1st Anniversaryを振り返って感じたこと ~~徒然なるままに~~
――私はこの一年間、ずっとウマ娘ばかりしていました。
本来なら、去年の三月三日に連載開始した雛祭り作品を遅くても四月には終わらせられるはずでしたが、その時期に何の気なしに手を出したウマ娘にドはまりした結果、未だに私のところだけ令和三年の雛祭り・366日目を容易く超える事態となってしまいました。
課金をするために仕事はするものの、執筆はおろか日課になりつつあったジョギング、果てにはアニメすら平行して観ずにスマホの画面だけを見つめながら因子周回を繰り返す毎日……。
そんな有様だったのでlineの返信もかなり遅れていたのですが、久しぶりに会う友人から「恋愛相談に乗って欲しい」と頼まれたので、絶品と評判のうどん屋に行くことになりました。
プライベートな事なので、私がざるそば・ざるうどんの合わせ両方とも二玉ずつと天ぷらセットを頼んだ事以外は、特にその時の内容をここで語るつもりはないのですが、そんな私のアドバイスでも少しは相手の役に立ったようです。
……けれど一つ気がかりなのは、意中の相手がいるにも関わらず、眼前で妖艶に肢体をくねらせる私の色香を前に、せっかく相談しに来てくれた友人が惑わされたりしないだろうか?という不安があったのですが、あれ以降、何の音沙汰もないので特に問題なさそうです。
なにはともあれ、この一件を通じて再度現実の他者へと慈眼を向けられるようになった私。
心機一転し、これからはゲームだけでなく他の事にもアクティブに活動していこうと決意したのですが――。
……現実は、そう甘くはありませんでした。
……なんということでしょう。
私の決意を打ち砕くかの如く、ウマ娘が機能の大幅アップグレードとともに、サービス開始1周年を記念する『1st Anniversary』を迎えてしまったのです――!!
――ステータスが爆上がりしまくる新シナリオ:『Make a new track!!』が遂に開幕ッ!!
――かつて地硬め9因子を生み出すために70周回した私の奮闘をブチ抜いていくが如く現れた根性バクシンオー&新生パワーファル子サポカ!!
――立て続けに私を天井の領域へと誘うキタちゃん&サトちゃんピックアップガチャの猛威を前に、激しく戦慄せよッ!!
怒涛の勢いで迫る圧倒的な情報量と衝撃の数々を前に、私の五感は激しく貫かれ、300個以上の目覚まし時計は瞬時に消え去りました。
……救いは、救いはないのですか……!?
そんなこんなで、私は再起しようとしたにも関わらず、再度ウマ娘に引き戻される事になってしまいました。
お笑い芸人のオードリー若林さんは、
「ネガティブを潰すのはポジティブではない、没頭だ」
と自伝で書かれておられたそうですが(実際にそれも真理だとは思います)、ウマ娘に没頭していた私が日々の生活の中で常に考えている事はどちらかというとそれとは反対の"後悔”といえる感情ばかりでした。
――あのとき、失敗率が4%だったとしても、御守りを使用していれば夏合宿の最後でトレーニングを失敗する事はなかったかもしれない……。
――しもた!根性グラスの金スキル、"乗り換え上手”やなくて、"豪脚”やないか!
――~~~ッ!?……なんでワイは、スキルポイントが余っていたからって、逃げの水マルに"ありったけ”を覚えさせてしもうたんや!?
他のトレーナーさんは全員ウマ娘を育成ゲームか何かだと思っている節があるのですが、私からするとこのゲームは、一瞬でも油断をしたら盛大に取りこぼすことになる音ゲー、リズムゲーの類だと考えています。
『アカテンがただ単に、初歩的なミスをしてるだけなんじゃないの』とか、そういう単純な話ではないと思います。
上記の通り、ここ最近の私は四六時中そのような過去の育成の反省と、次回に向けての改善点を考えながら生活しているので、おそらくこれからも強くなっていくことでしょう。
育成ウマ娘の方も、現在唯一アルダンだけをお出迎え出来ていない状態ですが、私には天井してもお出迎え出来なかったバレンタインフラッシュさんが、全然関係ないときに引いたおはガチャ(※一日に一度だけ低コストで引けるガチャを、起きてすぐの朝に行うこと)で来てくれた実績と経験則があるため、ソシャゲというのは無理にコンプしようとしなくても、適切な時期が来て必要な対価を払えばそのうち揃うもの……と認識しています。
……ですが、そんな日々を過ごすうちに、ふと頭をよぎる事があるのです。
私はトレーナーとしてある程度競えるようになってきたかもしれませんが、そうしている間にも、他の方々はなろうで自作の連載更新を頑張ったり、その中からさらに書籍化に成功した方も出てきている。
なろうユーザーではありませんが、私とは比べ物にならないくらい強いUGクラスのウマを仕上げまくりながら、自身の推しウマの同人誌を制作したり、エルデンリングをプレイする時間をやりくりするプロの漫画家さんもおられます。
他の人達はみんな全て、自分なりのクラス6を維持するために日夜挑戦し続けている中、ウマを走らせているだけの私は果たして、停滞していないと言えるのか――。
そんな考えが浮かびながらも、どうやってやる気を出したら良いのかも思い出せないままの私は、執筆をするでもなくYouTubeを開いて『月亭八光の八ちゃんねる』でオジさん達がウマ娘のアニメ第一期を視聴するだけの動画を閲覧しようとしていた――まさに、その矢先のことでした。
「かんら、かんら!これは傑作よな!――貴殿は己を"山賊なろう作家"などと名乗っているそうだが、『山賊は武士の習い』と言ったところで、所詮賊は賊に過ぎず。我等武士が誇る"一所懸命"とは程遠い、自身の縄張りを捨てて"いんた-ねっと”の海とやらに逃げ込む姿は、後世に残る笑い種よな!」
突如、自室内に姿を現した大柄な武人然とした一人の巨漢。
その男を見た瞬間、私は驚愕の声を上げていました。
「貴様ァッ!!――一体、何奴ッ!?」
そんな私の激情にも動じることなく、男はこれまで通り呵々大笑しながら答えを返します。
「冷奴、とな。……それがしはこれ、見ての通りの"平家物語”よ」
「ッ!?な、何ッ!平家物語だと~~~!!まさか、俺の創作意欲を呼び戻すために、古の時代からこの現代社会に流れ着きやがったのか!?」
もしくは、『やたらと戦国時代に転生や転移をしてから、織田家に士官して歴史の勝ち馬に乗る』選択をしがちな現代人の意識を変革するために、手始めになろうユーザーの代表格ともいえる私を討ち取ることによって鎌倉時代特有の勇猛さを果敢にアピールし、自分達鎌倉の時代にも現代人(正確には彼らが持つ知識や技術)を招聘する事によって、源氏を駆逐し尽くした平家が繁栄し続ける世界を築こうとしているのかもしれない……。
絶望的なほどに情報が足りていない以上、私に相手の真意は分かりません。
そんな私の内心など素知らぬ様子の平家物語でしたが、彼の口からもたらされた返答は、まさに意外なものでした。
「"祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす"――。……いやなに、拙者は"ふぁーすと・あにばーさりー"なる絶頂を謳歌する貴殿の姿に、我等平家一門同様の"おごれる者"の影を見て、儚さを感じたまでの事よ!」
「――ッ!?こ、この私が……短距離・ダート・長距離のチャンミを三連覇した事で、驕り高ぶっていると言いたいのかテメェ……ッ!!」
被害者意識を拗らせまくっていた私は、平家物語の返答に思わず憤激しかけました。
……ですが少し落ち着いてみると、平家物語の言う通り、このままなろう作家としての迷いに目を背けながら、トレーナー業に没頭するだけでは、どれだけ戦績を積み重ねたところで破滅は避けられないのかもしれません。
"王道を蔑ろにする者は、覇道を歩む事すら出来はしない"――。
そんな言葉を脳裏に思い出した私は、平家物語によって定められた滅亡の未来を覆すため――そして、自分の為すべき事を果たすために、まずは創作意欲を完全復活させようと、ネトフリを中心にアニメを視聴しまくる事を決意しました――。
『失格紋の最強賢者』……安定して面白い。拙僧はガンガンオンラインアプリの漫画で途中から本作を読んでいたのだが、弓使いのアルマが少年ではなくボクっ子だった事にアニメを観てから気づき、それと同時にマティ君のパーティが仲良しボーイ・ミーツ・ガール共同体ではなく、彼を中心としたハーレムであると再認識するようになった。
その一件以降、私は亜魔族の尖兵としてマティアス一行の妨害を目論む日々を過ごしている。
余談ではあるが、本作を読んでいた時の私はかつて、一瞬だけ『合格紋の最高勇者』という短編のアイディアを思いついたのだが、
「君、合格!」
「〜〜〜ッ!?……やったー!!」
という冒頭の主人公達のやり取り以降の展開を全く思いつく事が出来ず、断念する事になった異色の経歴を持つ。
――みんな、気をつけろッッ!!!!(激怒)
『GREAT PRETENDER』……コンフィデンスマン、いわゆる国際的な信用詐欺師の主人公達が、悪事で財を成した大物をターゲットに、時には手を組んでいるチームメンバーすら出し抜きながら、手に汗握る知略を繰り広げる作品。
とは言っても主人公達は詐欺師なので、絶体絶命のピンチになっても『まぁ、大抵の事ならなんとかなるやろ……』という安心感がある。(とはいえ、もちろん想定外の事も起きる)
……ただ、最後の計画の話は、今になって振り返ると、『お前ら……よくコイツを今回のプロジェクトに入れる気になったな!?』と言いたくなるような人選を、下手したら命を落としかねない場面に組み込んだりしていたかもしれない。
本作は、長澤まさみさんが主演を務めていた『コンフィデンスマンJP』と同じ脚本の方なので、あの作品が好きな方なら楽しめると思います。
あと、諏訪部ボイスが至高。
ちなみに私はドラマの方を全く知らない状態で出掛けた時にたまたま『コンフィデンスマンJP』を初めて観たのですが、全く知らなくても問題なく楽しめました☆
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』……デッドエンドの事を誤解して空回りするロキシーにしろ、パウロ関連のくだりにしろ、原作の骨太な重厚さとそれに全力で応じようとした制作陣の本気度が垣間見える傑作。
個人的にザノバ様が最高に好きなんだが、これまで色々な問題にぶつかったり悩みながらルーデウスが成長していくイベントが続いていただけに、シーローン王国編の展開はどう受け止めれば良かったんだろう……。
案外、『物事なんて、そんなにいちいち深読みする必要なんてないよ』という事かもしれない(笑)
あと、Shippori and the Cityな行為に及んでいた場面が印象的であり、『将来、子猫を宿したりするんだろうな〜』という感慨深い気持ちで眺めていました。
本作を視聴していた時に唯一疑問だったのが、獣人のところで対峙したホクセイ?さんなんだけど、あんだけ強いなら何故、初登場時に三下ムーブあふれるリアクション満載だったんだろう……?
反応から見るに最初から気づいていた訳ではなさそうだし、ルーデウスがあそこであぁしなかったら、彼結構危なかったのでは?
今のところ、オルステッドが圧倒的なのに、あまりにも情報が少な過ぎてどう対処したら良いのか分からないけど、続編に期待大!
『最果てのパラディン』……主人公がひたむきに努力しつつ、周囲もしっかりとした理念を持って行動しているのが好印象。
何より、一方的に主人公が楽々無双して勝利!ではなく、機転を効かせたり、これまでの努力を積み重ねた修行の成果を発揮しての力押しや、仲間との連携の大切さへの気づきなど、戦闘においてもしっかりと登場人物達が"生きてる"事が伝わってくるのが非常に魅力的だった。
特に本作の見どころは、安易なエチチッ!要素どころか、アニメの1クールが終わるまでヒロイン力に全く頼ることなく、熱くも芯のある男の友情ドラマをやりきったことである。
……確か8話くらいまで私は、『実は〇〇は、女の子でした〜♡』みたいな展開を警戒していたのだが、そんなことは微塵もなく、主人公達の友情ドラマを描き切ったあたりに、
『えっ……?こういう作品がしっかりと評価されてアニメ化される現代社会って、まだまだ捨てたもんじゃない……っていう事!?』
と、密かに驚愕していた。
二期も楽しみにしています。
『プリンセスコネクト Re:Dive Season2』……前クールから観ていたし、仲良し部も出てきたから、全編通してワチャワチャ!ブヒヒ……♡なテンションでペコリーヌのたわわとかを堪能する作風になるかと思っていたら、全体的にしんみりかつシリアスな雰囲気になってビックリした。
だが、それだけに最終話間近のペコが熱いし、騎士君もしっかり主人公していたので、やはりサイゲは神なのだと確信した。
ラビリスタの戦闘場面、スゴかったよね。
『東京リベンジャーズ』……マイキー君がイケメン過ぎるうえに、子供っぽいどうしょうもない部分でこちら側の庇護欲を掻き立ててきたり、悪堕ちしてもおかしくない危うさを抱えてたりと、これは確かに人気が出るわね……!!
ドラケンも文句なしに格好良いし、東卍になくてはならない存在だけど……え?大丈夫だよな???
東リベは、東卍分裂の危機!?からの、マイキー君達の公園でのサッカーみたいに、
『いつまでも続いてほしい、失いたくないかけがえのない日々』
と
『抗いたくなるような、腐りきったバッドイベント』
の落差が酷すぎるし怖いので、私は現在アニメ11話から先に進めてないんだ……。
――……もう、あっくんの美容室が最終回でエェやん……。
――これで『みんなを救えてハッピーエンドになりました☆』じゃ、ダメなんですか……?(なお、パーちん……)
――全24話とか、ウソでしょ……?
そのように絶望に苛まれ続ける中、新たにアニメ続編が決定したとの事。
観るだけで気力をかなり消費しますが、追いつけるように頑張って視聴して参ります!
『天才王子の赤字国家再生術』……文句なしに楽しめる作品。
個人的に、"理想の国家運営"みたいなのをやられると、「しゃらくせぇ!」となっちゃう人間なんですが、本作は政やら駆け引きという大仰な要素を、主人公達の気心知れた軽快なやり取りなどによって、キチンとエンタメに仕上がっているのが実にグッド。
そして、それ以上に最高だったのが本作に登場したゼノビアという存在。
圧巻のムチプリ♡具合を前に、主要国会談不可避ッ!!
殺到するマーデン侯領への移住希望者を前に、ひたすら戦慄せよ――ッッ!!!!
……それだけ楽しみにしていただけに、まさかの1クールで終わるとは夢にも思っていなかった。
『天空侵犯』同様に、首を長くしながら続きをお待ちしています……♡(←ムチプリッ!)
『平家物語』……もののあはれを感じさせる傑作。
平家側にも色々問題があった事は間違いないけど、それだけではない当時の情勢やら人間模様、何より、主人公との交流を通して伝わってくる平家の面々それぞれの魅力など、大変みどころのある作品だった。
――維盛兄様、本当に不憫なりけり……。
――同時期に放送されている大河ドラマの鎌倉殿と合わせて視聴すると、より一層際立つ……。
――キャー!若かりし頃の政子先生よー!!こっちに目線くださーい♡
↑それにしても、これほどまでに北条政子先生を推したり、彼女が登場する作品を投稿してきたにも関わらず、そんな政子先生にスポットライトが当たりやすいこの年に私が便乗作品を全く執筆出来ていないのは、何か凶兆の前触れなのかしらね……?
『その着せ替え人形は恋をする』……私にとっての鬼滅同様に、ウマ娘を中断してでも画面の前で全集中しながら視聴する神アニメ。
もう、一話の時点でテンションが跳ね上がる事このうえなし。
――どけ!俺は喜多川さんのサイズを測るためのメジャーだぞ!!
……いや、やはり彼女は五条君との関係性もあるからこそ大変エモいのであって、そんな二人の間に割って入るような無粋な真似、私には到底出来っこない……!!
そんな葛藤に板挟みになりながらも駆け抜けた本作ですが、今期の覇権アニメと称されるだけあって最終回まで文句なしに楽しめる名作。
もしも、刀鍛冶の里と五条人形店の両方から同時にスカウトされたとしたら、どちらに転職すべきか……というのが目下の悩みの種。
確かに、オタクに優しいギャルは存在しないかもしれないけど、コスプレ好きでオタク趣味全開のギャルなら存在するという事実を噛み締めよッ!!
――2022・日本の春!
ゆえに、お蔵入りになったはずの『ジュジュ様、水着測定回』も存在するという式が成り立つ。
例えなかったとしても、魘夢が夢の中で見せてくれるはずだから無問題。
――ここにいる者は、確実に一人は死亡した!!
『ウマ娘 プリティーダービー 1st Anniversary Special Animation』……実質アニメの第三期と言っても良い神クオリティに満ちた7分間アニメ。
1st Anniversaryという一周年に相応しい、とてつもないサプライズを前に、私の全身に衝撃が走る――!!
――キャー!初っ端から、躍動感あふれるキタちゃんよー!!こっちに目線くださーい♡――コラッ!バクシンオー!頼れる学級委員長のくせに、出てきて早々ワイの心をくすぐるんじゃない!!運命的な何かを感じちゃうだろ!――やたらと画面に映りたがるアストンマーチャン、可愛くて笑えたけど、そのすぐ後に彼女が物凄くムチプリ♡であることに気づいて我が血が滾る!!――帽子被った子は、おそらくタイシン並みに湿度高いドラマを展開してくる事は確実!……みんな、気をつけろっ!!――どけ!俺はサトちゃんにドン引きされてるトカゲの丸焼きだぞ!!――何かEDの出だしが『諸行だよ~♪』と言っているように聴こえて、平家物語が絡む今回の話と"縁”を感じずにはおられませぬ……。(もののあはれ)――ワイも入部希望者の子達に混じってわちゃわちゃ逃げ回りたい!!(←♡)
――祭りだ、Wasshoi!!
他にも階段のぴょん飛びの反則級の可愛さとか、たのもしくなったテイオー&マックイーンとのやり取りとか色々見どころ盛りだくさん☆
……う~!こうしちゃいられねぇッ!!
こうなったらワイも早くアルダンをお出迎えして、エイシンフラッシュ、ファイン殿下、サトノダイヤモンド、マチカネタンホイザの心をくすぐることに長けた五名による、『WINnin' 5』を開催するんだ!!
『かぁ~!見んねミーク!卑しか女杯!』、ここに開幕ッ!!
――震えて待てッッ!!!!
「――ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!」
裂帛の気合いとともに放つ、怒涛のアニメ感想による連撃。
あまりにも"BE-POP”としか言いようがない益荒男ぶりを前に、さしもの平家物語も驚愕の表情を浮かべていました。
「クッ、馬鹿な……!?これが、執筆から遠ざかっていた者が放てるような威力なのか!!」
そのように叫びながらも何とか私の感想を耐え抜いていた平家物語でしたが、それも限界を迎えたらしく、遂には後方へと弾き飛ばされていました。
「グ、グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
辺り一帯に響き渡る大音声を放ってすぐに、建物全体を揺らすような衝撃。
……そして、そこから続く一時の静寂。
そこで私は、ようやくこの戦いが終わった事を感じ取りました。
視線を移すと、そこにはこれまでの荒々しさから一転、力を出し切った姿で壁に寄りかかりながらも、澄み切った笑顔をこちらに向ける平家物語の姿がありました。
彼はこちらに向かって、快活な表情とともに語り掛けてきました。
「かんら、かんら!実に見事だ!!……単なる衝動任せや奇抜さに頼るのではない、確かな技巧の冴えとそこから垣間見える研鑽の証。……『ウマ娘 プリティーダービー』を通じて、身に着けてきたその意志と力は紛れもなき本物!――誇れ、貴殿は強い……!!」
平家物語が、懐から扇を取り出しながら、盛大に呵々大笑しました。
これまで横文字を口にするときに明らかに不慣れだった平家物語に、流暢にその名を読み上げさせる『ウマ娘』というコンテンツの偉大さに戦慄しましたが、それ以上に私は、全力で対峙した彼の一言によって『この一年の自分の軌跡は、決して無駄などではなかった』と肯定されたような気持ちになっていました。
そんな私の内心を知ってか知らずか――平家物語が、今度は真摯な顔つきで言葉を続けます。
「そしてどうやら貴殿は、『栄華を極めて驕り高ぶった者』などではなく、『未だ高みを目指して挑み続ける者』であったようだ。――如何なる栄華も永遠に続かぬならば、自身の思うがままに生き様くらいは描いてみせよ……!!」
「平家物語……!!」
平家物語はそのように満足そうに私に告げると――一陣の風とともに、淡い光の粒子となって消えていきました――。
『……いやなに、拙者は"ふぁーすと・あにばーさりー"なる絶頂を謳歌する貴殿の姿に、我等平家一門同様の"おごれる者"の影を見て、儚さを感じたまでの事よ!』
平家物語はそのように言っていましたが、それでも私は、彼が私の創作意欲を呼び戻すために来てくれたように思えてなりませんでした。
――創作を通じて、人を前へと進ませる"物語”本来が持つ力と奥深さ。
それらを彼との邂逅によって、私は理屈ではなく芯の部分で改めて感じ取れた気がしています。
そういう意味では、私というマイキーの破滅的な未来を変えるために、平家物語というタケミチが現れた……と、言えるのかもしれませんね。
そのような考えも、結局は私による驕ったものの見方に過ぎないのかもしれません。
ですがそれでも、平家物語がこの世界に遺した"諸行無常”の理を胸に抱き続ける限り――。
どんなに険しい時代であっても、私達なろうユーザーの挑戦は、きっとこれからも続いていく――!!
『1st Anniversaryを振り返って感じたこと ~~徒然なるままに~~』 了