表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/10

第8品目 自己紹介は2回目

アイゼンの関西弁。

本来、女の一人称はウチなんですが、キャラを確立するためワイにしました。







評価ください。

「っつ〜」


突如走った痛みに目が覚める。


とりあえずのそのそ動いてベッドから出ようとするが何かに引っ掛かっているのか服が引っ張られていることに気付く。


「ん〜何〜」


ふと視線を後ろに向けてみる。


スゥスゥ


そこには金のメッシュが入った黒髪の少女が…


「ん?ドレイク?」


ではなく酒場の自称親父(男)ドレイクが女の子みたいに可愛らしくディバの寝間着の裾を握り寝息をたてていた。


(そういえば酒場壊しちゃったんだっけ)


朧気ながら昨日の惨状を思い出す。


ついでにドレイクの自宅兼酒場を壊してしまい、泣き付かれたので連れてきたことも思い出す。


金のメッシュが入った黒髪の女の子…じゃなかったドレイク(♂)はまるで小動物の寝顔のようでついつい頭を撫でてしまう。


ドレイクの髪はとてもさらさらしていて見た目と相成ってもう女の子。


男だなんて誰が思うだろうか。


フェルミが見たら誤解しそうね…なんて思いつつクスっと笑う。


「ほうディバは同性愛者だったのか」


突如聞こえた声に驚く。


ふとみればフェルミが自分のベッドの前に立っていた。


「昨日どこかに行ったかと思えば…幼女を漁りに行っていたのか。中性的な顔立ちに金が入った黒髪だな。掘り出し物があってよかったな」


「ね…ねぇ、何を想像してるかは知らないけど貴方が思っているようなことじゃ………」


じゃないわよ…と否定したかったがフェルミは止まらない。


「いや別に誤魔化さなくてもよい。奴隷を買うのはこの国でも認められてるからな。」


「だから違うって!」


「元はと言えば私の頼みでこんな長旅をしているのだ。ストレスの捌け口は必要だろう。それにまだ王都への道のりはまだいくらか残っている。楽しめる時に楽しむのは悪いことじゃない。理解はできないが…」


「違うっってんでしょ!!」


悪い流れはどうにも止まらないものだ。


フェルミの勘違いはディバのイメージを固定してしまった。


ここから認識を覆すにはもっとインパクトがある説得をしなければ駄目だろう


「……師匠〜〜〜ムニャ」


まさにグットタイミングといわんばかりのドレイクの寝言。


ディバは誤解を解くため巻き返す。


「ほ…ほら。師匠て言った!奴隷じゃないの!弟子よ弟子!」


余りにグットタイミングだったのでちょっとテンパりながら事情を話す。


しかし、余りにテンパりながらしゃべった為か


「…ディバ。貴方も人間だ。娯楽が欲しかったのだな。だが、いたいけな男児を女装させてまで求めるのは間違ってると思う」


親友の悪い面を見てしまい、目もあてられない的な顔でごゆっくりといわんばかりに去ってゆく。


つまり余計に悪化した。


「違うのよーーーーー!!」


今日最大の心の叫びが町中にこだました。


そんな中でも当事者の一人であるドレイクは少女のような安らかな寝顔で寝息をたてていた。















あれから一時間。


「済まなかった。まさか本当に弟子だったとは」


深々〜と謝罪するフェルミ。


謝罪される方のディバは同性愛者疑惑で悶絶やいいようのない理不尽な空気によりボロボロになっていたためドレイクには寝る前よりもやつれて見える。

誤解の当事者の一人であるドレイクはあの後もずっと寝ていたから知らないがディバはフェルミにトラウマになるほど色々言われたらしい。


3分前に起きたドレイクは事情を説明してようやく信じてもらい、今にいたる。


「…………………………………」


疫病神みたいな目付きでフェルミをじっとにらむディバ。


3分前まではディバがトラウマになるほど色々言っていたのに今は疫病神の視線にタジタジ。



その時ぐ〜と場の空気を変えるような音が鳴り響く。


誰が一人が…ではなく三人からほぼ同時にハモる。


「……朝ご飯にしましょうか」


「……そうだな。だがもうこんな時間だ。作る時間はあるのか?」


ドレイクは時計を見てみると9時に針が…


「時間が時間だし。外食にするわ」


「直ぐ着替えるか。何処に行くんだ?」


「東区に美味しいレストランを見つけたの。バイキング方式だからたくさん食べれるわ」


今まで空気はなんだったのかと言うくらい元気いっぱいに会話を交わすディバとフェルミ。


バババッ


物凄い速さ着替えを済ませ大きくドアを開け放つ。


さあご飯が待っている。


2人はドレイク捕獲し仲良くレストランに向かった。


食べ物の魔力恐るべし!









あむあむあむあむ………


がつがつがつがつ………


むしゃむしゃむしゃむしゃ………


丸いテーブル。


爽やかな空色のテーブルクロス。


そのテーブルクロスの上には大盛りの域を越えた山盛りの皿が5つ6つ。


そのまわりには個人でとったような皿がたくさん置いてある。


どの皿からも美味しそうな匂いが立ちあがる。


皿の1つにスモークサーモンがたくさん乗っている。


きれいな桜色で燻製とはまた違った香りが食欲を掻き立てる。


実はシェフ一押しのこのスモークサーモンにフォークがスッと刺さる。


このフォークをつかっている神官服の少女はその可愛らしい口にスモークサーモンを運んだ。


「モグモグ…助かりました…です。席が混んでて…モグ…」


「まずは飲み込んでから話せ」


モグモグムシャムシャーと驚異的な速さで食べ物をかっこむ中勇者一行を代表してメリスが礼を言う。


ただ食べ方が乱暴過ぎて威圧的な態度でマナーの注意をするフェルミ。


彼女はイライラしていた。


理由は勇者一行に対してだ。


勇者は確かに魔物から人々を守っている。


守るだけなら兵でも出来るのだが勇者持ち前の正義感は余計なことに首を突っ込む。


勇者が関わってしまったらスカーペインに多大な謝礼金をしなければならず。


その額のあまりの多さに国の国庫金が悲鳴をあげてしまう。


特にセントブラットでは派閥戦争の真っ只中。


経済状況の悪化している今勇者に来られたら……そう考えるとフェルミは気が気でなかった。


「フェルミ〜どうかしたのかな〜(ニコニコ)」


事情を知ってるだけに他人事のようにディバはニコニコーと笑う。


ディバめ、私は今ピンチだというのに…と内心思ったりするのだが読心術やアイコンタクトなんて無理無理なディバ(勿論フェルミも)には何も伝わらなかった。


「そういえば…おまえたちの名前を聞いていなかったな。教えてくれないか」


フェルミは気をとりなおして食事を再開させた時に気になっていたので聞いてみる。


その質問に対し、いち早く答えたのは突撃隊長。


「ワイはアイゼン・クロイツちゅうもんや!この赤髪!このボブカット!この引き締まった身体!魔王討伐部隊の体育会系ネーチャンとはワイのことや!」


「あ…ああ。よろしく」


あまりのテンションに少し気圧される。


とはワイのことや!」


「あ…ああ。よろしく」


あまりのテンションに少し気圧される。


パシン


とアイゼンは後ろから来たハリセンに頭を叩かれた。


その衝撃で前のめりになり、アイゼンは机の上のオムレツ皿にグチャッと突っ込む。


「アイゼン。お前は二回目だろう。それにお前のテンションは初対面の人には色々な意味で悪い。自重しろバカめ!」


後ろからぶっ叩いたのは顔のないタキシードの男。


ブランテルだ、と短く名乗る。


ブランテルはアイゼンの頭を押さえつけ、容赦なく怒りをぶつける。


頭を押さえつけている時点でとても容赦がない。


アイゼンはオムレツの山に突っ伏したまま机をバンバン叩いている。


地味に息ができないみたいだ。


ちなみに顔がないというのは比喩ではなく本当にのっぺらぼう。


フェルミもディバはそちらに興味をひかれる。


視線に気付いたのだろう。


わりと普通に教えてくれた。


「この顔が気になるか。この顔はただの呪いだ」


昔、闇魔導師にやられたものだ…と何処か遠くを見るような…哀愁漂う表情…のはず。


のっぺらぼうな顔からは感情が読み取れないので大変だ。


「次は俺だな。俺は佐渡 勇。勇者をやってるんだ。よろしく」


アイゼンとはちがいとても爽やかな挨拶をする勇者佐渡。


爽やかすぎて威光が溢れているように見える。


「あれ?サードじゃなかったけ?」


「違いますよディバさん。それはあだ名ですよ」


「そういえば佐渡 勇という名前…此方のニュアンスと違うようだな。剣聖の国の生まれなのか?」


フェルミの疑問にメリスは丁寧に答えてくれる。


「彼は異界の者です。ニホンという国から呼び寄せました」


「無理矢理だったけどね」


勇の補足が入るなか、その事に驚いたのは三名。


「なんだと!!」


「ホンマか!!」


「すっスゲー!!」


上からフェルミ、オムレツで窒息していたアイゼン、さっきから全く喋ってなかったドレイク。


何故かディバは驚かなかった。


「それくらい知っておけ。この戦闘バカめ」


バシンとのっぺらぼうのハリセンが唸る。


先程と同じように勢い余ってオムレツの山に再びダイブ。


今回は皿まで割れるおまけ付き。


頭押さえてまたしても容赦なし。


他の客の視線が突き刺さるが気にしないブランテル。


流石に他のみんなは気にするので店を出ていく。


テーブルにはただひとり、アイゼンだけがのこっていた。



3時間後レストランにて


「あの〜スミマセン」


「んっああ…はい」


アイゼンは頭を押さえながら起きるとウェイトレスが声をかけてきた。


「お会計これだけ払ってください」


「はあ!?」


あまりの額にアイゼンは驚きのあまりに再び眠りについた。


評価ください。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ