実技試験 本領発揮
どんどんラピスはぶっ壊れていきます☆
「さて!第一試合でぶつかる対戦相手を発表します!!最初はー!?ラピス殿下率いる第三チーム対エディス殿下率いる第一チーム!!この圧倒的な力の差にラピス殿下は、どうやって勝利を納めるかが今回の注目点ですね!
なんといっても、ラピス殿下のチームは八名!対してエディス殿下のチームは四十名以上!まさに、多勢に無勢です!!」
「まさか、最初に君とぶつかることになるとは思わなかったや……。」
控え室でサラザイルの皇太子が話しかけてきた。尚、第一と第三チームが何故ぶつかったかというと、第二チームは女性ばかりで流石に不利な為、先に男性多数チームを戦わせて減らそう!という魂胆らしい。いや、ふざけすぎじゃ…
「ほんと、最悪だね。」
「ははっ…酷いなぁ。何か、性格変わってきてるけど??」
「これが素だから。変な風に目立ちたくないし」
「へぇ…?なら、手加減しないよ」
「うん、逆に本気で来てもらわないと殺しちゃうかもだから。」
「……馬鹿にしてる??」
「いいや?ただ、手加減ってどうも苦手なんだ。何たって本気で姉上達は、僕を争奪するからね。手加減してたら僕の命が危ないんだよ。」
「なるほど…確かに、大変そうだ。」
「さて…無駄話はやめて、早く始めようか。極力目立ちたくないんだ」
「そうだね。司会!!合図を!」
「はっ、はい!何やら話し込んでいましたが準備出来たようです!!では、始まりの合図といきましょう」
ドォーンと大きな音がなると会場が騒ぎ始める。どうやら、これが合図みたいだ。
「両者戦闘者を排出してください!」
「ラピス殿下、最初は私がいってもいいでしょうか?」
「ユメリが?うん…なら任せるよ」
「はっ!必ずや勝利を掴んで見せます!」
「ふふっ、頼もしいね。」
僕はつい、頬が緩んでしまった。そして、ユメリを見上げると顔が真っ赤になっていた。
「どうしたの?ユメリ。」
「いっ…いえっ!何でもありません!おっ、お気になさらずぅ!!!」
「えっと……そう?」
「はいっ!では、行ってきます!」
「うん、いってらっしゃい。」
「天使っ……!このユメリ、絶対に勝利して見せます!!!」
そう意気込み、ユメリはコートへと走っていった。
「あれ、そういえばユメリって剣士…なのかな???」
「さあー!第一試合はユメリ・メリスとルイス・アレイヤード!!ここからは勝ち抜け戦です!!では、始めっ」
「お前、平民か?」
「だったら何だという?」
二人は剣を抜き、睨み合う。
あまり聞こえないが、何か話しているようだ。
「平民如きがこの僕に勝てると思うなよ??」
「身分など関係ないっ!私は、ラピス殿下の為だけに剣を振るう!!」
「ふーん。あんな奴のどこがいいんだか。顔は殆ど隠れてるし黒髪とか不吉でしかない。」
「貴様っ…ラピス殿下を侮辱したな……?その身を以て後悔するがいい!私は、今!ラピス殿下の笑顔を見れて興奮しているのだ!!」
まさかの変態発言っ!?
そんな大きな声で言わないで!!!
「ぐっ!?くそがっ!」
ルイスは攻めてきたユメリの剣を防ぎ、大きく剣を振りかぶった。
「……はっ?」
そして、一瞬で地面に背をつけ剣を首に当てられていた。
「これで、私の勝ちだ。」
「しょ……勝者、ユメリ・メリス!一瞬でした!一瞬の内に何があったのでしょうか!?」
僕には、見えた。ルイスが剣を振りかぶった瞬間、何かがルイスの目を隠し、その瞬間にユメリが足払いをした。
「まさか、精霊師……?」
剣と精霊…これほどの組み合わせは早々ない。
かつての剣聖も彼女と同じだった。その後も、
10人ほどユメリは倒し続けたが、相手がどんどん強くなって行くために倒れてしまった。
嫌、正確にはズルイ手を使われたのだ。ユメリは真っ直ぐだから、そこを突かれてしまった。
ユメリを治療している間、危うい発言をしていた者やブツブツ言ってた者は三人ほど倒したところで倒れた。
残りは僕だけになり、相手はラスト十二名。その中にはカイルとエディス王子が含まれている。
「ユメリ、君は精霊師なの?」
「はい…。」
「そっか……よく頑張ったね。後は僕に任せてゆっくり眠って?」
「いえ!殿下の晴れ舞台でもあろう時に眠ってなどいられません!私はここで見てますから、どうか頑張ってください!」
ユメリは先程のズルイ手について怒っていたが、それも勝負だよと言えば落ち着いた。
「うん。また後でね、ユメリ。」
僕は医務室を後にし、コートへと入る。
「ラピス殿下が来ました!!第三チームは残り一名!ラピス殿下だけとなってしまいましたが、いやー、最初のユメリ選手は凄かったですね!ズバズバとなぎ倒してしまいました!殿下はどんな戦いをみせてくれるのでしょうか!?では、始めっ!!!」
試合が始まり、僕は深呼吸する。
「君は、ユメリを破った者だよね」
「そうだが?」
「中々ズルい手を使うじゃないか」
「はっ。別に禁止されてねぇぞ?あの女が騙されたのが悪い。」
「……そうか。」
その言葉に少しキレた。
「うん。それも戦いの手の一つだからね。勝つためなら手段を問わない……いい考えだと思うよ。だから、僕も同じようなことをさせてもらう。手加減なんてしないし、殺す気でかかるから……避けてね??」
「調子に乗んなぁぁあぁーー!!」
「怒りに我を忘れて冷静さを失えば…簡単に倒せるんだよ。」
「ぐあぁっぁぁ!?」
思いっきり力を足に込め、身体強化を発動させると、男を躊躇なく蹴り飛ばした。男は壁にぶつかり、意識を失う。瓦礫が男を潰した。
無論、防御壁を張ったので生きているだろう。
会場がシーンと静まり返る。
「ら……ラピス殿下です!!体格も小さいラピス殿下が、冒険者ランクBでもあったリゼル選手を蹴り飛ばしました!あの小さい体にあれだけの力を蓄えているなんて、本当に謎ですね!!」
「さっきから、小さいは余計だっ!!」
てか、あれで冒険者?あれじゃ、すぐに死んじゃうでしょ。
「きゃー!ラピスちゃん、流石!!」
「我が弟ながら手加減無しの攻撃…素晴らしい蹴りであったぞ。」
会場は一気に盛り上がる。
司会席で兄達の応援が聞こえる。
「おぉーっと!ここで、特別例が発動されました!!一気に六名の選手を排出出来ます!!」
「なに、そのズルい特別例。」
会場もかなり批判している。
「ここで一気に不利な状況に陥ってしまったラピス殿下!!どうやってこの絶体絶命のピンチを乗り越えるのでしょうか!?っとと、何か王族席から殺気が……うぅ。もう、始めっ!」
合図が鳴ると、六人一気に攻めかかってきた。
氷魔法で壁を作り、切りかかってくる奴等を防ぐ。そして、足元に蒼の魔方陣が現れると、
攻撃していた奴等は僕の回りに四名ほどいた為、水が下から出てくるのと同時に氷魔法でカチカチに凍らせた。上空にも氷魔法の魔方陣が展開され、氷の鉄槌と氷石が周りにいた奴等に突き刺さる。
一斉に悲鳴をあげ、のたうち回る。
氷が赤く染まり、幻想的な風景であると同時に中々ホラーな絵面である。尚、赤いのは彼等の血で染まってしまったからである。
四名が脱落し、残りの二名が距離を取りながらジリジリと近づいてくる。
「魔術師相手にどんなに距離を取ったって無駄だよ。そこら辺のはともかく…僕は、違うから。」
「にっ、にげろぉぉー!!」
二人の空に表れた魔方陣は赤。
つまり……炎だ。
「ヘルファイヤ♪」
業火の渦が直撃し、戦闘不能となる。服が燃えた為、二人は裸。顔を見合わせ、きゃーといいながら戻っていった。男がきゃーってどうかと思う。
「こっ……これは、ヘルファイヤです!上位魔法であり、先程の氷の魔法より威力が弱いですが、使い方によっては恐ろしい魔法です!!これで残りは六名!!」
「一気にかかるぞ!!」
カイル、エディスと続き残った者が入場する。
「ラピス、お前やっぱり強いな!」
「そうでもないけどね。さっきの人達が弱いだけ。」
「中々言うじゃないか。今度は先程の者達と比べられても困るな。」
「どうだか。」
「ふんっ。後悔するがいい!」
「六人でかかってきてる時点でアホらしい
よ。」
「ダメだというルールはないからな」
「ほんと、そういう考え方は嫌いなんだよね。カイル、友達だからって手加減しないよ。」
「おうっ!勿論だ!」
「では、両者始めっ!!!」