緑のエリアにて
読んでくださってありがとうございます(*´ω`*)
‐ゴトッ
エディが剣を一閃したと同時に、鈍い何かが落ちる音がする。
「流石ですね…」
隣でレイラが呟く。私も納得だ。
エディが一撃で倒したのはジャイアントベアと言って大型の熊の魔物だ。その首は私の胴の3倍はゆうにある。
並の冒険者なら三人がかりでどうにかと言ったレベルの魔物だ。
「僕が一歩リードだね」
先ほど魔物の首を落としたとは思えないほど爽やかな笑顔でエディが言った。
…いつもとは違った種類の笑みでなんとなくムカッとくる。
なぜだが全然魔物とエンカウントしない。今のジャイアントベアが一体目だ。
確かにここらへんの魔物は強いものが多いから各々のテリトリーが決まっていて、そこそこ広い範囲でもあるはず。
なかなか遭遇しないというのはおかしいわけじゃないけど…
「次です!次、私いきます!」
「かまわないよ」
「私はその次ということで…」
みんな異論は無いようだ。
レイラもお淑やかにかまえつつ闘志は十分。
ジャイアントベアの魔石を水晶にかざすと60Pと表示された。
魔石は袋に入れ鞄になおす。
「倒した魔物はこのままで大丈夫なんですよね」
「そうだよ」
なにやら学園側が作ったゴーレムが回収するらしい。
魔物は素材になるため重宝される。
…黒エリアにもそのゴーレムはいるのだろうけど、そんな所にいても問題の無いほどの性能のゴーレムというのははっきり言ってすごい。
ゴーレムを作るのにはとても難しい。重ねられる魔法回路にも限界があるし、属性の相性の問題もある。
素材も良いものを集めなければ、性能が下がる。
だから、どうしても魔物のゴーレムとの差が出来てしまうのだ。
「あっ、ちょうど来たみたいだね」
エディの言葉に後ろを振り返る。
(…かわいい)
まず思ったことは率直にかわいいだった。
背丈が私の腰辺りまでしかない。
頭らしき所にはお花が咲いている。
ぞろぞろと3体がカルガモの親子のようにやって来た。
「…かわいいですね」
「そうですね」
レイラの言葉に首を縦に振りながら答える。
「ねえ、ミイレどこ見てる?」
「もちろん…レイラちゃんですよ」
いつもと違って、年相応というか、幼気というか…純度高めな瞳と表情がかわいい…っ。
「ゴーレムもかわいいですよ?」
一応付け加えとく。
そんなやり取りをしている間にゴーレムたちはジャイアントベアを持ち上げ運んで行った。
一人が持ち、二人は護衛のように
辺りをぐるぐるとしている。
学園の紋が刻まれているから万一にも討伐されることはなさそう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
探索を再開してから20分ほど経った頃。
「少し肌寒くありません?」
「そうだね」
先程から辺りの気温が下がった気がする。足元に冷気も感じるし。
「ここ…凍っています」
レイラが指し示したところは、小道に沿って辺りが凍っていた。
「スノウウルヴスですかね」
「ああ」「ええ」
スノウウルヴスとは狼の魔物で、環境形成型と呼ばれるタイプだ。自らの戦いやすいフィールドを形成するのが特徴で、スノウウルヴスの場合は氷結だ。必ず複数で行動するという特徴もある。
「ミイレ」
「…いってきます」
レイラが視線をこちらに向けながら小声で私を呼ぶ。それに私も小声で返し、腰から投げナイフを抜いた。
大地が凍っていると滑ってしまうことがあるので投げナイフの方がいいのではという判断だ。
近くの木に飛び、また他の木へと飛び移っていく。
(見つけた…!)
少し開けた場所で一面氷に覆われている。
敵の数は三匹だ。
私は大きく宙に飛び投げナイフを構える。気取られてしまう前に空中で体を捻り一匹にナイフを投げ、その反動でまた一匹に投げる。
スタッと地面に降り立つ。
「ウォオオオオオオオオン!!!」
残った一匹が威嚇するような咆哮を上げたと同時に最後のナイフを投げる。
ドサッと額の真ん中に命中し敵が倒れる。
「ミイレ!大丈夫です?」
「はい…あ!」
肝心なことを忘れていた。絶対今の場面はレイラに見ていてほしかったのに…無念だ。
「…全部投げナイフ一本で仕留めたのか」
「そうです」
魔物と言えども脳があるので頭を潰せば投げナイフでも倒すことが出来る。
「すごいな…」
エディは感心しているようだった。
三匹まとめて80Pだった。
「私がリードしましたね」
「これからさ」
私の得意げな笑みにエディはそう返した。割と負けず嫌いなところがあるよなあと思いつつ、絶対に負けないと再決心した。




