったけど、ひとまず全員で俺とシロの部屋に入ることにした。ウテナの装備の準備と、ちょっとした話し合いをするためだ。


 この部屋は二人部屋ということになっているが、それなりに大きな部屋だ。それでも大人四人とシロが入ると、やはりちょっと手狭な感じがする。


(それじゃ、装備とか背負い袋とかの作成をよろしく!)

《サイズを測りながら作るので、服は脱いで貰ってくださいね~。》


 え? 何それ?


〈ホムラやマヤの時も脱がせてから作ったでしょ?〉

(あれ? そうだっけ? ちゃんと覚えてないぞ?)


 そんな素敵な事があったのなら、しっかり目に焼き付けているはずなんだけど、残念なことに何も覚えていない。


 もう過ぎてしまったことをくよくよ考えるのはよそう。俺は未来に生きるのだ。


「それじゃ、ウテナ。装備を整えるから服を脱いでね。」

「は~い、タカシ様、わかりました。」


 よし、こんどこそしっかり全てを網膜に焼き付けるぞ!


 へえ、ヒダヒダ服って、あんなところがブローチで留まっているのか。おお、これは!


 服を脱いでいくウテナを俺がガン見していると、まるで観光地のお金を払って遠くを眺める双眼鏡のように、突然視界が暗転した。


 え? 時間切れ? お金ならあるから! 今すぐ入れるから!


「主様、女性の着替えを覗いては駄目よ。ただでさえモテないのに、完全に嫌われるわよ?」


 なぜか耳元でホムラの声が聞こえてくる。さては、俺の目隠しをしているのはホムラだな!


 どうせ後ろから抱きついて目隠しをしてくるなら、鎧を脱いだ状態でやって欲しいとか言ったら、やってくれるだろうか。


 よし、頼んでみよう!


《は~い、終わりましたよ~。》


 え? もう終わったの? 早すぎない?



 目隠しから解放された俺の視界に、鎧姿になったウテナが飛び込んできた。なんて早業(はやわざ)だ、一瞬で完璧に終わっているではないか。


 それだけじゃない。もともと立派だったウテナの胸元が、一回り以上大きくなっている感じがするのだ。


《主様の記憶を元に研究して、寄せて上げて、しましたからね~。》

〈マヤと同じGカップだけど、見た目ではワンサイズ上がってるわね。〉


 まったく素晴らしい。これは人間国宝クラスの技だ。精霊は人間じゃないけど!


「タカシ様、ありがとうございます。なんだかとっても動きやすい鎧ですね。」


 屈伸したり、飛び跳ねてみたりと、動いてみて違和感がないかをウテナに確認してもらったところ、とても良いという評価が貰えた。さすがはシルビアだね。


 動きが加わると、やはり胸のあたりの素晴らしさが良くわかるね。


 その素晴らしさは俺だけじゃなく、ホムラとマヤの二人にもしっかりと伝わったようだ。


「良い出来だけど、なんだか一人だけズルいと思う!」

「私たちの鎧も作り直しが必要!」

「えええ~、まだ作ったばっかりだし、傷んでもいないのに?」


 その威力を目の当たりにしたホムラとマヤが、自分たちの服と鎧の作り直しを要求、さらになぜかシロの分も作り直すことになってしまった。


 二人がより魅力的になるのなら、俺は歓迎なんだけどね。


 でもシルビアとグロリアの機嫌を取るのが大変だから、ちょっとは手加減して欲しい。



 結局、寝る時は、俺とシロの二人、ホムラとマヤとウテナの三人で別れることになった。


 当然と言えば当然だけど、なんだか仲間外れにされたみたいで、ちょっと寂しい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ