【武器解説03】盾
西洋の武器を語る際、盾の存在は欠かせません。
前7世紀にギリシャで開発されたファランクス陣形(長槍と盾を持った兵が横一列に並ぶ陣形)を代表とした、重装歩兵による多くの密集陣形が開発されました。
兵の集団運用を強みにした古代ローマ軍は、盾を並べて前進するテストゥド(亀)という陣形を用いており、当初楕円形だった盾は防御面積を広げる為に長方形となり、大型化されていきます。
『スクトゥム』
共和制時代にローマ軍が正式装備として採用していた長方形の大盾。当時でも類を見ない大きさでした。
合板による成形で、縦100センチ以上、横60センチ以上。
盾の表面を湾曲させて耐久性を上げ、盾の中心や縁等を金属で補強してありました。
『パルマ』
共和制ローマの軍政では、原則として武器防具は個人所有の品を持ち寄っていました。
共和制後期、軍制改革によって国家から武具の支給を受ける職業軍人化するまでの期間、所有物で兵科が決まっていたのです。
直径90センチ以下、円形の安価な盾である『パルマ』は、高価なスクトゥムを経済的に用意できない者を中心に、共和制ローマ最下層の兵科ヴェリテスが使用していた盾です。
当然、花形である密集陣形に組み込まれる事はなく、偵察等の危険な任務を割り当てられていました。
『バックラー』
古代フランス語の盾を意味する言葉 bouclierを由来とする小型の盾。
直径は30センチ程しかなく、首や心臓等をピンポイントで防ぐ副装備として、その携帯性が脚光を浴び、13世紀頃に流行しました。
ドーム状の形態と高い視認性から殴打武器としての性格も持ち合わせていました。
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参考文献
刀剣ワールド 古代ヨーロッパの甲冑
https://www.touken-world.jp/tips/7826/
(2024/08/26閲覧)
ナムウィキ バックラーの項
https://ja.namu.wiki
(2024/08/26閲覧)
【武器解説】では、図鑑の挿絵横に添えられている短文をイメージして記述しています。
詳細な情報につきましては、記載の参考文献等を調べていただければと思います。