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借金令嬢は異世界でカフェを開きます  作者: 相内 充希


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第9話 オズワルド②

 グレースは客が少ないときは雑談にも気軽に応じてくれるのだが、それがとても楽しい。


 オズワルドは時々大学の講義を引き受けるのだが、出した宿題をグレースの店でしていた学生が、こっそり計算間違いを教えてもらったというから驚きだ。簡単な算数ではない。頭の体操を兼ねて、四桁から五桁の数字を十以上足したり引いたりする計算を計算機なしで行うものだったからだ。

 計算ができる女性もいないことはないが、大きな数字のときは計算機を使用する。なのにそれらしきものを使った様子もなく、数秒見ていただけだと言うのだ。どの生徒の宿題にも苦労の跡が見て取れる課題である。


 話を聞いた数日後。オズワルドも計算問題をあえて店の中でしてみた。計算機を用いて、だがあえて間違えてみたのだが、グレースはこっそりと計算が違うことを教えてくれた。

「レディ・グレース。もし今時間が大丈夫なら、この計算を手伝ってくれませんか?」

 困った顔をして見せれば、なぜか彼女の右手の人差し指と親指が太もものあたりで忙しく動き、あっという間に正解を導き出す。

 冷静を装って計算が早いのですねと言ったオズワルドに

「頭の中で珠をはじいているから、計算してるって感じではないんですけど」

 そう言いながら役に立ったかと聞かれ、勿論だと礼を言った。これは彼女特有の魔法だろうかと考えた。お礼に金を渡すことは断られたので代わりに何人か引き連れて、前にもまして店に通うようになった。


 以前チラリと「大学って憧れます」と言っていたので、学ぶことが好きなのだろう。優秀な家庭教師がついていたのだろうが、彼女の発想はユニークだ。学者連中を連れて行っても騎士を連れて行っても、彼女は目を輝かせて話を聞いてくれる。小さな悩みでも耳を傾け、時に一緒に考えてもくれる。


 また、例の学生が吹聴しまくったことで、密かに彼女のもとに悩みを抱えた者が通うようになったことを彼女はおそらく知らない。

 スランプに陥っていた楽師が彼女の鼻歌をもとに歌劇を仕立て上げたり、なかなか順調に行かない郵便システムに悩んでいた時、「料金を着払いじゃなくて元払いにすればいいのに」と笑われ、実際そうしたら手紙を出す人が爆発的に増え、郵便業種がぐんと伸びたり。

 もっとも彼女が言った、土地に番号を振るシステムはまだ実現できていないが、彼女の、どうやら自分では特別だとも思っていないであろう発想はすごいのだ。

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