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木の枝の伝説(10)




レオン:さあ、リンネ。この前の話の続きだ。

リンネ:え~? 何かな~?

レオン:ぼくたちの出番についての話だ!

リンネ:あ~、それか~。

レオン:いったいどういうことなんだ?

リンネ:お兄ちゃん~? いい加減現実をみようよ~。この前そんなことも言ってたよね~?

レオン:(言ったかな?)現実とは何のことだ?

リンネ:まず~、これは~、『レオン・ド・バラッドの伝説』では~、ありません~。

レオン:ぐ・・・い、いや、そのことには薄々感じてはいたが。

リンネ:そして~、お兄ちゃんは~、アインさんを~、知りません~。

レオン:(ば、ばれてる?)あ、いや、その、なんだ、分かってたのか、リンネ、さすがだな。

リンネ:つまり~・・・・・・。

エイフォン:これらのことから導き出される解は、そなたはこの物語とは無関係。ちがうかな? お嬢さん?

レオン:だ、誰だ? リンネ? この人は?

リンネ:知らない人~、あなたは誰ですか~?

エイフォン:私はエイフォン・ド・メフィスタルニアだ。

レオン:! 貴族か!

リンネ:長くなりそうだから~、みんなは先に第10話を読んでね~。









 森から戻って夕食を食べて、いつものように部屋で素振りをしたけど、今日は強制スタンには至らない。そこまで時間がない。ま、そりゃそうだよな。


 とりあえずフォレボだけでなくバンビも狩っとかないとな、と試し斬りに行ったら、木の枝が折れたって話はもうしたと思うけど、おれの愛用武器である元母ちゃんのはたきだった「木の枝000(トリプルオー)オリジン」を折ったのは強敵バンビ・バージニア・スリム! おれが初めて倒したバンビだ。おれの木の枝トリプルオーオリジンをへし折るとはなかなかの強者。あのフォルテボア・ふんたら・かんたらほどではなかったけれど、一瞬でもおれをあせらせたなかなかの奴だ。バンビ・バージニア・スリムを倒したらちょうどレベルアップしたけど、折れちゃったから武器がない。だから森ん中で木の枝拾いまくって戻ってきた。


 そんで、寝る前に新しい武器「木の枝001(ダブルオー・ワン)イニティウム」で素振りするけど、レベル4でSP最大値が33になったおれは、レベルアップの瞬間回復からそのまま帰ってきたので、強制スタンまで素振りしようとすると3300回ってことになる。いや、さすがにそこまでやったら時間がかかりすぎるからな、12時間気絶したら寝坊するかもしれないし。だから素振りは2000回でベッドに入ってフツーにおやすみなさいしたけどな? 久しぶりのベッドインって言えばなんかムフフな感じするのはなんでだろうな?


 つまり最大SPが増えたことで、これからは狩りから帰ったタイミングによる残りSPのちがいによっては、ベッドで寝ることもあれば強制スタンで地面で寝ることもあるだろうな。とはいってもレベル6になったらそれもないか。レベル6になったらたぶんSPは53になる。そうすると残りSPが最大SPの2%以下になった時に起こる「ディレイ」、行動遅延が発生してしまうからな。SPは最低2残さないと動きがとろとろになる。あれは面倒だし、強制スタンまで素振りしなくても実戦で効率よく熟練度上げられるしな。


 ま、とにかく、今までありがとう「木の枝トリプルオー・オリジン」!


 そして、これから頼むぞ「木の枝ダブルオー・ワン・イニティウム」! 昨日森で拾ったばかりの新品だけどな! たいそうな名前を付けてみたけど武器補正は2! そこだけはどうにもならないからな! せめて名前くらいはな!






 そして翌朝。


 姉ちゃんが朝起きて、2段ベッドの2階から下りてきて、おれがベッドで寝てるの見て、


「アインがベッドでねてる? なんで? どうしたの? ふめないじゃない!」


 と、驚いていたからな。強制スタンじゃなきゃフツーにベッドで寝るのは当然だってな。別に地面で寝るのが好きな訳じゃないんだからな!




 ……いや待て。待て待て待て。おいこらちょっと待てーい!


 今、なんか変だったよな? そうだよな? おかしな言葉が入ってたよな? な?




「……ねえちゃん、ぼくのこと、ふんでたの?」


「…………ふんでない」


 そのまま逃げるように部屋を出て、母ちゃんの朝食作りを手伝いに行く姉ちゃん。


 ……あれは嘘だ! すっげー目ぇそらしてやがった! え? どういうこと? 最初の頃、姉ちゃんわざわざおれをベッドに戻してくれてたよな? 確かそうだったよな? なんで踏んでんの? ちょっとどういうことだ? 弁護士、弁護士を呼んで下さい! いや、まずは捜査で証拠固めだな? 検察……はまだ早い、警察を! おまわりさーん!


 確か十日くらいか? 毎日ベッドに戻してくれてたはずだよな? それからはそのまま地面に放置されるようになったけれども……。


 あ、あれか。面倒くさくなったら、腹が立ってきた、みたいな? ……あり得る! 姉ちゃんならあり得る! あり得るけどあり得ねぇ! あいつ、おれのこと踏んでたの? ねえマジで踏んでたのか? え、どうする? これ、我が家の国際司法裁判所、ザ・母ちゃんインテルナシオナルに訴えるしかないか?


 いや、でも、証拠がねぇな? 踏まれてたって記憶もねぇ……。


 ちっ、完全犯罪って奴か。このトリックを解けるミステリーはねぇな。誰か書いてくんないかな?


 しかし証拠もなく疑いをかけるような真似は危険だな。奴はくさっても我が家の序列3位! 序列4位のおれでは証拠もなく事を荒立てるのは得策ではないか。


 くそう。いつかそのしっぽを掴んでモフモフしてやるからな。覚えてやがれ!







 木の枝ダブルオー・ワン・イニティウムでカッターの素振りを100回、朝食で銅のつるぎをほしがって、じじいん家で高速マッハ計算して、シャーリーと小川におでかけ。


「……アインおにいちゃん、きょうはなんだかおこってる?」


 ……素直な子どもは敏感だな! よし、姉ちゃんの本性をシャーリーにふきこんどいてやるか!


「シャーリーはよくみてるね、えらいね。ぼくがおこってるんのはねえちゃんのことだよ。ねえちゃん、ねてるぼくのせなかをふんでたみたいなんだよね」


「…………ああ! だからときどきアインおにいちゃんのおふくのせなかに、なんかあしあとみたいのあったんだね!」


 謎が解けてすっごくすっきりした! みたいな爽快感のある笑顔でシャーリーが言う。


 ……なんですと? 背中に足跡? おれの背中に足跡だと?


 本部長! 急展開です! 重大な証拠となる証言が出ました! 証人を安全のためにも確保するべきかと愚考いたします! ってマジか! さすがシャーリー! ていうか、なんで早く教えてくれなかったの?


 いや、しかし、相手はあの姉ちゃんだ。あの極大危険デンガラデンゲラテラデンジャラス並みに危険な我が家の序列3位! うっかりシャーリーから証言を得たなどと知られたら本当にシャーリーに危険が迫る可能性がないとはいえない。


 だが、あの巨悪をこのままにしておくことは……ぐぅっ、それでもかわいいシャーリーを危険にさらす訳には……それに物的証拠はすでに母ちゃんが洗濯してなくなっているはず……。


 くっ、まさかあのアマ、おれがこうしてシャーリーをどう守るか苦悩することまで見越しての仕掛けなの、か? ま、まさかそんな! なんて卑劣な!


「アインおにいちゃん、おかお、おもしろーい!」


 ……シャーリーさまにお喜び頂き、拙者、最高の幸せにござりまする。


 別に顔芸じゃないけどな!




「おいっ! おとこおんなっ!!」




 おれがシャーリーと手をつないで歩きながら、連続背中踏みつけ事件脳内捜査本部で重大な会議を開いた結果として顔芸になっていたら、後ろから子どもの怒鳴り声が聞こえてきた。


 でも、おとこおんなって意味がわからんからとりあえず無視して歩く。ほんとは分かるけどな!


 シャーリーは気になったのか、歩きながら後ろを振り返る。おれと手をつないでるからとまれないもんな。


「アインおにいちゃん、ズッカ、ティロがいるよ」


 うん、それもわかってる。わかってての無視だったんだけどな。


「おい、おとこおんな、むしすんな!」


 シャーリーは戸惑いながらも歩みを止めずに進んでいるが、後ろが気になるみたいだな。


 まあ、おとこおんなが、おれとシャーリーを「男と女」と言いたくて間違ってんのか、おれのことを女の子のシャーリーとばっかり遊ぶ「男女」だと言いたいのか……もちろんどっちかははっきりしてんだけどな。それでも、ズッカがおれの想定以上の馬鹿で「男と女」と言いたくて間違ってる可能性を最後まであきらめたくはない。あきらめたらズッカは終了だよ、シャーリー。


「ねえ、アインおにいちゃん、ズッカがよんでるよ?」


「シャーリー、いいかい、いちども、アイン、とも、シャーリー、とも、いわれてないよね?」


「……いわれてない」


「でしょ? だからよばれてないよ」


 そう。呼ばれてなどいないからな。これでおれはシャーリーの前で誰かを無視してんじゃなくて、ただ呼ばれてないから振り返らない、それだけだ。


 とはいえ、後ろから、おとこおんな! と叫びながらズッカがついてくる。ついでにティロも。


 面倒くさいなあ、こいつ。これならあんとき、おれが姉ちゃんにしがみついて泣きじゃくったやや黒歴史のとき、姉ちゃんに冤罪で訴えて二、三本、骨を折ってもらえばよかった。


 あんとき、おまえらを冤罪で姉ちゃんに断罪されるところから救ってやったのは誰だと思ってんだ? おれなんだけどな? せっかく助けてやったのに! って、こいつらは知らないけどな!


 そうやって歩いてると、いつもの小川に到着。


 おれたちに続いて、ズッカとティロも到着。


「おい、むしすんな、おとこおんな」とズッカ。


「アイン、きこえてるだろ?」とティロ。


「ああ、ティロ。どうしたの? ティロもおがわでいっしょにあそぶ?」


 ティロには名前を呼ばれたので振りかえって声をかける。


 でも……。


 ……振り返りたくなかった。


 見たくないものを見てしまった。ああ、おれは見てはならぬものを見た。誰も見てはならぬ。見たら死ぬ。もう死ぬ。これはダメだ。やられた。


 うわぁー、これは心折られるな。マジでショック。


 ……こいつらちゃんばら用だと思うけど、木の枝握ってんだわ。うっわ、マジか、おいおいマジか。木の枝装備、スーパーウルトラスペシュウムかっこわりぃんですけど……。はぁ……。おれも森ん中でフォレボとかバンビとかと戦うとき、こんな感じのビジュアルなの? こんな最低な感じなの? もうマジかよ、なえるわぁー……。


 いや、おれの脳内だと、ビシッ、バシッ、ズバッ、みたいな効果音バシバシで敵をなぎ倒す感じになってたんだけど、今さらだけどないわぁー、木の枝、ないわぁー……。


 いや、木の枝しかないんだけどな! 武器は木の枝しかないんだけれども! それでもないわぁー……。


「いいかげんにしろよ、おとこおんな!」


 なんか、かっかしてる猪みたいなのがいるけどな! 引き続き無視!


「おがわであそばないなら、かえったら、ティロ?」


 おれはまっすぐティロだけを見てそう言った。


「ズッカもあいてにしてくれよ……」


「じゃあ、おれはシャーリーとあそぶから、それじゃあね、ティロ。いこうか、シャーリー」


 少し小川をさかのぼるか、と歩きはじめる。シャーリーもついてくるけど、手をぎゅって握ってくる。手をぎゅって! 手をぎゅって!


 ……て、これ、喜んでる場合じゃないな? シャーリー、怖がってる? 怖がってるよな?


「むしすんなっていってんだよ!」


 そう言ったズッカがおれの左肩を掴んでくる。


 もちろんあっさりかわす。


 すかっ!


 ……音がした。音がしたよな? したよな、おい? へえ、こんな音ってするんだな!


 あ、ズッカの顔が真っ赤になってら。


「よけるなああっ!」


 もう一度、今度は突っ込んできて掴もうとする。


 これはダメだ。かわせない。


 おれがかわせば、シャーリーにあたる可能性がある。


 おれを掴もうとするズッカの左手を、おれは左手でばしん、と強くはねのけた。


 ちょっと強過ぎたかも……。


 ズッカははねのけられた左腕ごとバランスを崩して、しりもちをついた。


 ……まずい、な。


 想定以上だ。


 レベル4になってるから、おれ、強過ぎる!? ていうか、ズッカはたぶんもともとのおれと一緒だとするとステ3だよな?


 下手すると殺しかねない……。


「アインおにいちゃん、けんかは、だめだよ?」


 はっ! シャーリーに叱られたっっ!


 なぜに?


 ……いや、まあ、おれがはねのけてズッカがこけたんだから、単純に見たらおれが悪いようにも見えるよな。


 うーむ……。


「けんかはしないよ。よわいものいじめになるからね」


 そう言っておれはシャーリーをなでて和んでいたんだが、その一言が突き刺さった奴がすぐ近くにいた。


「よ、わいものいじめ、だと?」


 ズッカが立ち上がりながらおれをにらんでくる。


「よわいって、だれがだよ? おとこおんな?」


 ……しまった! 無意識に煽ってたか! わざとじゃない! わざとじゃないからな! 今のは本当にわざとじゃないからな!


「シャーリー、ちょっと、あっちのほうで、はなれてまっててくれる?」


「うん。でも、けんかはダメだよ?」


 シャーリーはそう言い残して、てけてけ離れていく。


「だれがよわいか、いってみろよ、おとこおんな?」


「ごめんごめん……」


 おれが最初に謝罪の言葉から入ると……。


「はあ? いまさらあやまってもおそいんだよ!」


 ズッカがくいぎみに言ってきた。


 ……んー、ま、いっか。今のでちょっといらっとしたし。


「……よわいんじゃなくて、わるいだったよ」


「わるい? なんだ? どういういみだよ?」


「ああ、ごめんごめん。わるいはわるいでも、むらにたったごにんしかいないこどものなまえもおぼえられないくらいあたまがわるいっていみなんだけど、あたまがわるいからわかんないよね」


 後ろで、ぷっと噴き出したティロが慌てて口を押えた。


 あいつ、ズッカと仲良しなんじゃなかったのか? いっつも二人で遊んでんだろ?


「……どういういみだよ?」


「いったまんまだよ?」


「いったことがよくわかんねぇからきいてんだろ?」


 再度、後ろでティロが噴き出した。今度は音をおさえられず、ズッカが不機嫌そうに一度後ろを見て、それでももう一度おれを振り返った。


 どうやらティロには通じているらしいが、ズッカは本当にわかっていないらしい。


 ……なんか、かわいそうになってきたな。嫌味が通じないなんて。


「わかりやすくいえよ!」


 これ以上わかりやすく言うと、ただの罵倒だよな? ま、お望みならそれで。


「バーカ」


「は?」


「だからバーカ」


「はあ?」


 ……わかりやすく短くしてやったというのに伝わらないとは!


 ズッカとは一生わかりあえる気がしねぇっっ!


 後ろで腹抱えて笑いをこらえてるティロとは話ができそうだけどな! できそうだけども!


「おまえむずかしいことばしってるからっててきとーいってんじゃねぇぞ!」


 ズッカ……。


 どんだけすごんでも、『バーカ』って言ったあとに『むずかしいことば』って言ってたらギャグになんだろ? 後ろでティロがついに座り込んだぞ? 笑い過ぎて立ってられなくなったんだぞ?


「はっきりわかるようにいいやがれ!」


 そこまで言われちゃしょーがねぇな。主語と述語をはっきり短く短文で。


「わかったよ。ズッカがよわい。ズッカがあたまわるい。ズッカがバーカ」


「おまえっっ! ばかにしてんのか!」


 馬鹿にしてるんじゃない、わかりやすく説明してんだ。馬鹿か? あ、馬鹿だったな、そういえば。おれが自分で言ったんだったな。わりぃわりぃ。


 もう後ろでティロの爆笑が響いてんじゃん! ひぃひぃ笑ってんぞ? おまえらの友情大丈夫か? おれが心配する筋合いじゃないけどな! ないけども!


「ふざけやがって!」


 そう叫んだズッカが木の枝を振りかぶる。


 おいおい。それはいちおー武器判定が入るアイテムだ。武器補正は2しかないけどな! ないけれども! かつて寝ている姉ちゃんでスキルの発動実験をしたおれにはこういうことを言う資格がないかもしれないけども!


 そいつは人には向けちゃダメなんだよ!


 ズッカが振り回す木の枝を、おれはかわす。


 かわして、かわして、かわしてかわす。


 さらにかわして、もっとかわす。


 何回かかわした時に「すげぇっ……」ってつぶやく声がティロから聞こえた。


 それからもかすりもさせずにかわす。


 でも、なんかイライラしてきたから、かわしつつ一発デコピンを入れた。入れたらちょっとイライラがすっきりした。ズッカが「てっ!」て言った。せめて、いてっ、て言えよな。略し過ぎ!


 そんでまたかわし続けて、またイライラしたので、今度は鼻をつまんでやった。そしたらちょっとすっきりした。ズッカが「むぐっ」って言った。


 それで気づいた。あ、おれ、ズッカに対してヘイト感じてる?


 かわし続けてイライラしたら、耳を引っ張ったり、足を踏んだり、さっきみたいにデコピンしたり、鼻つまんだりして解消させて。


 なんか、ズッカが疲れてきてて、でもおれもイライラしてて。


 かわしつつ、身体を入れ替えて背後に回り、ズッカのケツを足の裏で蹴り押した。




 ばしゃーんっっ!




 ズッカが小川にうつ伏せで突っ込み、びしょ濡れになった。


 持ってた木の枝は離してしまったらしい。小川をさーっと流れていった。


 ファンブルになるはずと思ってとっさにタッパを操作。アイテムストレージに回収しといてやった。ラッキー、一本追加で! 有効に使わせて頂きます! ありがとう!


「なにしやがるっっ!!」


 小川の中で仁王立ちしたズッカが叫ぶ。


「ズッカはよわい。まだわかんないかな? ぼく、よわいものいじめしたくないよ」


 おれは叫んだりしない。ごくフツーにしゃべって、そう言った。


 ズッカの顔がみるみるうちに真っ赤になって、歯を食いしばって、目に涙をためて。そしてそのままばしゃ、ばしゃ、てってけ、てってけと村の方へと走っていった。きっとあれは全力疾走。昨日レベルアップする前のおれと同じ全力逃走。泣いてんの見られたくないからかもな。真っ赤になった顔ん中でも一番赤くなってたのデコピン何発かくらったデコだったけどな!


 シャーリーがもどってきて「けんかはだめ~」と言った。ちょっと涙目で。超かわいい。


 ズッカと一緒に帰ったのかと思ったら、ティロは残ってた。


 ティロによると、ズッカは家で母ちゃんからおれと比べて叱られるらしい。それがあんまり繰り返されるもんだから、不満がたまっておれに絡みにきた、と。なにその逆恨み? 面倒な。ごめんよ、とティロ。いや、ティロが謝る必要ねぇよな?


「でも、ほんとうにアインはすげぇんだな」


 そう言ってティロも村へ戻った。ズッカのとこに行くつもりらしい。


 おれは別にすごくはない。脇役だからな! どうあがいてもたぶん脇役だから!


 おれとシャーリーも水遊びはやめて、じじいん家に帰った。




 まあ、おれはこれから森で狩りだけどな!














リンネ:オリジンとか~、イニティウムとか~、どういう意味なのかな~、お兄ちゃん~?

レオン:それはな・・・。

エイフォン:オリジンは原点、イニティウムははじまり、などの意味がある。

リンネ:お兄ちゃんから~、中二な答えが返ってきたら~、ゴミを見るような目でみようと思ってたんだけど~、自己紹介を聞いただけの知らない人が教えてくれたよ~、お兄ちゃん~。

レオン:リンネ、おまえ、そんなことを考えてたのか・・・。

リンネ:ところで、エイフォンさまは~・・・。

エイフォン:エイフォンでいい。遠慮はいらん。貴族とはいってもただの跡継ぎ息子でしかないからな。

リンネ:跡継ぎなのに~、ただの~、なんていうのは嫌味だと思うよ~、エイフォン~。

エイフォン:・・・レオン殿、そなたの妹殿は、なんというか、本当に遠慮がないな。

リンネ:遠慮はいらんって言ったよね~。

レオン:(言われる前から遠慮がなかったぞ、リンネ・・・)ではまた次回をお楽しみに! みなさん、↓↓↓↓の評価ポイントを「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にしていただけたら! ぜひとも、ぽちっとクリックを! ブクマも、感想も、レビューも、待ってますから! よろしくお願いします!




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