4品目 トンネルと疑問
口調が代わっていますが見逃して。
3日前の話し合いの結果、ディバはセントブラット第三王女フェルムアーデと共にセントブラット王国に行くことになった。
王女であるフェルミにとって危険な場所だが、また安全な場所でもあり現状を知るためにも対抗策をたてるためにも必ず足を運ばなければ成らなければいけない場所だ。
どうせ行かなければいけない場所ならば、先に訪れた方がいいと結論を出した。
虎穴に入らずんば 虎児は得ず
命がけでなければ、良質な情報は手に入らないのだ。
現在、セントブラット王国最南端に位置するザフキエル領のベリーベルトンネル内。
ザフキエル領はセントブラット王国最南端に位置している領で旧文明の遺産発掘が盛んな領としてたくさんの考古学者たちが新たな発見を求め訪れている領である。
そして、その領内で最もメジャーな旧文明の遺産が全長2キロを越えるベリーベルトンネル。
今、フェルミたちがいるところだったりする。
ベリーベルトンネルは3年前の魔物の大氾濫時にたくさんの魔物がトンネル内に侵入し、そのまま魔物の巣窟となってしまっている。
領主はトンネルを魔物から解放するために幾度となく騎士団を送り込んだが結果は大敗。
そのためザフキエル領はベリーベルトンネルを放置する事を決定。
今やギルドやハンターしか寄り付かない場所であり、そんな場所を通ることになれば…
「ハイ邪魔!!」
ドカッ
「しつこい!!」
バキッ
「魔物めっ堕っちろ〜!!」
グシャッ
「逝け!!」
ザシュッ
無駄に多い魔物たちから集中フルボッコ。
終わりのない戦闘が訪れたものたちを蝕み。最後には死に至らしめる。
筈……なのだが、彼女たちは
ドカッ
バキッ
ゴスッ
ドカバキゴスドグシャベキバコドゴスドカーン!!!!!!!!!!!!……
そんな数をものともせず、魔物たちを一蹴。
魔物は山のように積まれている仲間たちの死骸を見て、次にその惨状を作り上げた二人の女性を見る。
そのさいに、紫の髪で巫女服と神父服を足して2で割ったような服装をした女性と目が会う。
その瞬間、魔物たちの脳内ではレッドアラートが鳴り響く、うな服装をした女性と目が会う。
その瞬間、魔物たちの脳内ではレッドアラートが鳴り響く、まるで自分より巨大な生物の標的になったような感覚が悪寒となって駆け巡り、魔物たちは我先にと逃げていった。
「……殺気をあてて魔物を散らすとは。ディバ、お前いったい何者か?」
「ただの料理人よ。知ってるでしょ?」
(ただの料理人なわけがない)フェルミはそう思った。
魔物はディバの目を見て、怯え逃げた。
しかし、本来魔物は知能や第六感が乏しく、主だった戦闘スタイルは玉砕覚悟で突っ込むものだ。
知能が低いから突っ込むしかなく、第六感が感じないため行動予測ができないから人海戦術に頼らざるを得ない。
多少例外がいるが大半の魔物に当てはまる事柄だ。
第六感が乏しい魔物には本来、殺気は意味を為さない。
だが乏しいだけで無いわけではない。
今回、ディバは魔物でも分かるほどの殺気を出した。
ただ、それだけのこと。
だが本来ディバは料理人。
王女で軍人であるフェルミでさえ出来なかったことを彼女はできた。
“いったい彼女は何者なのか”そんな疑問がフェルミの頭から離れなかった。
「わっ!ミルキーワームだ。これで晩飯OKね!」
とりあえず七色に光る芋虫が夕飯になるのを避けるため、フェルミはそんな疑問をほっぽりだしディバを止めることにした。