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第85話 『ふたりのコンビネーション⁉』

(それじゃあ、ボクがあいつを引きつけるから、アルマは《姿隠し》で後ろに回って隙をうかがってくれ……)

(……わかったわ)


(それと、ひとつ聞きたいんだけど。魔法ってさ、すこし時間がたってから効果を出すことはできる?)

(できるわよ。早くするのは大変だけど、遅くするのはそんなに難しくないわ)


(じゃあさ――)とスペスは、カバンからスリングにつかう石を取り出した。

(これ)に《灯り》の魔法をかけてくれる?)


(そんなことしたら、見つかっちゃうじゃない)

(だからさっき言った〝遅くするヤツ〟をやってよ――大丈夫、これであいつを誘導してやるんだ)


 スペスは自信ありげだった。

 こういう時のスペスは、なぜか頼もしいな、と思いながらアルマはうなずく。


(わかった。どのくらい遅らせたらいいの?)

(うーん五つかぞえるくらいで、いいんじゃないかな?)


(明るさは?)

(明るさ?)


(《灯り》の強さよ。まぶしいくらいに明るくすることも出来るわ。そのぶん時間が短くなっちゃうけどね)

(ああ、なるほど……)と、スペスはなにかに納得していた。


(《点火》を教わった時に、イオキアさんが火を大きくして、あっという間に燃やした奴と同じだね)

(そういうこともできるわね。それで、どうするの?)


(いや……明るさはふつうでいいよ)

 石を渡したスペスは、そう言ってスリングを用意する。

(わかった。じゃあやるわよ――)


 受けとった石に《灯り》をかけ、アルマはすぐに手渡す。

 スペスがすばやくスリングに石を入れ、サッとひと振りして投げた。


 飛んでいった石はすぐに見えなくなったが、オーガとは離れた場所でガサッという音がして、淡い光が周りの木々を照らす。気づいたオーガが、あかりの方へ向かうのが見えた。


(よし、うまくいった。……じゃあアルマは、後ろからね)

 スペスはそう言って、足音を殺しながら石のほうへ進んでいく。


 アルマも《姿隠し》をかけ、後ろに回りながらに、慎重にオーガへと向かった。

 ときどき音を出して気づかれそうになったが、《姿隠し》のおかげで、じっとしていれば見つからなかった。


 だが、なんとなく気配を感じているのか、オーガはひどく警戒し、何度も後ろをふり返っていた。


 やがて、光る石のところについたオーガは、そこに誰もいないことが分かると、さらに警戒を強めて、あたりを見まわす。


――あんなに構えられると、やりづらいわね……。


 逃げたり仲間を呼ばれないように、出来るだけ早く倒したかったが、警戒する相手に不意を打つのは難しい。ここで焦って、仕損じるわけにもいかなかった。


 アルマは《姿隠し》をかけたままじっとして、オーガに隙ができるのを待つ。



 突然ガサッという音がして、反対の茂みからスペスが立ちあがった。

 音に反応してオーガが振り向いた瞬間に、スペスがスリングでなにかを飛ばす。


 不意を打たれたオーガの顔にぱっと煙のようなものが上がり、オーガが顔を押さえた。

 目に何か入ったらしいオーガはうなり声をあげながら、闇雲に腕を振りまわす。


「こっちだ! こっち!」

 手を叩いて挑発されたオーガが、スペスのほうへ向きを変えた時、アルマにはちょうどその背中が丸見えになった。


――今だっ!

 とアルマは茂みから飛び出す。


 オーガは頭の位置が高いうえ、老人のように背中を曲げている。

 後ろからは頭が狙いにくかった。そのうえ腕を振り回されると胴も難しい。


 それならっ――と姿勢を低くしたアルマは、オーガの横に滑りこみ、その片足を後ろから前へと思いきり打ち払った。


 オーガの脚が前へ高くあがり、バランスをくずしたオーガの体が、ゆっくりと後ろに倒れていく。

 打ち払った動きからくるりと回転したアルマは、そのまま木剣を上段に構えた。


 ドシンという音をたててオーガが倒れ、その背中が地についたとき、無防備になったオーガの顔面にアルマの木剣が叩きこまれる。

 グシャっという音がしてオーガの体がビクンッと跳ね、そのまま幾度かの痙攣を繰り返したあと、すぐに動かなくなった。


 緊張を解いて木剣を下ろしたアルマに、スペスが駆け寄った。

「すごいね、アルマ!」

「うんっ」とアルマはうなずいた。


「なんていうか、調子がいいの」

「ハッ! まさか……アルマの皮を被ったオーガ……じゃないよね?」


「いやだわ。こんな、かよわい乙女をつかまえて、なんてことを訊くの?」

「かよわい乙女は、オーガを倒さないんだけど⁉︎」

「いいの! わたしがかよわいって言ったら、かよわいの! わかったか!」


 だがスペスは、しずかに首をふった。

「いや、わからないね!」とアルマに指を突きつける。

「たとえ、かよわかったとしても、それだけで本物のアルマだという証明にはならない!」


「なるほど……いいでしょう!」

 と、尊大にアルマはうなずいた。

「わたしが本物だってことを証明してあげる。さぁ、なんでも聞きなさい。どんな質問にも答えてあげるから!」


「どんな質問でもっ⁉」

「もちろんよ。わたしは、スペスが何歳までおねしょしてたのかも知ってるんだから」

「ボクが知らないことまで知ってるの⁉」


「あら、この程度でおどろいたのかしら? なら、おとなしく負けを認めなさい。あなたはかわいくて美人で頭も性格もいい本物のアルマさんだと!」


「いやっ! まだだ……まだだよ! それだけでボクを信じさせるには足りない! もし本物のアルマなら、これが言えるはずだっ!」

「あら、なにかしら?」


「本物のアルマは、いつも、『スペスのことが、大好き!』って、言ってるんだ!」

「あらあら、そんなことでいいの? 簡単じゃない」

 アルマは余裕の表情を浮かべた。


「えっ、じゃ……じゃあ言ってみてっ!」

 スペスが期待に満ちた顔でそわそわとする。


「い、いいわよ……」

 アルマは、コホンとひとつ咳をした。

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こいつら、なにしとるん?


それでは次回、

第86話 『気分が高まっちゃっただけかもねっ⁉』

で、お会いしましょう!

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