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【祝11万PV】転生式異世界武器物語 〜剣闘士に転生して武器に詳しくなるメソッド〜[月水金17:30更新・第二部完結保証]  作者: 尾白景
裁判と戦争編

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15話 ギニアス・クラッスス将軍

 クリニアスの勧め、もとい強制されて衣服を新たにしたパティアは、売春女から豪商の令嬢風へと着替えを済ませた。

 金髪から栗色となった髪色はそのまま採用となっている。


「では改めて情報をまとめ、整理しましょう」

 クリニアス監察官を中心にして、パティア大使、ヘリオン、クアレスの4人で座を囲む。


「コルネリウス将軍とは私の伝書鷹で逐一連絡を取っております」

 クアレスの秘術、鷹の目によって市内全域を監視。発生した暴徒の位置を素早く伝達し、コルネリウス将軍の差配で即鎮圧するという電撃的な連携を取っているのだとか。


(この時代にドローンの高高度偵察なんてチートもいいところだよなぁ。この御仁が戦争で重宝されるわけだ)

 匠は生真面目に報告するクアレスを横目で見やり、内心で舌を巻いた。



「さすがだ、クアレス」

「はっ、ありがとうございます」

「コルネリウス将軍のおかげでクロネリア市内は当面の間、安全というわけだね」

「ですが一つ、気になる話があります」


「スパルタクス軍の事かい?」

「その通りです。将軍からの情報によりますとスパルタクス軍はその数を20万まで増やし、クロネリア市より東方100キロに位置するピケヌム市まで迫っています」

「そこまで迫っているのか……市内が混乱に陥るのも当然だな」


 軍隊の行進速度は一般的に、日に20キロ程度と言われている。それは古代ローマ軍然り、戦国時代然り、大日本帝国軍然り、それほど大差は無いそうだ。


(スパルタクス軍は奴隷を中心にして数も多い事を考えると、もう少し遅かったのかもしれないな)


「彼らは……クロネリア市の制圧を考えていると思うか?」

「私の任務は偵察と報告ですので、予測は職分を越えていますが―――」


 困惑を示すクアレスに、クリニアスは笑顔で応えた。

「戦争や軍の見識はこの中では君が一番だろう。あまり構えずに、起こりそうな動きを教えてほしい」

「はっ、では僭越ですが私見を述べさせていただきます」

 一言断りを入れてクアレスはスパルタクス軍の今後の予想を披露する。



「第一に反乱軍の目的ですが、クロネリア市の制圧、国外への脱出、クロネリア南部領の割譲が考えられます」


「どれもあり得そうな話だな」

「南部領の割譲にしては北上しすぎていませんか?」


「鋭いご指摘です、大使。割譲が目的であれば既に話し合いの段階でもおかしくはありません」


「では制圧か脱出のどちらか。ピケヌム市はどちらとも取れる難しい位置だな」

 クリニアスが顎に手を当てて難しい顔をしている。


「意見が割れている……のかも?」


 しまった。無意識に声をだしてしまった。

『スパルタカス』は前世の姉、真綾お気に入りの映画で、もはや何度応援上映(強制)させられたかわからない。

 おかげで匠はスパルタクスの動向をある程度覚えていた。


(この世界の歴史を改変するのも忍びないし…あまり関わりたくないんだよなぁ)


 3人の視線が痛い。

 今までずっと相槌を打つだけのモブになりきっていたのに急に話に割って入ったものだから、皆が目を見開いてこちらを覗き込んでいる。


「さすがはヘリオン様!」

「正式な訓練を受けた軍ではないからな。ありそうな事だ」

「ヘリオン殿、見事に看破されましたね」


 どうしよう……カンニングで褒められてしまった。

 居た堪れない――――



 事実、古代ローマにおけるスパルタクス軍はスパルタクス一人のワンマンではなかった。


 トラキア人スパルタクス。

 ガリア人クリクスス。

 ギリシャ人オエノマウス。


 この3人がリーダーであり、後に意見が割れて対立する。


「アルプス山脈を越えて北に脱出する一派とクロネリア市に攻め入る一派で、意見がまとまらないままピケヌムまで来てしまったというのが実情かも知れないな。中途半端なのは、こちらとしてはありがたい話じゃないか」


「クロネリア軍はどう動くと思われますか? クアレス殿」


「そうですね……コルネリウス閣下の指揮であれば、クロネリア市の防備をきっちりと固めて制圧派を殲滅。

 脱出派は、非戦論者が多いでしょうから無視。場合によっては交渉を持ちかけるかも知れません」


「だが、コルネリウス閣下は市内防衛専従の任に就かれたと聞く。鎮圧軍の指揮は誰が取られるのだ?」


「それが、どうやらギニアス・クラッスス将軍閣下に決まったそうです」


「クラッスス閣下はその富裕さで有名なお方だが、どのような指揮をされるだろう。クアレス、分かるか?」


「はっ! 果断にして非情なお方と聞いております。なんでも、市内で火事が起これば消防団を率いて一番に駆け付けながら、家主と交渉して土地を譲るまで消火活動を始めなかったという逸話をお持ちのお方ですので……」


「とんでもない奴だな……クラッスス将軍」


 しまった。

 また無意識に呟いてしまったが仕方がないだろう。火事場泥棒の将軍かよ。

 話を聞いたパティアも言葉を失っている。


「反乱軍鎮圧に、クラッスス将軍閣下はどう動く?」

 クリニアスが再びクアレスに問うた。


「はっ!恐らくは、反乱者の全てを殺すでしょう。」

毎週、月・水・金の週3回17時30分投稿。

次回は1月16日(金曜)です。


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よろしくお願いいたします。

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