【作中補足01】硬貨とビール
みなさん、こんにちは。はじめまして。
川背匠の姉、真綾です。いつも弟の匠がお世話になっています。
匠がもう少し真面目に歴史について勉強していたら、せっかく目の当たりにした古代ローマ文化の魅力を微に入り細を穿つように、皆様にお伝えできるのに…残念でなりません。
代わりにこの場では、作中に登場しながらも物語の都合上、当然のように流されてしまっている古代ローマ文化について、簡単にご紹介させていただきます。
『セスティルテウス青銅貨』
単位はHS。紀元前23年、初代ローマ皇帝アウグストゥスによって古代ローマの貨幣制度は確立しました。
アウレウス金貨、デナリウス銀貨、セスティルテウス青銅貨、アス銅貨、など様々なコインが流通していましたが、庶民の間では主に銅貨と青銅貨が流通していたようです。
(作中では簡略化のため『セステリウス硬貨』で統一し『セステ』と表記します)
紀元前79年のポンペイでは小麦が7HS、チュニックは15HS、ロバは500HSで取引されていました。
ポンペイでは奴隷が6,252HS、125年ごろのロンディニウムでガリア人奴隷の女性が2,400HS で売られたという記録が見つかっています。
軍団兵の年俸は900〜1200HSほどで、剣闘士はランク別に報酬が分けられていました。
例えば、最高ランクは1万2千~1万5千HS(300~375万円)、最低ランクでは1千~2千HS(25~50万円)が支払われていたようで、人気剣闘士の引退試合に出された報酬に10万セステルティウスという記録も残っています。
食品と趣向品の物価が乖離していますが、1HSを現代の200円〜300円ほどで考えると想像しやすいようです。
『ビール』
地中海気候のローマでは上質なワインが造られており、代表的な酒といえばワインですが、北方のゲルマンからの影響でビールも飲まれていました。
ローマ皇帝ユリアヌス曰く「山羊の悪臭がする」と悪評を被ったビールですが、かのユリウス・カエサルは7年に渡るガリア遠征の為にビールと親しんでいたようで、部下達に酒宴の席でビールを振る舞ったのだとか。
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参考文献
Via della Gatta 古代ローマの貨幣と物の値段
https://www.vdgatta.com/index.shtml
(2024/08/26閲覧)
wikipedia セステルティウスの項
https://ja.m.wikipedia.org/wiki
(2024/02/10最終更新日)
キリン、ビールの歴史
https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/daigaku/HST/hst/no15/
(2024/08/26閲覧)