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第68話 『早く来てよね……⁉』

「たしかこのあたりだったはず――」


 集落の外れまでやってきたアルマは、きょろきょろとあたりを見まわす。

「どれだっけ? タッシェ?」


 尋ねてはみたものの、かかえられたタッシェは、ずっと泣きじゃくっていた。


「そうよね……」とアルマは首を振る。「わたしだってそうしたい気分だもの……」

 重い息をつきながら、近くの家の扉を開ける。

「ここは……違う?」


 中を見たアルマは扉を閉めると、つぎの家へと向かいながら、あやすように声をかけた。

「大丈夫よ、お兄ちゃんはきっと、あとで来てくれるからね――」

 そして自分に言い聞かせるようにつぶやく。


「だってスペスは言ったもの……わたしを守るって。言ったんだから。必ず村に返すって。そうじゃなかったら、わたしだって――」


 思わずうつむきそうになった顔を上げ、アルマはつぎの扉を開く。


「あった……これよね?」


 アルマが覗いた薄暗い小屋には、土間にいくつかの箱やたるが置かれていた。

 すばやく中に入ったアルマは扉を閉め、背中をなでながらタッシェが落ち着くのを待つ。

 そうするあいだにも、遠くからは、叫び声となにかがぶつかるような音が聞こえてきた。


「お兄ちゃんが来るまで隠れていなきゃいけないのよ……だからお願い。ね、タッシェ?」

 抱きしめてそう言うと、ひっくひっくとベソをかいていたタッシェが、こくりとうなずいた。

 アルマは微笑んで、タッシェをそっと下におろす。


 のそのそと隅のほうへ歩いていったタッシェが土に手をつくと、土が沈みはじめ、暗く狭い穴ができた。

 タッシェはしゃくりあげながら、もぞもぞと穴へ入っていく。


 アルマも、置いてある箱で手早く周りを隠し、あとを追って穴に入った。


 

 下までおりると、四つん這いなら通れるほどの横穴につながっていて、手前に袋が置いてあった。開けてみると、水と食料だった。


 袋のとなりに座りこんでいたタッシェが、また声をあげて泣き始める。

 外の音が遠くなった穴の底では、タッシェの泣き声だけが強く響いていた。


 アルマも、暗いなかでじっと座りこむうちに、行ってしまったスペスの事を考えてしまい、鼻にツンとくるものを感じる。


 それでも、こぼれそうになる涙をなんとかこらえたアルマは、じっと上を見あげた。

「早くきてよね……スペス」

 願いを込めてつぶやいた穴の上には、薄暗い天井だけが見えていた。


* * * * * * *


 その頃――

 始まったアールヴと悪魔との戦闘は、アールヴの優勢で進んでいた。

★☆★☆★ お知らせ ★☆★☆★


拙作をお読みいただき、ありがとうございます!!


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☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


離れ離れになるふたり。スペスは来れるのか⁉


それでは次回、

第69話 『戦況を変えた一撃⁉』

で、お会いしましょう!

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