死食の珠
山向こうに沈んでく
夕陽と入れ替わるようにして
鳳が翼を大きく羽ばたかせて飛び立つ
番なのか
御使いなのか
うねるように拡げられたのは二対の翼
燃えるような赤を一身に纏い
空の彼方へ飛び去ると
辺りは紫紺の闇を迎える
宵の帳が落ちた空
渦を巻いた二対の竜が
鳳の跡を追うように昇っていく
切なげでしかし歓喜に満ちた鳴き声を上げ
開いた顎に怪しく光が灯ると
白い宝玉が生まれ落ちた
未だ未成熟なのか
それとも欠けて零れたか
竜の身体に包まれながら
月は静かに佇んでいる