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借金令嬢は異世界でカフェを開きます【改訂版】  作者: 相内 充希


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第3話 レディ・グレース③

 当時十三歳だった弟のリチャードが無事爵位を継いだおかげで、家はどうにか手放さずに済んだ。しかし手元に残ったものは、領地のカントリーハウスと王都の隅にあるタウンハウスのみ。特産があるわけでもない領地の税金を勝手に上げるわけにはいかないし、国へ収める税金はここから賄われるがそれさえギリギリだ。


「なにか借金を返す手立てを考えなくてはね……」


 それもあって父は投資にのめりこんだのかもしれない。領民には慕われていたから、父なりにこの土地を豊かにしようと思ったのだろう。


 それでももし、ソリス家が領地のない下級貴族だったら。

 祖母にはつらいだろうが家族で平民になり、皆で働けばどうにか食べていくこともできただろう。

 グレースがそんなことを考えてしまったことは、一度や二度ではなかった。


 そうもいかなかったのは、この家の立場が会社の社長だと考えればグレースにも理解できた。領民の生活は守らなければならず、勝手に投げ出すわけにもいかない立場なのだと。

 たとえ領主がすんなり代わることができたとしても、それが領民の為になるかは怪しいところがある。旨味のない田舎領地だ。どこかと兼任され、こちらが打ち捨てられる可能性も高い。


「どうせ生まれ変わるなら、車が空を飛んでるような未来世界に転生したかったなぁ。こんな十九世紀かそこらのヨーロッパチックで魔法のある世界じゃなくて。なにかと不便すぎる」


 着るものはドレスだし、魔法なるものは使えるけど、美古都が思ったのとはちょっと違う。何かを温めたり冷やしたりできる程度の「しょぼい」魔法なのだ。

 しかも当時のグレースには当たり前のことすぎて気づいていなかったのだが、魔法を使うための魔力を持っている人は多くない。貴族はそれを持ってるのが当たり前だけど、その差はずいぶんと大きいらしいし、平民はほぼ魔力を持ってない。

 今使われている生活道具は、そんな魔力に変わるものをということで発展してきたらしい。


(いわゆる産業革命みたいな感じなのかなぁ)


 便利になったとはいえ、一見すると魔力を利用してるのか、違う力を利用しているのかがわかりにくいのは、いいことなのか悪いことなのか。


 移動は徒歩や馬車で、辛うじて上下水道はこんな田舎領でも完備されているが、ガスはないらしい。電気はないが魔法で明かりは使える。うん、これはまし。現代っ子に暗闇は辛い。


 でも当然のことながらスマホはない。

 ぶっちゃけ本さえろくにない!


「調べものが気軽にできないのが、地味にきついわ」


 グレースには家庭教師が付いていたものの、一般的な令嬢の教育しか受けていない。その教育も、日本風に言えば茶道と華道にお裁縫。あときれいな字を書けるのは淑女には大事なことだと主張する祖母の方針で、この国風のお習字。


 付き合いに必要な貴族の名前や簡単な歴史くらいは習ったが、写真があまり一般的ではないので国王の顔も肖像画で見たくらい。

 それよりもレディたるもの、美しく歌えたり楽器が演奏できた方がいいという父の方針で、グレースは洋風のお琴みたいな楽器を弾くことが出来た。ダンスも人並み程度にはできる。

 さて、これで何ができるだろう?


 あまりにもお嬢様すぎて、正直お金を稼ぐのに役立つものが思い浮かばず、ひたすら悩んだ。祖母いわく、ここはやはりお金持ちの高貴な人と結婚するのが一番だと言うが、グレースはよくても領地に恩恵があるかは謎だろう。


(そもそもそういう男性にはみんな許嫁なり婚約者なり、最低でも恋人くらいはいるものよ、おばあさま)

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