双子のステンドグラス
いつも読んでくださってありがとうございます!!
中には割と多くの人がいた。
大きな噴水の下で休んでいる人や、休憩室を利用している人。女神像に祈りを捧げている人やシスターと雑談している人もいる。
一般人が入れるのは外廊と大聖堂の本殿のみ。奥の方へは入れない。
「最初は女神像への挨拶だね」
エディとともに女神像のもとへ歩いてゆく。他の人々もいるため少し開いているところで膝をついた。
周りの人の中には声を出して祈っている人もいたが私たちは声に出さず祈る。
この世界の神様はメーヴェだけど、私をこの世界に転生させたのはどの神様なのだろうか。
特段深い意味がある訳でも無く、たまたま転生した可能性もあるけど…。
(確かメーヴェは創造神。愛や平和について祈るならどの使徒だったか…)
思い出そうと思ったが思い出せなかった。
前世で一度聞いたことがあるが、神社とかで神様に祈るのは目標を聞き届けてもらうためだとか何とか。
確かに、祈っても叶えられない願いもあるだろうし、みんなが救われるとも限らない。
ならば私は私に出来る最善を尽くす。
「よし、次行こうか」
「はい」
うだうだと考えていたら、エディが立ち上がった。
「随分と熱心に祈ってたね」
「…ちょっと、願い事が多くて」
「そう」
…。ずっと独り言を心の中で言っていただけな気がする。肝心なことを忘れてた。
私の不自然な間をエディは気にしなかったようだ。
「今度はステンドグラスを見に行くかい?」
「もちろんです」
本殿の中は少し薄暗かった。その分ステンドグラスを通った光の落す影がとても鮮やかに映える。
「うわぁ~」
「いつ見ても綺麗だな」
思わず嘆息してしまうほどの美しさだ。何百年も経っていてここまで綺麗なのが奇跡なくらい。
「かのレギュラス王もこの輝きを目にしたんだろうね」
「…ええ」
びっくりした。まんまゲームと同じことを言ってている。確か終盤初期くらいだったけど、同じセリフを言っていた。
ここレギュラス大聖堂は遥か昔の暗黒時代に『光』と呼ばれた賢帝‐レギュラス・ラウ・エルヴェリアを讃えるため建てられた。
そのため戴冠式や王族の血族の結婚式はここで行われることが多い。第一王子ルートでのエピローグはここで愛の誓いをたてるスチルで飾られた。
エディルートでもそうだったのであろう。
「何世代も前の聖女の逸話を知ってる?」
ステンドグラスを眺めつつ、考え事をしていた私にエディがそう尋ねた。
「いえ…」
「昔、王宮の図書室で読んだことがあるのだけど…」
エディが語った内容はこうだった。
当時の聖女テリーゼは王族の婚約者がいた。ともに力を合わせ国を救ったが、婚約者は魔王の呪いに倒れてしまった。テリーゼは嘆き悲しみレギュラス大聖堂の女神像に向かって祈る。
すると願いを聞き届けた女神により婚約者は蘇る。けれどその代償としてテリーゼは一つの大きな宝玉へと姿を変えた。以来聖堂の奥で静かにこの国を守護しているらしい。
伝承とかでありそうな話だけど聞いたことがなかった。聖女が国のためにじゃなく、最後は好きな人のために命を賭けたところが個人的に好ましかった。
「いい話ですね…聞いたことなかったです」
「禁書庫で見つけたからね」
「…」
王族特権すぎる。聞いてもよかっただろうか。そこら辺の線引きはきちんとしているとは思うけど…。禁書庫って王族なら誰でもオッケーなのか…。
わざわざ禁書庫の書物に記されていたということは割と真実味のある話なのだろう。
禁書庫入りの理由は宝玉の場所を特定されないためだろうか。
知らない間に機密情報を共有されて、半ば強制的に協力者とかにされたらめんどいなあ。
気をつけよう。
そうだエディは腹黒キャラだった。




